マジックマウスの静音化依頼があったので、スイッチを交換しました。スイッチの交換方法をご紹介します。
スイッチ基板の取り出し
スパッジャーを使って、内部4カ所にある爪を解除し、天板と底板とを分離します。
爪は上の写真の4カ所にあります。金属製のマイナスドライバーですと、傷をつけてしまう恐れが高いので、樹脂製のマイナスドライバーのような形状の物を使った方がいいでしょう。
爪を全て外した後、注意が必要です。天板と底板とは、薄いフィルムケーブルで繋がっています。爪は外れましたが、天板と底板とはつながっているので、大きく開けてはいけません。下の写真のように、少しスライドするだけにします。
スイッチの基板はトルクスネジで固定されています。
トルクスネジを外すと、スイッチの基板が外れます。
スイッチの交換
スイッチを基板から外します。この基板はとても放熱性が高く両面基板でもあるので、はんだ吸い取り線ではんだを除去してスイッチを取り外すのは、とても困難です。
そのため、私は超低融点合金はんだを使います。
このはんだは80度程度まで冷めても溶けた状態を維持できる特殊な合金(アロイ)です。このはんだをスイッチの3つのピンにはんだ付けし、はんだごてで3つのピンを順番に加熱していくと、3ピンともはんだが溶けた状態になります。
スイッチが基板から抜けました。
スイッチ基板に残ったはんだを、はんだ吸い取り線で除去します。
マジックマウスは消費電力を極力減らすためなのか、スイッチに電気を供給しているプルアップ抵抗が数MΩととても高いです。そのため、フラックが基板に大量に残っていると、スイッチをクリックしていないのに、クリックされたような動作不良を起こすことがあります。
そこで、フラックス除去剤で基板のフラックスを綺麗に除去します。フラックス除去剤はいくつかのメーカーから販売されています。サンハヤトのフラックスクリーナーは、クリーニングした後に基板が白くなることがないので、ずっとこれを使っています。
フラックスが取れて、綺麗な基板になりました。
静音スイッチ、Kailh ミュートスイッチに交換します。
ここで注意することは、スイッチのリードを基板から飛び出さないように、最短でカットすることです。
というのも、このスイッチ基板の下にはマジックマウスのアルミ製の底板が近接して、リードが長いと底板に接触してしまいます。底板はGNDに接続されているため、スイッチのリードが底板に接触すると、スイッチが押されたと同じ状態になってします。
はんだが凸の形状にならないように、最低限ですが確実に接続される量だけはんだ付けします。
さらに安全のため、ポリイミドテープを貼って絶縁しておきます。
組み立て
トルクスネジでスイッチ基板を固定していきます。写真奥の2つは長いネジ、手前1つが短いネジです。長さが違うので気をつけてください。
天板をはめて改造完了です。無理やりはめると爪が折れてしまうことがあります。爪が折れてしまうと、うまくクリックできなくなってしまいます。慎重にゆっくりとはめてください。
動作確認
MacBookでマウスを無線接続します。左クリック、右クリック、ジェスチャーが正しく動作するか確認します。
確認が終わったら、マウスとの無線接続を切り、マウスの電源を切って、全ての作業が完了です。
静音化改造すると、こんなに静かになります。
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これまで、かなりの数をこなして来ました。カチカチッというクリック音が気になるなという方にはおすすめです。
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