感熱紙は熱に反応して黒くなる用紙です。レーザーカッターはレーザーの熱で素材を焼き切ったり、焦がして模様をつけたりする機械です。これらを組み合わせて、レーザーカッターで感熱紙に絵が描けるかどうか実験してみました。
ちょうどいいパラメータを調べる
移動速度を上げてみる
過去の実験で、紙をカットするパラメータはスピード2000mm/min、パワー10%でした。
パワーは10%以下に下げるとレーザーが照射されないので、10%より下げることができません。カットされないためには、速度を上げる必要があります。とりあえずパワー10%、速度3000mm/minを試してみます。
smartDIYsCreatorに内蔵されている、星形を使って実験してみます。
ダンボールに感熱紙を貼って、EtcherLeaserProの中にセットします。
結果は、3000mm/minでもカットされてしまいました。しかも、角の部分がつながっておらず、角の部分ではレーザー光が出ていないことがわかります。
角まで綺麗に模様をつけるには、2000mm/min以下のスピードで描かないといけないことがわかりました。
焦点をずらしてみる
速度を速められないので、フォーカスをずらして熱量を下げる実験をしてみます。焦点をあわせるツールを縦にして、通常よりも焦点距離を離してみます。
黒い線が太くなっているので、フォーカスがずれて、レーザー光の直径が太くなっていることがわかります。しかし、これでも切れてしまいます。
さらにレンズを離してみます。机にあったモバイルバッテリーの厚みだけずらしてみます。
不思議な模様になりました。
感熱紙は、程よく加熱すると黒くなりますが、加熱しすぎると白くなってしまいます。一番外側の黒は程よい温度で黒く変化し、その内側の白は加熱されすぎて白くなり、一番内側は焦げて黒くなっているようです。
切れてはいませんが、これでは見た目が悪いです。
紙を挟んでみる
感熱紙の上にコピー用紙を重ねて、感熱紙に伝わる熱を弱める実験をしてみます。
kという字を描いてみます。スピードは綺麗に描ける最大のスピードの2000mm/minです。
コピー用紙は切れてしまっています。感熱紙はどうでしょうか。
残念ながら感熱紙まで貫通してしまっています。
コピー用紙2枚重ねにして、熱をさらに弱めてみます。
今度は弱くなりすぎました。熱量を上げるため、速度を下げて1000mm/minにしてみます。
1000mm/minでは感熱紙まで貫通して切れてしまいました。2000mm/minで弱く、1000mm/minで切れてしまうということなので、その間の1500mm/minにしてみます。
大丈夫。切れていません。
1500mm/minであれば、感熱紙が切れず、レーザーの熱で黒く模様を描くことができることがわかりました。
・感熱紙の上にコピー用紙を2枚重ねる
・スピードは1500mm/min
・パワーは10%
レーザーカッターに絵を描かせる
Plotter Fun
ペンプロッターをこよなく愛するmitxelaさんが、画像データからSVGファイルに変換してくれる、ユニークなWebアプリを提供しています。
どんなことができるかは、こちらのYouTubeをご覧ください。5:35から作品例が紹介されています。最初から見ると、mitxelaさんのペンプロッターへの愛の深さがわかります。
smartDIYsCreatorはSVGファイルを読み込むことができます。mitxelaさんのサイトで画像から変換したSVGファイルをsmartDIYsCreatorに読み込ませれば、レーザーカッターEtecherLaserProで絵を描かせることができます。
変換してみる
愛犬エヴァちゃんの画像を変換してみます。
暗い部分が大きいと、黒つぶれしてしまうので、明るさを調整しました。この画像をmitxelaさんのサイトに読み込ませます。
Algorithmのプルダウンで、いろいろな描画方法を選ぶことができます。今回はLineDrawにしてみました。スライドバーで、細かさやブレの大きさなど調整することができます。
いい感じになるように、スライドバーを調整して、「Dowmload SVG」をクリックすれば、SVGファイルをダウンロードすることができます。
EtcherLaserProで印刷
smartDIYsCreatorにダウンロードしたSVGファイルを読み込んで、サイズを調整。スピードを1500mm/minに設定して印刷開始。
ハッチが細かすぎて、熱を弱める役目のコピー用紙が細かくカットされ、エアーブローの風で吹き飛んでいます。
こちらが、感熱紙にレーザーカッターで描いたエヴァちゃんです。
黒い部分は、ズタズタにカットされてしまっています。
やり直し
先ほどよりも、ハッチを荒くして再度挑戦してみます。
EtcherLaserProで描いていきます。
いい具合に仕上がりました。
若干切れてしまっていますが、許容範囲でしょう。
レーザーカッターで感熱紙に絵が描けました
レーザーカッターEtcherLaserProで、感熱紙に絵を描くことができました。mitxelaさんのサイトでは、様々なアルゴリズムの模様のSVGファイルを生成できるので、いろいろな作品が作れそうですね。
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