kazzo cloneの在庫がなくなってしまったので、ちょこっとだけ増産しました。作る過程をご紹介します。
kazzo clone
kazzoはファミコンカセットのデータを吸い出したり、専用のカセットにプログラムを書き込んだりすることができる、特殊な装置です。吸い出したゲームは、エミュレータを使ってパソコンで遊ぶこともできます。
そんなkazzoをちょっと便利に使いやすくアレンジした、kazzo cloneを販売しています。今回、在庫がなくなってしまったので、増産することにしました。
はんだを印刷
こちらが、元の基板と、はんだを印刷するときに版として使うステンシルです。
基板の固定
まずは、ターゲットの基板の周辺に不要な基板を配置して、ターゲットの基板が動かないように固定します。
その上にステンシルを重ねて、位置を正確に合わせます。ステンシルは印刷中にずれないよう、上部を紙テープで不要な基板と貼り付けておきます。
ステンシルの上部にはんだペーストを載せます。はんだペーストは、ペースト状にしたはんだの粒子です。私は低融点はんだペーストのCHIPQUIKのTS391LT50を使っています。安価な中華製よりも粒子が細かく、版からの抜けも良いです。寿命があまり長く無く半年くらいで固くなり使えなくなってしまうのが、ちょっともったいないと思います。
CHIPQUIKで無くても中華製の低融点はんだペーストの、これでも十分です。
印刷
不要になったクレジットカードや会員カードをスキージ代わりに、はんだを印刷していきます。
とても綺麗に印刷できています。
全ての基板に、はんだが印刷できました。
部品の実装
私はピンセットでは無く、電動バキュームピック HAKKO 394を使って、部品を実装しています。
部品の上部を空気の力で吸い付けて、部品をピック&プレースします。
テープから直接部品を取ることができ、常に部品の向きが一定につまむことができます。ピンセットの場合、極性のあるダイオードや、ICなどの向きを1個1個調べながらつまむ必要があるので、とても面倒で時間がかかってしまいます。電動バキュームピック HAKKO 394にして、テープから直接ピックすることができるようになってから、実装時間がとても短縮されました。
ハンド実装されるのであれば、絶対におすすめの工具です。
小さな部品から大きなICまで、全て電動バキュームピック HAKKO 394であっという間に実装できました。
リフロー
私は熱風で加熱できる、コンベクションオーブンを使ってリフローします。
テスコム TSF601は、加熱の最中でも目標温度を自在に変更ができます。そのため、はんだペーストの温度プロファイルに合わせて、庫内の温度を随時調整することができ、とても便利です。
私は、K型熱電対温度計を庫内に取り付けておき、常に庫内の温度をモニターしながら、温度プロファイルに合うよう温度を調整しています。
綺麗に焼き上がりました。
全て綺麗にリフローできました。
DIP部品の実装
スイッチとコネクタをはんだ付けします。コネクタはピンが60ピンもあるので、結構大変です。
最後に基板の裏面にゴム足を取り付けます。ゴム足を取り付けることで、机に置いたときにショートが起きにくくなります。これで実装が完了しました。
動作チェック
USBでパソコンに接続します。kazzoというデバイスとして認識されます。吸い出しソフトanagoでカセットからの吸い出しを行ってみます。
kazzo cloneに実装されているLEDがクルクル回ってデータが吸い出されます。最後にソフト上にMario Bros.と表示されマリオブラザーズが正しく吸い出せたことがわかります。
全ての装置で動作を確認し、完璧に動作することがわかりました。
kazzo cloneの増産完了です。とても綺麗にできました。
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