机の中から1024GBのマイクロSDカードが出てきました。1024ギガバイト=1テラバイトのマイクロSDです。こんな巨大な容量のメモリですが、すっかり買ったことを忘れていました。とても懐かしい思い出です。
それは2015年のことでした。
1024GBマイクロSDカードとの出会い
それは偶然訪れました。私はAliexpressで、8GB程度の容量のマイクロSDカードを探していました。すると、こんなSDカードが売っているのを見つけました。
仕様
・容量:1024GB/1TB
・規格:SDXC
・速度規格:UHS-1 Class10
・速度:90MB/s
・保証:5年間
・価格:$22.8(当時のレートで2800円くらい)
3000円で1TBのSDが買えるなんてすごいじゃないですか。Aliexpressでの買い物を始めてまだ間もない私は、興奮して注文しました。
届く

当時の写真
3週間くらいして、中国から黄色い封筒に入ってSDカードが届きました。中にはマイクロSDカードと、SDカードへの変換アダプタが入ったパックだけです。普通は説明が書いてあるパッケージに入っていると思いますが、これはプラスチックのパッケージだけ。しかも瞬間接着剤封をしたためか、角が白くなっています。エコパッケージというやつでしょうか。
999GB
ノートパソコンのスロットに差し込んで、容量を確認してみました。
エクスプローラでドライブを見てみると999GBです。
プロパティをみると、1073.7GBあります。1TBといっても、実際に使える容量はそこまでないのが普通です。しかし、これはそれ以上あります。
ファイルを書き込んでみる
試しに画像をコピーしてみます。普通にできました。もっと大きなファイルをコピーしたくなったので、適当なISOファイルをコピーしてみます。
あれ、スピードが9.5MB/秒です。仕様では90MB/秒のはずです。仕様の表記が90Mb(bit)/秒の間違いだったのかなと思いました。
このファイルを名前を変えて何個かコピーしていると、突然スピードが落ちました。
3MB/秒くらいです。かなり遅いです。仕様では90MB/秒のはずです。仕様の表記は、読み出しのスピードが90Mb(bit)/秒で、書き込みは30Mb/秒なのかなと思いました。
何かおかしい
書き込めるけど読めない?
ファイルを書き込んだ時には、そのファイルがSDカードの中に存在していますが、
SDカードを一旦取り出して他のパソコンに挿してファイルを見てみると、ファイルはありますが、中身がありません。大きなISOファイルを、書き込んでないない時は大丈夫だったのですが、大きなファイルがあると、その後に書き込んだファイルは壊れてしまいます。
全領域チェックソフト
SDカードをチェックする良い方法がないかネットで調べると「h2testw」というツールがありました。

このソフトはSDカードに大量にファイルを書き込んで、そのファイルをベリファイし、全領域に渡って正しく書き込めているかチェックできます。
全領域にファイルを書き込んでチェックするため、SDカードを空にしておく必要があり、SDカードをフォーマットしてから、実行します。
1TBという大容量で、書き込み速度が遅いため、8GB分だけチェックしてみました。
ソフトの実行結果
- 7.1GB分は正常
- 664MB分はデータがロスト
- 書き込みスピード10.4MB/s 読み出しスピード15.8MB/s
となりました。1TBのSDなのに、7.1GBとしか正常に使えません。
表示としては1TBですが、実際の容量は7.1GBしかなく、それ以上書き込んだファイルは、書き込んだと見せかけてどんどん捨てているようです。今で言う容量偽装です。
これは困ったので、お店にクレームを入れることにしました。
熾烈な戦いに
少しでも返金されればいいなという思いで、Aliexpressの「Open Dispute」という、お店の人と示談する機能(当時)を利用します。
お店にクレーム
商品の写真と、h2testwでチェックした結果を添えて、お店にクレームを入れました。
少しでも返金どころか、ふっかけてしまいました。
お店から返事がありました。
$15返金されると、7GBのメモリが実質800円ということになります。ポンコツなSDカードが800円は高くて納得がいきません。
Aliexpressは当時「Open Dispute」でお店との交渉に納得がいかない場合には、「Escalate Dispute 」というAliexpressに勝敗を判断してもらう手段がありました。(現在は「Open Dispute」でもAliexpressが判断してくれます。)
Escalate Disputしてみた
3日以内に新しい証拠を提出しないと、負けが確定してしまいます。私はここで「Proof Guide」にある「clear video」の意味を「綺麗な動画」と捉えてしまいビデオを使って説明しようとしてしまいました。今考えると、「わかりやすい画像」ということを言っているのだと思います。しかも焦っていて、「H2testwを使って」というのを見過ごしていました。
ビデオで説明
動画ということは、英語で喋りながら説明しないといけません。商品紹介動画のように、流暢に喋ることなんかできません。しかし、なんとかしないといけません。私は、大きなファイルサイズの、子供の運動会の動画ファイルを、SDカードにコピーしながら、正しく書き込めないということをカタコトの英語でボソボソ言いながらビデオを撮影しました。
この、へっぽこ動画を見た店主は、勝てると思ったようです。
返金額を$1に下げました。ここで私がOpen Disputeを取り下げると、$1返金でフィニッシュ。さらにAliexpressが、私の意見に正当性がないと判断すれば、ノーマニーでフィニッシュになります。
再び敗訴
その後、Aliexpressの判断がありました。
結果は敗訴。
再び負けてしまいました。また3日以内に、証拠を示さないと負けが確定してしまいます。
私はここでやっと、H2testwのソフトを使用して、実際の容量を測定し、わかりやすく提示してほしいということをAliexpressが要求していることに気づきました。
H2testwでチェック
1TBもの大容量なメモリ全体をチェックするには、とても時間がかかります。測定開始直後は1日半で終わるという見積もりですが、途中で書き込み速度が1/3に低下するため、5,6日かかります。
「Open Dispute」した時にすでにこのチェックを始めていたため、反証しなければいけないこの時に、全体チェックの結果が出ていました。この結果画像の上に、ソフトの結果の重要な部分に赤枠をして、説明書きを追加しました。

当時の写真

Aliexpressの判断
結果、勝訴(あなたの意見は有効です)
私の意見が認められて、全額返金となりました。
やりとり履歴
当時のやりとりの一覧です。下から上にいくにつれて新しい記録になります。12/6日にOpen Disputeを始めて、12/26に決着しました。とても長い20日間でした。
証明が必要
Aliexpress通販では、仕様で示されている説明とは違った商品が届くことが、たまにあります。その時に必要なことは、証拠を出来るだけわかりやすく提示することだと、学びました。ソフトの画面を見せても、相手はどう判断していいかわかりません。どこの情報をどう読み取ればいいのかを、こちらから提示する必要があります。誰でもわかる、客観的な証拠と簡潔な説明が必要です。これができないと、クレームを受け付けてくれません。問題があっても、明確な証明ができないときは、残念ですが諦めています。(センサの感度が悪いみたいなアナログなところは証明しにくいです。)
これ以降、Open Disputeの時は、商品の写真を撮って、仕様とは違うという簡潔な説明を、問題の部分の画像上に付け加えるようにしています。これが功を奏してか、お店とは示談がこじれたり無視されたりしても、Aliexpressの判断によって私の意見が認められ、返金対応をしていただいています。
海外と日本のお店の違いを体験するいい機会となりました。
容量偽装は最近はないの?
Aliexpressで1TBのSDカードやUSBメモリが現在売られているか調べてみましたが、ありませんでした。当時は結構検索に引っかかったと思うので、最近は当時よりも、安全に買い物ができるようになってきているようですね。でも相場よりもかなり安いような商品には、注意が必要です。
私はレビューを良く見てから、購入するようにしています。でもレビューもあてにならない時もあります。このSDカードもめちゃくちゃ評価が高かったです。みんなSuper!とかGreat!みたいな感じでしたが、フェイクがバレた後の追加の評価投稿ができない仕組みだったため、騙されている状態の評価しか見えませんでした。(今は評価した後でも、Additional Comment(追加コメント)ができるようになっていたと思います。)
Aliexpressは買い手にとって、どんどん良くなっている感じがします。
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