フルスペクトラムLED
太陽光のようなフルスペクトラムの光を発生させるLEDを入手しました。このLEDは複数のLEDチップが1つのパッケージに入っているCOBのタイプで、光らせるためには34〜38Vの電圧が必要です。
このLEDを12Vや24Vといったバッテリーで光らせられるようにするための、定電流LEDドライバ回路を設計したいと思います。
昇圧型の定電流LEDドライバ
降圧型のLEDドライバは一般的に良く売っているのですが、電源電圧よりも高い電圧に昇圧してLEDを定電流駆動するタイプのLEDドライバは、見かけたことがありませんでした。
あれこれ探していると、XLSEMIという半導体メーカーのXL6013というICを見つけました。
このICは、設定した電流になるように昇圧する電圧を調整してくれます。
回路設計
電流の設定
LEDに流れる電流は、フィードバックピンFBに接続した抵抗値によって決定されます。
ILED = 0.22 / RCS
なので、 RCS = 0.22 / ILED と変換でき、
LED電流を最大の150mAにしたいので、ILED = 0.15[A]なので、
RCS = 0.22 / 0.15 = 1.46666 ≒ 1.5[Ω]
抵抗による損失[W] = 0.22^2 / RCS = 0.22^2 / 1.5 = 0.032[W]
RCS = 1.5Ω 1/10Wの抵抗とします。
過電圧保護
LEDが不具合や寿命で切れてしまった時、フィードバックピンかかる電圧がなくなってしまうため、昇圧される電圧は回路で発生できる最大電圧まで高くなってしまいます。この高電圧を防ぐために、過電圧保護機能を追加します。
具体的には、フィードバックピンにツェナーダイオードを接続することで、昇圧した電圧がツェナー電圧を超えると昇圧動作が停止するようにします。
ツェナー電圧はLED電圧の1.3倍に設定するとあるので、
Vdz = 1.3 * VLED = 1.3 * 38 = 49.4 V
近い値として51Vのツェナーダイオードとします。
調光機能
このICには調光設定用の入力端子がありません。その代わり、フィードバックピンをHiにして昇圧動作を止めることで、調光を実現します。
回路図
これまでの、設計をまとめるとこうなります。
さらにD1は60V耐圧から100V耐圧に変更。R1は一般的な2.2kΩに変更しました。
電源電圧
回路が安全に動作する推奨電圧範囲のグラフから、動作電圧の最低値を読み取ります。LED電圧38Vの時、入力電圧は12Vでした。このことから、この回路は電源電圧が12V以上あれば正常に動作します。
以上で、12V以上でフルスペクトラムLEDを定電流駆動できる回路が設計が完了しました。
基板を設計してJLCPCBに発注したいと思います。
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追加終わり
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