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ベッドに敷かない「はかり式」の離床センサーを作っています(その1:ハードウェアを作る)

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こんな状態になったらお知らせしてくれる仕組みがほしい

こんな状態とは

体調がすぐれないため、基本的にリクライニング付きのベッドで過ごしてほしい人が、

  • ベッドから降りて、トイレに行ったけど、いろいろあって戻ってこれなくなった
  • ベットから降りて、何かしようとしたけど、途中で力尽きて寝てしまった

という状態。こんな状態になったら、気づいて助けてあげる必要がありますが、家族が寝ている時とか、外出して家にいない場合は、気付くことができません。

最近流行りのIoTで解決を試みる

センサーで検知した情報を、インターネットを通じて、誰かに情報を提供する。まさにIoT(Internet of things)です。

センサーで離床を検知して、しばらくベッドに戻ってこなかったら、SNSなどを使って家族に通知することができれば良いわけです。

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まずはセンサーを調べる

ベッドから降りたことを検知して、家族に教えてくれる離床センサーはいくつか販売されていますが、基本的には2つの方式しかありません。

  1. ベットにセンサーマットを敷いておくタイプ
  2. ベッドの横の足元にセンサーマットを敷いておくタイプ

マットセンサとは、マットに圧力がかかった状態か、圧力がかかっていない状態かの2つの状態を調べることができる、マット形状のセンサーです。

ベットにセンサーマットを敷いておくタイプ

ベッドの上にマットセンサーを敷きます。センサが感知しやすいよう、背中あたりに敷くのが一般的。センサーから身体が離れて、センサに圧力がかからなくなったら、お知らせしてくれます

製品としてはこんな物になります。

欠点としては、ベッドから降りる降りないに関わらず、身体を起こしてしまうと、反応してしまうというところ。その対策としては、お尻あたりに敷くという方法もありますが、お尻がずれてしまい圧力が正しく加わらず、誤反応してしまうことも。

また、マットセンサ自体に厚みがあるので、背中に敷いてあると違和感があります。その違和感で利用を拒否されることもあります。

ずっと背中に敷きっぱなしなので、衛生面でも気になります。洗濯はできないので、たまに拭くくらいしかできません。

ベッド横の足元にセンサーマットを敷いておくタイプ

ベッドサイドの床に敷きます。ベッドから降りて、マットを踏むと反応してお知らせしてくれます。

商品としてはこんなものがあります。

欠点としては、踏まない場合があること。マットはベッドサイド全体をカバーすることはできません。よく降りるところに敷くことになりますが、たまたま変なところから降りてしまうと、踏まれず反応することができません。

また、踏むと家族に知らせが行くことを知っていて、迷惑をかけないよう、あえて踏まないという方もいます。

ベッドの重さを測ればいいんじゃないかな?

背中に敷くタイプは身体を起すと反応してしまい、床に敷くタイプは踏まれない恐れがあります。一般的な離床センサーでは、いまいち今回の問題を解決できません。

それならば、ベッドの重さを常に測っていて、ベッドに人が「乗っているのか」「いないのか」を重さで判断すればいいのではないかと考えました。

ちょっと調べたところ、リクライニング付きのベッドは120kgくらいあるようです。人の体重は50kgぐらい。増減しても±10kgくらいでしょう。ベッドと人の重量差がこれくらいあれば、安定してベッドの上に「いるか」「いないか」わかるのではないでしょうか。

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はかり式の離床センサを作る

さて、「はかり(体重計)」はどうやって重さを測っているのでしょう。

体重計はロードセルというセンサを使って重さを測っています。ロードセルは、金属の歪みの大きさを測るセンサです。重さで金属が押しつぶされて、金属が微妙に変形する量を調べます。ただしとても微量しか変化しないので、特殊な方法で測定する必要があります。

ロードセル

uxcell 体重計センサー ハーフブリッジ ボディロードセルセンサー 測量用 精度 50kg 4個セット

これを使います。普通のロードセルはフルブリッジといってセンサから4本の線が出ていますが、このロードセルはハーフブリッジといい3本しか出ていません。このセンサを4つ組み合わせて、1つのフルブリッジのセンサとして利用します。4つのセンサの接続方法は以下の図のようになります。

1つ50kgまで測れるロードセルなので、4つまとめて1つの物を測ると200kgまで測れることになります。ベッドが120kg+体重50kgで合計170kgくらいなので、十分測定範囲内ですね。

ロードセル測定モジュール

ロードセルのフルブリッジ回路から、重量に応じた電気信号を取り出したり、マイコンで取得できるようデジタル化するには、とても繊細な信号を扱うために難しいのですが、それらを簡単に処理してしまうHX711というICが載ったモジュールが売っています。

このモジュールに、先ほどのセンサから出ている4本の線をつなぐだけで、ロードセルの値をA/Dしてデジタルデータとして取得できるようになります。

買ってみた

こちらが、そのセンサーとHX711のモジュールになります。

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ケースの製作

はかりのケースを製作します。結構な重さがかかるので、高密度な構造のケースを3Dプリンタで作ることにしました。

3D CADでモデリング

まずはベースとなる部品をモデリングします。水色の部分にロードセルとHX711のモジュールが収まります。

続いて、はかりの天板をモデリングします。実際は、上下が逆さまにして使います。強度を上げるため、丸の部分に金属をはめこみます。この金属部分が、ロードセルの突起に当たることで、天板を支持する仕組みです。

スライサーで3Dプリンタのデータに変換

  • 壁の厚み4mm
  • 上部底面の厚み4mm
  • インフィル密度70%
  • 印刷速度50mm/s
  • 上面底面速度30mm/s
  • 印刷温度 200度
  • ビルドプレート温度 60度

で、データを作りました。後からわかりましたが、ケーブルを出す穴があって、中にサポートが作られてしまうので、サポートは無しにしないといけません。

こちらが天板です。

3Dプリンタで印刷

ANYCUBIC I3 MEGAで印刷します。

ANYCUBICは、ヒートベッドがガラスでできていて、定着がとてもよく、製作後は冷えると簡単に工作物が取れるので、最高に便利ですよ。

わんちゃんのご飯を入れるお皿みたいのができました。中身がほぼ詰まっている構造なので、完成まで20時間かかりました。大きな底面なので、完成直後はヒートベッドにガッチリくっついて全く取れませんが、冷えるとぽろっと取れました。

こちらが天板。厚みが10mmで中身が詰まっているので、10時間かかりました。こちらも出来たては、ヒートベッドにがっつりくっついていますが、冷えるとスルッと取れました。

このヒートベッドは、本当に便利です。ANYCUBICの3Dプリンタはオススメです。

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組み立て

ロードセルとHX711モジュールはこんな感じにセットされます。

それぞれを配線して、ベースの部分は完成。

天板のくぼみに、丸い金属板を両面テープで貼り付けます。

ベースに天板をはめ込んで、センサー部分の完成です。

次は、マイコンのプログラムを作って実際に重さを測ってみます。

2019.10.5 追加 つづきはこちら

追加終わり