レーザーカッターで用紙から文字を切り抜く方法をご紹介します。
普通のフォントは
の「o」や「a」のように、閉じたループのある文字があります。この文字の輪郭をレーザーカッターでカットすると、「o」のなかの白丸は取れてしまい「●」のような穴が開いてしまいます。
そこで、A、B、D、O、P...など閉じたループがある文字でも、穴が開かずにカットする方法をご紹介します。
ステンシルフォント
フォントの種類の中に、「ステンシル」という種類があります。
Adobe Fontsで、左側のタグの「12以上を表示」をクリックします。
すると、「ステンシル」という選択肢が出てくるので、それをクリックします。ステンシルとは転写シートのことで、この文字の黒い部分をくり抜いて板などに貼り、スプレーなどで塗装すると、板に綺麗な文字を転写することができます。
このフォントを使うと、先ほどの「kohacraft.com」は
このようになり、「o」や「a」の閉じたループの中をサポートする白い線が入ります。
レーザー加工するためのアウトライン化
Illustratorで先ほどのステンシルフォントを使って文字を描きます。レーザーカッターでは輪郭をカットしたいので、輪郭線のみのデータに変換する必要があります。
そこで、文字を選択して右クリック[アウトラインを作成]をクリックし、輪郭線のデータに変換します。
フォントの輪郭線のデータが生成されました。
このデータの「塗り」はレーザーカットには不要なので、斜めの赤い線の「色なし」に変更。
輪郭線の「線」の色をお好みの色に設定します。今回は「黒」にし、線の太さを「0.5point」と細くします。線の太さはレーザーカットとは無関係ですが、細い方が見易いためです。
できたデータをSVG形式で保存します。
レーザーカッターで紙をカットしてみる
レーザーカッターにはEasy DIYs Creator社のEtcher Laser Proを使っています。
このレーザーカッター付属のソフトで、先ほどのSVGファイルを読み込みます。EtcherLaserProの素晴らしい点は、カメラ機能があることです。レーザーカッターに搭載されたカメラで、加工機内を撮影し、素材のどこをレーザーカットするのかを、とても簡単に設定できます。
一般的なレーザーカッターはこのカメラ機能がありません。そのため加工データの位置に、素材の位置を合わせる作業が必要です。カインズなどにある時間貸ししてくれる加工機も同じです。
手順としては、加工機のレーザーが出る最初の位置を調べて、そこから自分の加工したいデータの位置がどれだけずれているか計算し、レーザーが出る最初の位置から先ほどのそのずれた位置に素材を置きます。ずれている位置を計算するのが面倒なので、大抵の場合は加工機内の左上ぴったりに素材を置いて、加工するデータも左上に配置して、加工するのが一般的です。
読んでも意味がわからないでしょう。わからなくてもいいんです。
これに対して、EtcherLaserProは、素材の位置に、加工データを合わせることができます。どういうことかと言うと、加工機内に置かれた素材をカメラで撮影し、その画像の素材の位置に加工データをマウスで操作して配置します。
上の写真ですと、加工機の中に紙が入っているのですが、この画像を見ながら、加工データの位置を決定できます。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、この記事の後半でこの素晴らしさがわかると思うので、今はカメラがついているのね程度でいいと思います。
カットパラメータは
- スピード:2000mm/min
- パワー:10%
としました。パワーは10%以下では0%と同じなので、10%が最小出力です。
スイスイ加工されていきます。
切り抜きたい部分の角が、周辺とつながっていて、切り抜けませんでした。
加工パラメータを変更します。
- スピード:1000mm/min
- パワー:10%
と速度を下げてみます。
あらら。
今度は、閉じたループの中が取れてしまいました。ステンシル文字の意味がありません。
パスのオフセット
閉じたループを支える線が細すぎたために、レーザーでその細い線が焼き切れてしまいました。そこで、支える線の幅を広くします。
[効果]->[パス]->[パスのオフセット]
オフセットをマイナス0.1mm〜0.2mmくらいで調整してみてください。上の画像の青い線が元のフォントの輪郭で、黒い線がオフセットした輪郭線です。元の線よりも一回り縮んで、輪郭線同士の隙間が広がりました。
このデータをSVG形式で保存して、レーザーカッターでカットしてみます。
加工パラメータは
- スピード:1500mm/min
- パワー:10%
先ほど焼けすぎたので、速度を少し速くしてみました。
うーん。
切り抜きたい部分が、切れていません。でも、いい感じです。
加工パラメータを
- スピード:1000mm/min
- パワー:10%
とスピードを下げて、しっかりを焼き切るようにしてみます。
お! なかなかいいのではないでしょうか。
この状態で、すでに切り抜きたい部分は、ほとんど切れています。
取り出してみると、切り抜きたい部分は全て切り抜けており、残したい部分はしっかりと残っていました。右がオフセットなし、左がオフセット-0.2mmです。
とても、綺麗にできました。
綺麗なステンシルの文字になっています。
ただ表面が、レーザーの熱で若干色がついています。
ロールふせん登場
木材を加工するときも、同じように加工した表面が茶色く変色してしまいます。そこでf木材の場合はマスキングテープを貼って、表面の変色を防ぐのが一般的です。
しかし、紙にマスキングテープを貼ると、接着力が強く、マスキングテープを剥がす時に紙が破けてしまいます。
何かいい物ないかと探していたら、カインズホームにロールふせんという物が売っていました。ポストイットの幅広テープ版といったところです。
これを紙に貼ります。
EtcherLaserProのカメラ機能で紙を撮影して、ロールふせんの上に、加工したいデータを配置します。これがカメラ機能の超絶便利なところです。素材の位置に合わせて、加工データを配置することができるんです。
普通のレーザーカッターは逆で、カットするデータの場所に合わせて素材を置かないといけません。当然カットするデータの位置は目では見えません。見えないのですが、なんとか計算して置く場所を決めます。もちろん計算を間違えると、全然違うところをカットしてしまいます。
EtcherLaserProのカメラ機能のおかげで、簡単な操作だけで必要な場所を加工することができます。
スピードは先ほどと同じ1000mm/minですが、綺麗に切れていそうです。
おおおおおおお。簡単に剥がせます。さすがポストイット。
表面を保護した場合としない場合を比べてみましょう。上がロールふせんを貼った場合、下が何も保護がない場合です。わかりにくいかもしれませんが、カットした付近にあるフワフワとした変色がロールふせんによって防げています。
厚紙をカットしてみる
これまではA4のコピー用紙でテストしてきました。ステンシルフォントを使って、メッセージが切り抜かれたカードを作りたいと思っています。
用紙には両面印刷可能な厚みのある紙を使います。
先ほどと同じパラメータでは、切り抜きたい部分の一部が切り取れませんでした(上の写真の上段)。そこで、パワーをちょっと上げて
- スピード:1000mm/min
- パワー:15%
にしてカットしてみたところ、綺麗に切り取れました(上の写真の下段)。
パワーを上げたため、カットした部分付近にフワフワと変色したところがあります。
紙にロールふせんを貼って、その部分を加工するようにSmartDIYsCreatorで設定します。
綺麗にカットできています。
ポストイットの剥がれていく感覚は気持ちいいですね。
写真左が保護なし、右がロールふせんの保護付きです。全然違いますね。ロールふせん素晴らしです。
紙を加工するときにロールふせんを貼れば、表面を保護できることがわかりました。
ロールふせんで遊んでみる
ふと思いつきました。ロールふせんに印刷したら、オリジナルデザインテープが作れるのではないかと。
A4のコピー用紙にロールふせんを貼ります。
プリンターの給紙トレーに入れます。
印刷します。
何か、とてもいい感じな気がします。
ペラペラペラと剥がして...
貼れます。既製品のようなクオリティです。長いのは無理ですが、オリジナルのテープが作れますね。
お!
先ほどの保護の役目をしていたロールふせんを貼ってみました。こういったシールもいいですね。
シール?!
シールも作ってみましょう。
ふせんシールを貼った位置を測って、その位置に画像を配置します。
印刷します。
剥がします。
貼れます。シールができました。
貼って剥がせるのでどこにでも貼れます。
こんなことろにも。
遊んだ後は、綺麗に剥がせます。
ロールふせんの可能性は無限大なことがわかりました。
なんとダイソーにも売っていました。オリジナルのテープやシールが作り放題です。
あれ、何をしたかったんだったのか忘れてしまいました。
ポストイット面白いですね。
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