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レーザーカッターでメッセージカードを作っていたらウクライナの天使に出会ってしまいました

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前回はステンシルフォントを使うと、レーザーカッターで切り抜き文字が作れることがわかりました。今回はそれを使ってメッセージカードを作りたいと思います。

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メッセージカードのイメージ

これは昨年のクリスマスに企画した、クリスマスリースキットに一緒に入れたカードです。カードの片面に模様をレーザーカッターでくり抜いて、カードの内側の色が見えるようになっています。

レーザーカッターで模様をくり抜く他にも、折り目をつけるための破線や、カードの外形もレーザーカッターで一緒にカットします。

紙に印刷し、レーザーカッターでカットするだけで、上の写真のようなカードが作れてしまいます。前回のカードの作り方の詳細については、こちらをご覧ください。

前回は雪の結晶でしたが、今回はステンシルフォントを使ってメッセージにします。

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フォントの選択

Adobe Fontsにあるステンシルフォントを一通りアクティブにしてイラストレータで使えるようにしておきます。そして、イラストレータの文字のプロパティに「stencil」と入れると、ステンシルフォントが検索されて表示されます。

この中から良さそうなフォントをいくつか選び、カードに配置してみます。

「Thank you...」の文章はレーザーカッターで切り抜き、右下に「kohacraft.com」の印刷を入れます。

数あるステンシルフォントの中から、8種類選んでみました。そして文字の輪郭線だけにし、オフセット調整します。詳しくは昨日の記事をご覧ください。

フォントによっては、オフセットの調整具合で細い部分が消失してしまう場合もありました。そのため、それぞれのフォントに対してオフセット調整をする必要があります。

また、紙の四角に+マークを描いておきます。このマークは印刷とレーザーカットとの位置合わせをするために利用します。

印刷データの用意

先ほどのデータから、印刷する部分だけ残します。カードの外形は本来は不要なのですが、どの程度ずれるのか確認するために、残しておきました。

カットデータの用意

カットする部分と、紙の四隅に描いた+マークを残します。これをsvg形式で保存します。

smartDIYsCreator

レーザーカッターEtcherLaserProの中に、印刷した紙を入れます。

smartDIYsCreatorという専用のソフトに、先ほど作ったsvgファイルを読み込みます。カメラ機能を使って、加工機内の写真を撮り、カットデータとの位置合わせをします。

家にあるプリンターは徐々に傾いて印刷するみたいです。そのため、紙の上部の+マークと紙の下部の+マークがSVGファイルの+マークの位置とぴったりとは合いません。移動と回転をして、それぞれのズレが小さくなるように位置合わせを行います。

カットパラメータはコピー用紙なので

  • スピード:1000mm/min
  • パワー:10%

です。

カットしてみる

それではレーザーカッターでカットしてみましょう。

ほぼ正確な位置をカットしています。

カット見本ができました。この中から1つだけフォントを選び出します。

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カードの内側に使う画像の素材を探す

カードの表のデザインが決まったので、次はカードの内側をデザインしていきます。上の写真の右側になります。表面が白いので、内側の色は濃い方が視認性が良さそうです。

今回は、ウクライナの友人を支援してくれた方への、お礼のメッセーカードを作りたいと思っています。そこで、友人のウクライナにちなんだデザインを考えます。

Adobe Stock

Adobe StockはAdobeの有料の素材サイトです。

通常ライセンスを取得すれば、Webでの利用や商用利用も可能になります。

素材が安心して使えるので、試しに「通常アセット」プランを契約してみました。

素材探し

ウクライナの国旗の由来は、青い空と金色に実った小麦という説があるそうです。ウクライナは小麦の生産量が世界で7番目に多い国(外務省のサイトより)で、ヨーロッパの穀倉地帯と言われています。とても豊かな大地が広がっているんでしょうね。

そこで、Adobe Stockで、「空 小麦」というワードで検索してみます。

検索結果に空と小麦畑のたくさんの写真が表示されます。

似たような空と小麦畑写真が続きます。次のページ、次のページと進んでいくと、一つの写真に目が止まりました。

A child in a wheat field. Selective focus.

なんて可愛いのでしょう。金色の麦畑に舞い降りた天使のようです。と同時に涙で見えなくなってしまいました。子供が小さい時に、ちょっとしたことで涙腺が緩むことがよくありました。例えば初めて「ありがとう」って言ってくれたときとか、何かを作って渡してくれるとか些細なことなのですが、何かそんな頃の気分になってしまいます。

この写真はyanadjanという方が撮られた写真の一枚でした。

素敵な写真がいっぱいあります。yanadjanさんの撮った写真を眺めていると、先ほどの少女の別の写真に目が釘付けになりました。

A child in a field of wheat in an embroidered shirt. Ukrainian. Selective focus.

と同時に、先ほどの写真で既に涙腺が緩んでいたため、もう涙が止まりません。写真のタイトルにあるように、ウクライナの少女だったんですね。

もうこの写真以外不要です。この写真に決定します😭。

空を探す

先ほどの写真以外要らないと言ったのですが、下半分は金色の小麦畑、上半分は濃い青い空の2つの色にしたいので、Adobe Stockで「青空 草原」と検索して、空の写真を探しました。

「草原」を追加することで、空がはるか遠くまで続いている写真がより多く検索できます。

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フレームの外を想像する

カードの内側全体を、先ほどの少女と小麦畑の写真にしたいのですが、カードと写真のサイズが大きく異なります。もっと広角の写真にする必要があります。

そこで、写真の左右がどんな世界だったのか想像して拡張します。

カンバスサイズの変更

photoshopがそんな夢を叶えてくれます。

画像の幅を拡張したいので、[イメージ]->[カンバスサイズ]をクリック。

幅を200%に設定して、画像の横幅を今までの2倍のサイズに変更します。

左右に白い余白ができました。

見えない部分を想像する

選択ツールで白い部分を選択していきます。

左の白い部分より、ちょっと写真にかぶるくらいを選択します。

右側の白い部分も一緒に選択したいので、左上の「選択範囲に追加」をクリックして、

今度は、右側の白い部分を、写真にちょっとかぶるくらい選択します。

[編集]->[コンテンツに応じた塗りつぶし]をクリックすると...

なんということでしょう。photoshopが見えない部分を想像してくれます。私はこの機能を数日前まで知りませんでした。どうして見えない部分がわかるのでしょうか?

photoshopが想像してくれた部分は、別のレイヤーになっています。

今回は別レイヤーになっている必要がないので、レイヤーどうしを統合します。[レイヤー]->[画像の統合]をクリックして、画像を1枚のレイヤーにします。

1枚のレイヤーになりました。

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空を入れ替える

ウクライナの国旗のような、上半分が青い空で、下半分が金色の小麦畑という写真にしたいと考えています。そこで、遠くに見える森と空を削除して、濃い青い空に入れ替えます。

マスクの作成

[選択範囲]->[選択とマスク]をクリックします。

次に、[選択範囲]->[被写体を選択]をクリックします。

なんということでしょう。少女だけが選択されました。この機能も初めて知りました。

続いて、小麦畑を選択していきます。左側の[オブジェクト選択ツール]をクリックします。

左側の小麦畑の範囲を大まかに選択します。

左側の小麦畑が自動で選択されました。

右側も小麦畑の大まかな範囲を選択します。

小麦畑と少女だけが選択されている状態になりました。

右側の出力先を[レイヤーマスク]に変更して、[OK]をクリックします。

なんということでしょう。小麦畑と少女だけのレイヤーがこんなにも簡単に作れてしまいました。

空を配置

この画像の上に、少女の写真と一緒に探してダウンロードした、青い空の写真をドラッグ&ドロップします。

空の写真の角にある白い四角を動かして、空のサイズを変更します。空の場合は、横に引き伸ばしても違和感はあまりないようです。

空のレイヤーを小麦畑のレイヤーの下へ入れ替えます。かなり想像していた世界になりました。

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色を調整して画像が完成

色の調整には、CameraRowフィルターをよく使っています。

各レイヤーで色の調節をします。

色の調整を行なって、私が想像していたような写真ができました。

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レーザーカッターと印刷用のデータ作成

全ての素材がそろったので、レーザーカッター用のデータと、印刷用の画像を生成していきます。

レーザーカッター用データ

レーザーカッターでカットするパラメータをそれぞれ設定できるように、

  • 文字:赤
  • カードの外形:黒
  • 折り目:青
  • 印刷物との位置合わせマーク:緑

と色を分けました。文字と外形は、カットするパラメータが一緒なので、同じ色でもいいかもしれません。

折り目をつけるための破線は、傷が付けば良い程度なので、カットの色とは別の色にしました。

印刷物との位置合わせマークはカットされる必要がないために、さらに別の色にしてあります。

このデータをSVGファイルにして保存します。

表面の印刷用のデータ

こちらが表面のデータです。先ほどのレーザーカッター用のデータと同じ場所に、位置合わせのマークをコピーします。

内側の印刷用データ

レーザーカッターでカットする文字と、カードの折り目の線の間に少女が入るように、写真を配置しました。

内側の画像にも、表面と同じ場所に位置合わせのマークをコピーします。

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印刷

カードにしたいので、厚手の紙に印刷します。

うちのプリンターには自動給紙と両面印刷の機能があるのですが、それらを使うと、なぜか表と裏で印刷位置が3mm程度ずれてしまいます。試行錯誤の結果、手差しのポートから片面ずつ印刷するのが一番ずれが少なくまりました。

印刷した用紙を光に透かすと、位置合わせマークが表と裏で少しずれいるのがわかります。

このズレはどうしようもないので、裏面の位置合わせマークを表面に写します。2つのマークの中間くらいに、カットデータのマークを合わせることにします。

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レーザーカッターでカット

レーザーカッターEtcherLaserProに印刷した用紙を入れます。

レーザーカット用のデータは4つのレイヤーで構成されています。それぞれカットのパラメータを設定していきます。

  • 位置合わせのマーク:1000mm/min パワー:0% (カットしません)
  • 文字:1000mm/min パワー:15%
  • 折り目:3000mm/min パワー:10%
  • 外形:1000mm/min パワー:15%

としました。ここで重要なのは、外形のカットを最後(一番下)にすることです。

カット中はレーザーと共にエアーが吹き付けられています。外形を先にカットしてしまうと、台紙からカードが分離し、吹き付けられるエアーの力でカードがほぼ確実にずれます。以降、カットがめちゃくちゃになっていきます。3Dプリンターが途中で印刷に失敗すると、以降めちゃくちゃになるのと似ています。

カットパラメータの設定の後は、カット位置の調整です。裏と表両方のマークの中間くらいにカットの位置合わせマークを合わせます。

設定が完了したので、レーザーカット開始です。

6分ほどで、カットが完了しました。

綺麗にカットできました。

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二つ折り

レーザーカッターで折り目がつけてあるので、簡単かつ正確に二つ折りできます。二つ折りすると、レーザーカッターでカットした文字の裏に、内側に印刷した青い空と金色の小麦が見えて、とてもいい感じです。

クランプで挟んで、折り目をしっかりと付けます。

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カード完成

一晩クランプで挟んだら、メッセージカードの完成です。

AdobeのStockとphotoshop、カメラ機能のあるレーザーカッターEtcherLaserProのおかげで、素敵なカードが作れました。

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ちなみに

今回のカードは表面が白く、内側の面が濃い色だったので、写真のある内側の面を上にしてレーザーカッターで加工しました。上の写真の、左は白い面側からレーザー加工した場合で、右側が色が濃い面側から加工した場合です。右の方がカットしたラインが綺麗に見えます。

こちらはカードの内側です。先ほど同様、左は白い面側からレーザー加工した場合で、右側が色が濃い面側から加工した場合です。元々の色が濃いために、どちらも大して違いがありません。

このため、今回は写真のある内側の面を上にして、レーザーカッターで加工しました。