はんだペースト
はんだペーストは、歯磨き粉のようにペースト状になったはんだで、表面実装部品のはんだ付けに使われます。
基板上のランド部分にはんだペーストを塗布し、その上に部品を載せます。その基板をオーブンやホットプレートなどで加熱することで、はんだペーストが溶けて、はんだ付けが完了します。一連の作業の詳細はこちら↓↓をご覧ください。
低融点 鉛フリーはんだペースト
普通の鉛フリーはんだは、融点(溶ける温度)が220〜230度くらいと結構高いため、ホットプレートでリフローするとなると、温度が上がるのにとても時間がかかるか、ホットプレートに内蔵されているサーモスタット(温度センサ)が加熱し過ぎと判断して、途中で加熱が停止してしまうことがありました。
そこで、こちらの低融点の鉛フリーはんだペーストを買ってみました。
Sn-Bi系の鉛フリーはんだです。融点は138度で、普通の有鉛はんだの180度くらいよりも低い融点となています。
シリンジ型の容器のタイプを、このガンに装着して塗布します。
グルーガンのように白い引き金を引くと、針の先からはんだペーストが出てきます。ガンには、何種類かの太さの針が付属しています。いくつか試した感じでは、オレンジ色の直径0.6mmくらいの針が、塗布しやすい太さでした。
VGAインタフェース基板
回路
以前作った、MAX10 FPGAに接続できる、VGAインタフェース回路を設計しました。
RGB各8bitのパラレル入力で、その値をDA変換し、75Ωのドライバを経由して、VGAコネクタに出力します。この一連のことを、1つのICでやってのける便利なICが、アナログ・デバイセズ社のADV7123です。このICは10bit分解能ですが、今回は上位8bitのみ使っています。回路は、ほぼリファレンスと同じです。
KiCADで基板を設計し、JLCPCBに発注しました。
今回はお試しで3枚しか作らないので、ステンシルは作らず、はんだペーストガンを使って、はんだを塗布していこうと思います。
はんだの塗布
はんだペーストガンで、パターンにはんだを載せていきます。この低融点鉛フリーはんだは、硬さが丁度よく、基板にくっつきやすくて、とてもスムーズに塗布できました。
以前に買ったはんだペーストは、硬くて、基板にくっつかず、基板に綺麗に載せるのが難しかったため、1回試して以降、使っていませんでした。このはんだペーストは、柔らかく、いい感じに基板に載ってくれます。
部品の実装
新兵器であるコードレス吸着ピンセット HAKKO 394を使って、部品を載せていきます。普通のピンセットと違って、針の先に掃除機のように部品を吸い付けるので、部品をつまむのと、部品を置くのがとても楽。ピンセットには戻れない快適さです。あっという間に実装完了。スムーズに部品が実装できました。
HAKKO 394について、詳しくはこちらに書いてあります。
リフロー
ホットプレートでリフローします。だいたい110度くらいからはんだが溶け始め、130度くらいで全て溶け切った感じです。はんだが溶ける温度が低いので、加熱時間がいつものおおよそ半分くらいで済みました。短時間でリフローできるので、何枚もリフローするときには時間が短縮できます。これはとてもいい発見ですね。
あと、匂いがありません。鉛はんだの場合は、溶けるときに特有の匂いがありますが、このはんだペーストは、匂いがありません。
修正
ブリッジしているところを、はんだ吸い取り線を使って修正します。低温はんだのため、ハンダゴテで少し加熱するだけで、吸い取り線にはんだが吸い取られていきます。普通の鉛フリーはんだだと、なかなか吸い取られないのですが、低温フリーはんだだと、いとも簡単に吸い取られていきます。
はんだ吸い取り線はこれを使っています。2mm幅が経験上いい感じです。
修正した後は、フラックスクリーナーで基板に残ったヤニを綺麗に拭き取ります。
フラックス洗浄剤は色々なメーカーから出ていますが、サンハヤト製は塗った後に白くならず、綺麗に洗浄できるので、私はこのメーカー以外は使いません。
フラックス洗浄剤で綺麗にした後は、キムワイプで基板に残った洗浄剤を拭き取ります。これで修正が完了です。
基板の完成
コネクターをはんだ付けして、VGAインタフェース基板の完成です。
こんな感じに、自作したMAX10 FPGAボードに接続して使います。
あとで、FPGAのプログラムを作って動作チェックしたいと思います。
2019.9.20追加
VGAインタフェースボード正常に動作しました。
追加終わり
低融点はんだペーストのここがいい
今回購入した、低融点鉛フリーはんだペーストは当たりでした。硬さが丁度良く、基板にくっつきやすいので、ガンで塗布するのに最適です。
また、低温で溶けるので
- リフローの時間が短縮できる
- はんだ吸い取り線での修正がしやすい
と、作業効率が格段に上がります。
数枚しか基板実装しない場合には、今回のようなシリンジに入っているはんだペーストと、ガンの組み合わせがとても便利です。このガンはAliexpressでした見たことがないので、レアなのかもしれません。便利なのでぜひ使ってみてください。
今回購入した低融点鉛フリーはんだペーストはこちら。
超絶便利な、はんだペーストガンはこちらです。
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コメント
0.6mmの針と書いてありますが、外径ですか内径ですか??
内径だとQFPタイプのICには太くないですか??
0.8mmピッチのICでもランドは0.45mm幅くらいです。 0.5mmピッチなら0.3mm以下です。
ゴム無し注射器をホームセンターで買って、カップ入りのクリームハンダを詰めて、遠心力で空気とハンダを分離して、使う方法もあります。
クリームハンダを無洗浄フラックスで硬さを調整して注射器に詰め込むのが良いでしょう。
あと、30ccくらいの注射器にカップ入りのクリームハンダを詰め込んで、1ccの注射器(ゴム付きしか無いかも)にチューブで繋いで詰め替えると、針の細さが極細でも楽に絞り出せます。
針のサイズはステンレスのゲージパイプを購入して注射器に付けるのが、一番種類を選べる方法だと思います。
C言語勉強中さんコメントありがとうございます。
内径は0.33mmでした。フラットパッケージの場合、パッド1本1本にはんだペーストを載せるのではなく、パッドを横断してまとめて1本載せています。たまにブリッジしてしまいますが、あとで修正しています。
クリームハンダをシリンジに入れるという方法もあるんですね。硬さも調整できて便利そうです。私はシリンジにもともとはんだペーストが入っている物を購入しました。
色々貴重な情報ありがとうございます。勉強になります。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。