UV-EPROMを消去したい
UV-EPROMの書き込み実験をしようと思っています。
UV-EPROMはとても古い古い書き換え可能なROMです。データの書き込みは、電気だけで書き込むことができますが、消去には紫外線が必要です。また、紫外線は紫外線でもUV-Cという殺菌に使われる波長が短い235.7nm程度の紫外線を照射する必要があります。最近、紫外線LEDがかなり入手しやすくなっていますが、UV-A(315nm以上)程度の波長なため、UV-EPROMの消去には向いていません。
普通はROMイレーサーを利用する
紫外線でUV-EPROMのデータを消去する装置を「ROMイレーサー」といい、こんな感んじの機械で、
オーブントースターのヒーターの部分が、殺菌用蛍光灯に置き換わったような仕組みになっています。ROMの上から紫外線を照射して、20分から30分くらいチンしたような気がします。
ROMイレーサは高い
ROMイレーサーはなぜか高価です。殺菌用蛍光灯とタイマーが付いているだけだと思うのですが、趣味で扱うには高すぎます。そこで、4Wの蛍光灯が付いたポケット蛍光灯(↓のような物)の
蛍光灯を、下のような4W殺菌用の蛍光灯に
交換して、紫外線照射装置に改造して、ROMを消去するというようなことを昔はやっていました。
電球型の紫外線ランプを発見!!
ROMのイレーサーに必要な、4Wの蛍光灯の安定器と、4Wの殺菌蛍光灯を買って、ROMイレーサーを作ろうかなぁと、Aliexpressを探していたら、なんと、電球型の殺菌灯が売っているではありませんか。
仕様を見てみると
10〜12Vの電圧で、3Wの電力を供給すれば、目的の254nmの紫外線が放射されます。10Vで3Wということは、300mA程度ですね。普通、紫外線蛍光灯を光らせるにはインバーターが必要で、高圧の交流で駆動する必要がありますが、これは直流電源だけでUV-A UV-Cの紫外線が得られてしまいます。
なんて素敵なんでしょう。
同じのがAmazonでも買えます。
E17殺菌電球
早速買ってみた
Aliexpressで注文して3週間。やっと届きました。蛍光灯のグローランプをちょっと長くした感じの外観です。ソケットはE17なのでグローランプのソケットが使えます。
「No Ozon」と「with Ozon」というタイプがあったので、とりあえず、それぞれ2個ずつ買ってみました。「No Ozon」は、紫外線は波長によっては酸素をオゾン化してしまうそうなので、その波長をカットしてくれているのかな?
実験開始
紫外線は目に悪いので、紫外線を遮蔽するために、ガラスの瓶に入れてみました。そして、10〜12V 300mAを目標に電源の電圧を上げていきます。
10Vにしても、12Vにしても紫外線が光りません。フィラメントがほんのり赤くなっている程度です。徐々に電圧を上げます。
16Vくらいでしょうか。フラッシュのように電球が光りました!。
切れました〜。
16V程度を境に放電が始まって、急激に電流が増加し、過電流に耐えられずフィラメントが破断したようです。
LEDドライバを使ってみる
この電球は、放電を開始するためには16Vくらいの電圧が必要ですが、放電が開始されると、16Vでは過電流となってしまうので、放電が開始されたら、300mAを上限とするように電圧を10Vから12Vに下げる必要があるようです。難しい制御が必要そうですが、そんな難しいことを簡単にやってのける部品があります。
LEDドライバです。
LEDは、流していい最大の電流が決まっているため、最大の明るさで光らせるためには、定電流のドライバが必要になります。1W(300mA)のLEDだとすれば1W(300mA)のLEDドライバを選択します。今回のE17殺菌電球も300mAです。1WのLEDドライバそのものズバリです。
まさに、これ↑のOSMR16-W1231です。OSMR16-W1213というのもありますが、1213は3W(1000mA)と電流が違うので注意してください。必要なのは、1W(300mA)のOSMR16-W1231です。
このLEDドライバにE17殺菌電球につなぎます。電源を入れると〜!!
いい感じに光りました。電圧は16Vです。電源を入れると、フィラメントが加熱され、放電が開始されます。定電流回路のおかげで、過大な電流が流れず、安定して点灯しています。上記の動画を見ていだだくとわかりますが、昔の蛍光灯が点灯するときみたいな、フィラメントがオレンジ色に光って、そのうちパッと明るくなる、そんな点灯の仕方をしますね。なかなか面白い点灯の瞬間です。
定電流ドライバがあるので、16V以上あれば、どんな電圧でも安定して光らせられます。入手しやすいACアダプタだと、24Vになるのかな?
いいですねぇ。神秘的な光です。強烈な紫外線なので、長いこと見ることはできません。
1WのLEDドライバを使って、E17殺菌電球の点灯に成功しました。この電球を使ってROMイレーサーを作りたいと思います。
Aliexpressで書いたい方はこちら
Amazonではこちら
1WのLEDドライバもお忘れなく。
いい感じの電圧19VのACアダプタもありました。
E17のソケットはこちら
つづきはこちら↓↓です。ROMライター基板を作ります。
コメント
大変恐縮ですが、以下の訂正をお願いいたします。
誤
(2) 直列に安定器としてコイル、コンデンサー、場合により抵抗を直列に入れる。
正
(2) 安定器としてコイル、コンデンサー、場合により抵抗を直列に入れる。
誤
(4) 蒸発した金属は、陰極に引き寄せられる一方、陰極付近
正
(4) 蒸発した金属は、陰極に引き寄せられる一方、陽極付近
訂正はここまで。
yamさん
貴重な情報ありがとうございます。直流で光らせると寿命が縮むんですね。
大変勉強になります。
ありがとうございました!!
初めまして。
大昔、EPROM消去用に殺菌ランプを電池駆動するため文献調査したときのメモです。
(1) 放電管は電圧ではなく電流駆動が原則。
(2) 直列に安定器としてコイル、コンデンサー、場合により抵抗を直列に入れる。
(3) フィラメント付きの放電管を直流点灯すると、陽極が局所加熱されフィラメントの蒸発が促進され(陽極加熱)、寿命が極端に短くなる。
(4) 蒸発した金属は、陰極に引き寄せられる一方、陰極付近の管球内面に衝突、付着するため光線透過率が低下し、ランプの輝度が減少する。
(5) フィラメントを持たないネオンランプやニキシー管等では直流点灯も可能。点灯制御する場合には、安定器として抵抗を使うのが原則。
6.8μFのコンデンサー(極性なし)を直列に入れてAC100Vでも点灯できました。
これは素晴らし情報ですね!
コンセントの電力で光らせる場合には、無極性の6.8uFを直列に入れれば、いいんですね。コンデンサがバラストになりますね。とてもシンプルな仕組みで光らせられて素晴らしいです。
いい情報をありがとうございました!!
追伸、以下の記事を見付けました。
消灯後の安全の為にコンデンサー放電用に100KΩ1Wの抵抗をコンデンサーと並列に入れるよう勧めています。
http://russellsrandomthoughts.blogspot.com/
2013/05/the-gtl3-bulb-simple-and-inexpensive.html ballasts become impractical at higher supply voltages because they dissipate so much power. Capacitive ballasts are a better choice if you’re running from AC. A 6.8uF 400V film capacitor works well for 120VAC 60Hz, and a 3.3UF 600V capacitor should be good for 220VAC 50Hz.
さらに良い情報ありがとうございます!
確かに、コンデンサに充電された電力を放電するために、抵抗があった方がいいですね。
教えて頂いたブログのコメントが盛り上がっていて面白いですね。
http://russellsrandomthoughts.blogspot.com/2013/05/the-gtl3-bulb-simple-and-inexpensive.html
コンデンサの値の求め方や、抵抗の必要性などとても勉強になります。そして、交流電源のコンデンサ+抵抗の回路から、直流の定電流電源に話が移っていくところも興味深いです。
いい情報ありがとうございます!!
「これは直流電源だけでUV-Aの紫外線が得られてしまいます。」
は、UV-Cでは?
ご指摘ありがとうございます!その通りですね。記事内を修正しました。
ありがとうございました。