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HAKKO 394 コードレス吸着ピンセットで実装がピンセットよりも劇的に楽になったよ

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以前から気になっていた、真空ポンプを内蔵した吸着式のピンセット、HAKKO 394を買ってみました。

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HAKKO 394

コードレス吸着ピンセット

HAKKO 394は、電動のコードレス吸着ピンセットです。空気を吸い込むポンプが内蔵されていて、ボタンを押すとポンプが作動してノズルの先に部品が吸い付き、ボタンを離すとポンプが止まって部品が離されます。

これまでは、1608などの表面実装のチップ部品は逆作用ピンセット使って実装し、

面積のあるICやマイコンなどは手動の吸着ピンセットを使って実装してきました。

今回買った電動式のコードレス吸着ピンセットは、ICだけでなく、チップ部品も吸着できる点が手動式にないメリットです。

ピンセットの場合、部品を置いた後に、ピンセットを開くためのスペースが必要となるため、部品と部品の間に2mmくらいのスペースが必要でした。そのため、ピンセットでは高密度に部品を実装することができません。吸着式だと、部品の上から吸い付けているので、部品間のスペースはそれほど必要ではなく、手の位置極め精度(手の震え具合)だけの問題で、ピンセットよりは高密度に実装できるようになります。

ただ、標準で付いてくるノズルは太すぎるためチップ部品が吸着できません。JIS1608(0603)やJIS1005(0402)などのチップ部品を吸着するためには、オプション部品の0.26mmの細さのノズル(ベントノズルA1198 )を別途購入する必要があります。

ベントノズルA1198を装着するとこうなります。

部品を吸ってみる

試しにJIS1608(0603サイズ)のチップ抵抗を吸着してみます。かなり吸着力が弱く、なかなか吸着されませんが、一旦くっつくとそのまま基板に移動できました。

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基板の部品実装に使ってみる

まずはステンシルでハンダペーストを印刷

ターゲットの基板の周囲に、同じ厚みの不要な基板を配置して、ターゲットの基板を固定します。

ステンシルを位置合わせして、スキージでハンダペーストを印刷します。ステンシルとリフローの詳しくはこちらをご覧ください。

いい感じに、ハンダペーストが載っています。

いろいろピック&プレースしてみる

SOT323パッケージ

吸い込む力が弱くなかなかくっつきませんが、SOT323パッケージを吸着することができました。

テープから部品を直接吸い取ることで、部品の向きが必ず一定なので、1番ピンを確認にする必要がなく、手早くピック&プレースができます。

また、吸着ピンセットを使うと、部品を基板に置くときに、部品の上から基板に押しつけるような感じに実装され、ハンダペーストにリードが食い込み、リードが浮いているというはんだ不良も少なくなりそうです。

SOD-323

なかなか吸着されませんが、チップダイオードのSOD-323パッケージもOKでした。チップダイオードは、テープから出してバラしてしまうと、逆さまになりやすく、表にするのが大変で、しかも極性を示すラインがとても見にくい部品です。そのため、正しい向きにピックするのがとても面倒です。

テープのカバーをむいてテープから直接吸い取れば、テープの中の部品は表を向いていて、しかも極性も一定方向を向いているので、とてもとても楽でした。

1608(0603)

最初に試しましたが、OKです。

吸着力が弱いので、ハンダペーストに触ると、ポンプが稼働していても勝手に離れてくれます。これはこれで便利です。

JIS2016(0806)

JIS2016(0806)サイズのチップコンデンサも、なんとか吸着できました。

これより大きな部品

JIS2016(0806)よりも大きな部品は、吸着することができません。そこで、直径3mmの吸盤(パッド A1166)を使います。

この吸盤は、HAKKOの吸着ピンセットを持っていれば、それに付属しています。

この吸盤を、元から付いてくるベントノズルに取り付けて、部品を吸着させます。

実装完了

かなりの量の部品を実装してみましたが、逆作用ピンセットで実装するよりもHAKKO 394のコードレス吸着ピンセットを利用した方が、実装時間が1/2くらいに短縮できたと思います。それくらい効率が上がります。

リフローして基板完成

ホットプレートでリフローします。熱電対温度計を使うと、基板の温度がモニターできるので、加熱不足や加熱し過ぎがわかり、とても便利ですよ。だいたいの温度がわかればいいので、安い物でも十分です。あると便利ですよ。

リフロー後、検査をして基板の完成です。HAKKO 394 コードレス吸着ピンセットを利用したおかげで、結構短い時間で完成しました。

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HAKKO 394を使うメリット・いまいちな点

使ってわかったHAKKO 394 コードレス吸着ピンセットのメリットをまとめます。

メリット:実装時間の短縮

何と言ってもピンセットを使うよりも、実装時間が短くなることです。テープに入った状態から部品をピックすることで、部品が必ず表を向いていて、かつ向きが一定になります。

部品をトントンして表を向くようにしたり、向きを確認して揃える手間が省けます。

また、ピンセットの場合、部品を置くときに半田ペーストが先端にちょっと付着しまうことがあって、すると次の時にはその半田ペーストによってピンセットと部品がくっついてしまい、ピンセットを開いても部品が離れないことがあります。そうならないよう、ピンセットの先端をアルコールで拭いたりする必要があるのですが、吸着ピンセットの場合はそんなことが起こりません。このことも、とても嬉しいです。

メリット:高密度実装

今回の基板はピンセットで実装することを前提に設計したので、高密度な部品間隔にはなっていませんが、基板に上から部品を置いて離すため、部品同士が近くても実装できます。

いまいちな点:弱い吸着力

とにかく吸着力がとても弱いです。なかなか部品が吸い付いてくれません。これはかなりのストレスです。ピック&プレースにかかる時間の多くが、この吸い付くまでの試行錯誤にかかってしまいます。JIS1608(0603)のチップ抵抗ですら弱いです。ポンプの力がもう少し強ければ、HAKKO 394はかなり便利なツールになるはずです。

2019.9.17追記
吸着力が弱いのは、ノズルが詰まっていたからでした。詰まりを解消したら簡単に吸着されるようになりました。こちら↓↓をご覧ください

追記終わり

メリットが勝る

しかしながら、このいまいちな点を含めても、メリットの方が勝ります。もうピンセットには戻れないくらい便利です。

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購入しておいた方がいい組み合わせ

実際に実装してみてわかった、HAKKO 394 コードレス吸着ピンセット以外に、チップ部品の実装に必要なオプション部品をまとめます。

絶対必要なオプション

チップ抵抗、チップコンデンサ、チップダイオード、SOT323など2mmくらいよりも小さい部品をピックするために、ベントノズルA1198が必要となります。

あった方がいいオプション

チップコイルや、SOPのICなど、3mmを超え5mm程度までのサイズの部品には、直径3mmの吸盤(パッド A1166)が必要となります。

QFPパッケージはオプション不要

QFPパッケージなど、5mmを超える部品にはHAKKO 394に付属のベントノズルと、直径5mmのパッドの組み合わせが使えます。

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買ってよかったHAKKO 394

吸い込み力が弱いですが、コードレス吸着ピンセットは実装時間が短縮できて、とても便利なツールでした。買って本当に良かったです。

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分解

吸着力を一定にする回路が入っていたら、吸い込む力を調整できるかなと思って分解してみました。

ネジ3つ外せば分解できます。

仕組みはとてもシンプルです。電池・スイッチ・ポンプ・ホースで構成されていました。

調整する仕組みはありませんでしたが、シンプルな構成のため、単純に電圧を上げれば吸い込む力を強くできるかもしれません。あとで試してみたいと思います。

HAKKO 394に使える、チップ部品吸着に最適なノズルを販売しています。