Canola L1211
Canola L1211はCanonが1970年代に販売していた卓上計算機です。コンセントに接続して使い、オレンジ色の表示器が搭載されています。
丸みを帯びたタイプライターのような形状をしています。
この計算機、かなり古い物なので、しょっちゅう暴走して正常に動作しません。
中を開けてみる
中の状態
4本のネジを外すと、簡単に開けられます。
昭和49年7月17日というハンコが押してありました。この計算機は1974年製ということですね。
こちらがメイン基板。大きなLSIが2つ入っています。
こちらが、スイッチの基板です。
このスイッチ、普通のメカニカルキーではなく、磁石とリードスイッチを使った磁気センサー式のスイッチになっています。
基板の写真
せっかくなので、基板の写真を載せておきます。
メイン基板
各電圧を測ってみました。
- VDD:-10V
- VGG:-17V
- VHI:213V
- H2:73V
- H3:157V
- VM:-24V
- VE:-7V
LSIは5Vとか正の電圧で動作しているのかと思ったら、-10Vと負の電圧で動作しているようです。表示器系にはVHI,H2,H3と73Vから213Vが使われているのですが、それ以外は負の電圧になっています。
スイッチの基板
表示器
外観
表示器にはJRC(日本無線)のSEPTANIX J4923Aという物が使われていました。ソケット式なので簡単に取り外すことができます。
この年代の表示器に関して詳しくは、こちらのページに詳しく書いてあります。
ニキシー管の後に開発され、後にVFDが登場するまでの短い期間にだけ使われた表示器のようです。
点灯方法
同時期に開発された日立のラインスターH1833Bの資料に詳しく書いてあります。
基本的にはニキシー管と同じ方法で点灯させるようです。各桁のアノード電極に200Vくらいを印加し、各セグメントのカソードを抵抗50kΩ程度を挟んでGNDに接続すると、そのセグメントが点灯します。
ダイナミック点灯時に、OFFのセグメントが点灯するのを防ぐために、プリバイアスというアノード電極の電圧の半分くらいを500kΩの抵抗でカソードに印加(Epb2)しておきます。
配線
この表示器の端子のピッチは4mmで、現在このコネクタは売っていません。そこで、各電極に配線しピンヘッダでブレッドボードに刺せるようにしました。
ブレッドボードに刺さるようになったので、どのピンがどこにつながっているのか、ピン配置を調べてみました。
ピン配置
一番右の桁をA0として、左の桁にいく程数字が大きくなるとします。
7セグメントの各セグメント、ドットや'などのセグメントを以下の名称にします。DP,COM,S1,S2の名称はCalona1211の基板に書いてあったものです。
各ピン配置は以下のようになっていました。
ラインスターの場合は、一番左のNCはキープアライブというピンになっていますが、JRCのセプタニクスは何もつながっていませんでした。
点灯させてみる
高電圧を発生させる電源にはニキシー管時計にも使っている「NixeDCDC」を使って、180Vを印加してみました。
A1に180Vを、abcdefgに220kΩ、DP,COMに470kΩをつないでGNDに接続します。
光りました!ニキシー管のような色合いです。
Canola1211の基板では、アノード電圧は213V、カソードの各セグメントの抵抗は68kΩでした。今回アノード電圧は180V、各セグメントの抵抗は220kΩと、流している電流は小さいですが、きちんと光ることがわかりました。このときの各セグメントの電流は0.22mAでした。ラインスターの資料では1mAから1.5mA程度流しているようなので、もう少し上げてもいいのかもしれません。
一桁だけ光らせることができたので、ダイナミック点灯できるように回路を追加していこうと思います。
2021.4.10 追加 つづきはこちら
追加終わり
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