クリスマスまであと1ヶ月となりました。PCBアートは、配線パターンやレジスト、シルク印刷を組み合わせて、プリント基板で絵を描くアート作品です。クリスマスも近いので、PCBアートでクリスマスの飾りを作り方を紹介したいと思います。
使える色
PCBアートで使える色は、基本的に5色となります。
暗いレジストの色
レジストは、プリント基板の配線を保護する目的で塗られる保護膜です。プリント基板を製造するメーカーによって様々な色が選べます。
例えば中国の基板製造メーカーPCBWayの場合、レジストの色は、緑、赤、黄色、青、白、黒、紫などの9色の中から選ぶことができます。違う製造メーカーによっては、ピンクや水色といった色を用意しているところもあります。
明るいレジストの色
レジストの下に銅箔(配線パターン)がある場合、銅箔が光を反射するので、レジストの色が明るく見えます。
緑、紫、赤、黄色、青のレジストは、透明な塗料なので銅箔が透けて明るく見えますが、白、黒、水色、ピンクといったレジストは、不透明な塗料のため、明るく見えないので注意してください。
シルクの色
シルク印刷は、部品番号や製品名などを基板に表示するための印刷です。基本的に白色です。
基板の色が白い場合には、黒いシルク印刷となります。PCBWayは、白と黒のどちらの色も選択できます。
メッキの色
むき出しの銅箔の部分です。一般的に、メッキ加工されます。
PCBWayの場合、「はんだレベラー」はハンダメッキされるので銀色に、「無電解金フラッシュ」は金メッキされるので金色になります。PCBWayで表面処理を「しない」を選ぶと銅色になります。銅は酸化しやすいので、そのうち茶色になってします。
基板の色
一般的なFR4と呼ばれる基板の場合、暗い黄色をしています。
画像ファイルの用意
絵を描く
制作する画像の解像度は300DPIに設定します。画像のサイズは、自由に設定していいですが、100mm x 100mm以下がおすすめです。ほとんどの基板製造メーカーは100mm x 100mm以内であれば、とても安く基板を製造してくれます。
ここに、先ほどの5色を使って絵を描きます。
基板製造の仕様上、銅箔やシルク印刷の幅は2ドット以上必要です。そのため、明るいレジストの色とメッキの色、シルクの色は2ドット以上の太さにしてください。1ドットだと細すぎて再現されません。
また、もし電子部品を取り付けるのであれば、その部分に銅箔があってはいけません。上のクリスマスリースの暗い緑の丸のように、部品を取り付ける部分は暗いレジストの色にしておきます。
白黒画像へ変換
基板の配線やレジスト、シルク印刷用のデータを作るための画像ファイルに変換します。
Cu層の画像ファイル
銅箔の部分の画像データを作ります。描いた絵の色うち
- 明るいレジストの色
- メッキの色
- シルクの色
の部分を白に、そのほかの色を黒にします。ファイルはBMP形式で保存します。
レジストマスクの画像データ
レジストを塗らない部分の画像に変換します。描いた絵の色の中の
- メッキの色
- 基板の色
の2色のみを白にして、他の色を黒にします。BMP形式で保存します。
シルク層の画像ファイル
シルク印刷のための画像データを用意します。描いた絵の色の中の
- シルクの色
のみ白にして、他の色を黒にします。BMP形式のファイルで保存します。
KiCadで部品登録
無料で利用できるKiCadで、基板を設計します。
先ほど作ったBMPファイルを、KiCadで扱えるデータ形式に変換します。
右上の「a」のアイコンをクリックします。
Cu層
「ビットマップをロード」をクリックして、先ほど作ったCu層のBMPを読み込みます。
- 解像度を300DIPにセット
- フォーマット:Pcbnew(.kicad_modファイル)
- 画像オプション:ネガにチェック
- 使用するレイヤー:表面層はんだマスク(Cu層がないのでとりあえずこれを選ぶ)
と設定して、「エクスポート」をクリック。
わかりやすい名前とCuをつけて、プロジェクトのフォルダに保存します。
「設定」-> 「フットプリントライブラリーを管理」をクリックします。
左側の「+」をクリックして、プロジェクトのフォルダを、フットプリントライブラリーに追加します。
ICのマークのアイコンをクリックして、フットプリントエディタを開きます。
追加したフットプリントライブラリの中から、Cu層のデータをダブルクリックして表示させます。
紫色の部分を全てCu層に再設定していきます。
紫の部分をクリックして選択し、右クリック。「プロパティ」を開きます。または、紫色の部分でダブルクリックします。
レイヤーのプルダウンを「F.Cu」に変更して「OK」をクリックします。
この作業を、全ての紫色の部分に対して行います。
全て茶色になったら、左上の「保存」のアイコンをクリックして、データを保存します。
レジストマスク
レジストを塗らない部分のデータを作ります。「a」を再度クリック。
「ビットマップをロード」をクリックして、先ほど作ったレジストマスクのBMPを読み込みます。
- 解像度を300DIPにセット
- フォーマット:Pcbnew(.kicad_modファイル)
- 画像オプション:ネガにチェック
- 使用するレイヤー:表面層はんだマスク
と設定して、「エクスポート」をクリック。わかりやすいようにファイル名に「RegistMask」と入れてプロジェクトのフォルダに保存します。
シルク層
再び「a」のアイコンをクリック。
シルク層のBMPファイルを読み込んで、
- 解像度を300DIPにセット
- フォーマット:Pcbnew(.kicad_modファイル)
- 画像オプション:ネガにチェック
- 使用するレイヤー:表層面シルク
として、「エクスポート」をクリック。ファイル名にわかりやすいように「Silk」と追加して、プロジェクトのフォルダに保存します。
基板の作成
画像部品の配置
データの準備はできたので、基板を作っていきます。基板のアイコンのPcbnewをクリックします。
位置ぎめしやすいように、グリッドを5mmに設定しておきます。
右側のICのマークのアイコンをクリックしてから、黒い画面中央をクリックします。
コンポーネントを選択のウィンドが開くので、先ほど追加したライブラリーの中から「Cu」の名前のある部品を選択し、OKを押します。
画面の中央に配置します。
同様に、「RegistMask」と「Silk」の部品も読み込んで、重ねていきます。
思った通りの基板になっているか、確かめてみましょう。
「表示」->「3Dビューアー」をクリックします。
イメージ通りになりましたでしょうか。画像が複雑な場合、3Dビューアーが表示されるまで数分かかることもあるので、表示されるまで気長に待ちましょう。
基板外形の設定
基板の形状を設定します。右側のラインや半円などをクリックし、さらに右の黄色の「Edge.Cut」を選択します。
あまり細かい凸凹は製造できないので、円弧などを使って凹凸を表現してみました。この外形線は、必ず始点と終点がつながっている必要があります。途中がつながっていないと、正常なデータにならないので注意してください。
3Dビューアーで見てみましょう。想像通りになりましたか??
部品は背面に
回路の部品は背面に配置します。今回は、先日作った、人に反応してLEDがレインボーに光る回路を組み込みました。回路については👇👇👇をご覧ください。
表面にはレインボーに光るLEDを配置しました。
これで、基板の設計は完了です。
ガーバーデータを生成
基板製造メーカーに発注するための、ガーバーデータというファイルを作ります。
左から5個目のプロッターのようなアイコンをクリックします。
ガーバーファイルを出力するフォルダを指定します。右上のフォルダのアイコンをクリック。
わかりやすように、「gerber」などとしてフォルダを作ります。
再度フォルダのアイコンをクリックして、先ほど作った「gerber」フォルダを選択します。
ガーバーオプションの
- Protelの拡張子を使用 をチェック
- ガーバージョブファイルの生成 のチェックを外す
をして、上記のような設定にします。
右下の「製造ファイル出力」をクリックしてガーバーファイルを生成します。
ドリルデータを生成します。「ドリルファイルを作成」をクリック。
左上の「PTHとNPTHを一つのファイルにマージ」にチェックを入れて、上記のような設定にし、「ドリルファイルを生成」をクリックします。「閉じる」でウィンドを閉じます。
gerberフォルダに、上記ように10個のファイルができれいれば、ガーバーファイルは正常に作られています。
これらの10個のファイルをzipで圧縮します。
わかりやすいファイル名に変更して、基板製造メーカーに発注するためのガーバーデータが出来上がりました。
基板の発注
データの登録
今回は日本語で注文できるPCBWayに基板を発注したいと思います。オレンジ色のボタンの「今すぐお見積もり」をクリック。
- 基板のサイズ:今回は100mm x 100mm
- レジストの色:今回は緑色
- 表面処理:今回は金色なので無電解金フラッシュ
と、描いた絵の色に合わせて設定をして、右側の緑色の「カートに追加」をクリックします。
ガーバーファイルをアップロードするウィンドが表示されるので、青色の「ガーバーファイルを追加」をクリック。
先ほど生成したzipファイルを指定して「開く」をクリック。ファイルのアップロードが始まります。
アップロードが完了したら、緑色の「今すぐ注文する」をクリックします。
PCBWayによって、基板データのチェック(レビュー)が始まります。
数分待つとレビューが完了します。PCBWayは、他の基板製造メーカーよりも、レビューにかかる時間が断然短いです。とても良いサービスです。
右下のオレンジの「チェックアウトに進む」をクリックして支払いに進みます。
支払いと発注
お好みの発送手段を選択し、オレンジ色の「注文する」をクリックします。支払いのウィンドが表示されるので、支払いを完了させます。
製造が開始されました。あとは、届くのを待つだけです。
約10日後...
基板が届きました!
PCBWayは基板の製造と出荷がとても早いです。発注して約10日で受け取れました。
とても綺麗に基板が仕上がっています。
早速組み立て。組み立てはとても簡単です。
完成!PCBアートでできた、クリスマスリースの完成でーす。
SR602の人感センサを搭載しているので、人に反応してLEDがレインボーに光ります。暗いととても綺麗ですよ。
🎁プレゼントコーナー!
PCBアートで作ったクリスマスリースをキットにして、先着10名の方にプレゼントいたします。下のフォームよりお申し込み下さい。フォームか表示されない方は、こちらをクリック。
送信をクリックするとthankyou[@]kohacraft.comよりメールが届きます。届かない場合には、迷惑メールフォルダに入っていないか確認していただき、無ければLab[@]kohacraft.comまでご連絡ください。
頂いた個人情報は発送にのみ利用し、1ヶ月以内に消去いたします。
ご応募お待ちしております。
クリスマスリースの組み立て方
電池ボックス
電池ボックスを取り付けます。
右下に+のマークになる向きにはんだ付けします。
マイコン
マイコンは、8ピンのリードを上の写真のように曲げます。
左上に●印がある向きにしてはんだ付けします。
MOS-FET
2N7000の印字を表面にして、リードを広げてはんだ付けします。
LED
基板を表面にして、LEDをはんだ付けします。
長いリードが右側の+に刺さります。
4ヶ所とも右側が+になっています。
人感センサ
人感センサをはんだ付けします。
ピンヘッダが上になるように取り付けます。
以上ではんだ付けは完了です。
電池の取り付け
CR2032と印字された面が表を向くようにして、電池ボックスに挿入します。
人に反応してLEDが光ります。10秒間光って自動で消灯します。人が動くとまた光だします。
紐を結ぶ
紐を結べば、完成です。
玄関やクリスマスツリーなどにぶら下げて、素敵な光を楽しんでください。
コメント
Hello!
I received your package, it’s very nice, and it’s also a very beautiful project.
Thank you so much for the gift!
Happy New Year! 🙂
Hi Aleksandr,
I'm glad you like it!
Happy New Year🎉
hi, will there be access for the pcb how is it here?
https://www.pcbway.com/project/member/?bmbno=8CC4694E-925D-44
Hi Aleksandr!
That project was created in last year.
You can order and make new one on PCBWay.
https://www.pcbway.com/project/shareproject/The_colorful_flashing_LEDs_Christmas_Wreaths_with_motion_detection.html