BTL動作するパワーアンプでお手軽なICとしてNJM2073とHT82V739があります。燃えプロシンセサイザーのスピーカーを鳴らすため、パワーアンプとして比較したので、違いをまとめます。
BTL動作
スピーカーをドライブする時に、スピーカーの入力端子の片方に信号を入力し、もう片方をGNDに接続して音を鳴らすのがもっともシンプルな方法です。
電源電圧を上げずに、もっと大きな音を鳴らす方法があります。スピーカーのマイナスの端子をグランドに接続せずに、音声信号の極性を反転させた逆位相でドライブするようにします。
この動作ができるシンプルなアンプのICとして、NJM2073とHT82V739があります。
NJM2073
パワーアンプが2チャンネル入ったICで、別々に使えばステレオアンプになり、2つを組み合わせるとBTL動作させることができます。
- ゲインが100倍あるため音源を1/10〜1/100しないと音が割れる
- サーというホワイトノイズが聞こえる
- 入力にDCカットのコンデンサが不要
- 電源に100uFくらいの電解コンデンサが必要。結構電源電圧が変動する。
ゲインが高いせいかもしれませんが、ボリュームを絞ってもサーというノイズがスピーカーから聞こえます。またボリュームで元の信号を相当小さく絞らないと、音が割れてしまいました。
アンプのネガティブピンにコンデンサが接続してあるので、電源電圧ほどの直流が載っていない限り、入力信号をDCカットするためのコンデンサが不要です。
HT82V739
もともとBTL動作を目的としたパワーアンプICです。
音を鳴らしてみた感想
- サーというホワイトノイズがほとんど無い
- NJM2073よりも大きな音がなる
- 音源直結だと割れるがそれなりに聞くことができる
- 電源に100uFくらいの電解コンデンサが必要。最大音量だとかなり電源電圧が変動する。
ゲインが10倍ということもあり、サーというホワイトノイズはほとんどありません。NJM2073よりもガンガン音がなる感じです。そのため電源電圧もガンガン変動します。直流カットのためNJM2073は10uFの電解コンデンサがネガティブピンに必要でしたが、こちらは信号に1uFのコンデンサで良いので省スペースですね。
燃えプロシンセサイザーのアンプ回路
- 入力のDCカットコンデンサC3を1uF→0.1uF
- VREFのコンデンサC1を1uF→0.1uF
- 電源のバイパスコンデンサC2を47uF→100uF
燃えプロの音声ICの出力ピンは、音声再生中はDCレベルが2Vくらいなのですが、再生が終わると5V近くまで上昇します。再生開始時には5V→2Vと変化してから音声が再生されるため、C3が大きいとこの変化に追従できず、音声が割れてしまいました。C3を0.1uFと小さくしたところ、うまく追従して音割れは防げました。低域がカットされるため音質が悪くなるかなと思いましたが、燃えプロの音声を小さなスピーカーで聞くぶんには、それほど影響なさそうです。
VREFのコンデンサC1は、パワーアンプの動作開始時のポップ音を低減するためのものです。常にONしているので、より安価な0.1uFに変更しました。
大きな音で音を鳴らすと、結構電源電圧が変動します。電源に接続している電解コンデンサは47uFでは心もとない感じがしたので、100uFにしました。
これで、燃えプロシンセサイザーの回路が一通り決定しました。次は基板化したいと思います。
コメント