PCBWayに注文していたファミコンをビデオ出力に改造するための基板が届いたので、早速組み立てます。
基板の詳細や注文方法はこちらをご覧ください。
届いた基板とメタルマスク
約10日ほどで、基板とメタルマスクが届きました。
とってもきれいに仕上がっています。
こちらがメタルマスクです。
はんだペーストを印刷
はんだペーストを印刷します。まず、ダンボールの上に基板を置きます。
メタルマスクを載せて、四隅に開けておいた穴に画鋲を刺し、基板とメタルマスクの位置をぴったりと合わせます。この画鋲を使って位置合わせをする方法については、こちらをご覧ください。
メタルマスクの奥に、はんだペーストを載せます。はんだペーストには、低温で溶ける、低融点鉛フリーはんだペーストを使っています。
138度で溶けるので、普通のオーブンでも簡単にリフローができてしまいます。
Newスキージを発見!
これまでは、クレジットカードなどのプラスチックのカードをスキージ代わりにして、はんだペーストを印刷していました。先日「しなるパテナイフ」をAliexpressで見つけて、それがとってもきれいにはんだペーストを印刷できることがわかりました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
このしなるパテナイフを知るきっかけとなったのがこのTweetです。
MakerMoekoe just brought out a new pcba video, and we know it's a good day!
In this video, stencil is used. It turns out so clean and perfect, but it definitely requires a lot of good practice, patience and most importantly a nice quality stencil to the boards! #pcb #pcbway pic.twitter.com/ZmpDXRQA1P
— PCBWay (@PCBWayOfficial) February 18, 2022
これを見て、この動画で使われている、はんだペーストを塗っているヘラが欲しくなりました。Aliexpressを調べていたところ、偶然同じような器具を発見し、パテナイフ(Putty Knive)という物であることがわかりました。
6 Pcs Putty Knives Set Scraper Blade Kit with Anti-slip Plastic Handle DIY Tool
さらにカインズホームに行った時に、Aliexpressで買ったパテナイフと同じように、曲がってしなる日本製のパテナイフを発見しました。極東産機が生産しているフレキシブルパテという商品です。
金属の部分はステンレスになっていて、薄く、曲がります。これは買って試してみるしかありません。
よく使う基板のサイズが100mm以内なので、90mm幅のフレキシブルパテを購入しました。上の写真の右側がカインズで購入した「極東産機 フレキシブルパテ 3寸 13-3143」という商品。左が、以前Aliexpressで購入した拓森のパテナイフです。
極東産機のフレキシブルパテは、ヘラの先端部分が研磨されて、先端にいく程薄くなっています。
上がAliexpressで購入した拓森パテナイフ、下が極東産機のフレキシブルパテです。極東産機のフレキシブルパテの方が、切断面がシャープで、先端が直角に鋭くなっています。
少し力を加えると、先端がしなります。これはなかなか良いかもしれません。
はんだペーストの印刷比較
極東産機のフレキシブルパテも、プラスチックのカードの時と違い、ヘラのどこの場所も同じ圧力がかかります。適度かつ均一な圧力で、はんだペーストをメタルマスクに残さず、きれいに手前へ引き寄せてくれます。
メタルマスクの表面にはんだペーストがほとんど残らず、きれいにはんだが印刷できました。
転写されたはんだペーストも、エッジがシャープで、きれいに印刷できています。
Aliexpressで購入した拓森パテナイフも、同じようにはんだペーストを印刷してみます。
左が極東産機のフレキシブルパテ、右が拓森パテナイフです。
上の写真は拓森パテナイフによる印刷。
こちらが極東産機のフレキシブルパテです。極東産機のフレキシブルパテの方が、くっきりと印刷できています。
もちろん、Aliespressの拓森もクレジットカードなどを使った時よりも、格段にきれいに印刷できますが、極東産機のフレキシブルパテは、さらに上を行く綺麗さです。
いろんな幅が一気に揃う拓森か、同じ値段で1本しか買えないですが極上の印刷ができる極東産機か、悩ましいですね。
6 Pcs Putty Knives Set Scraper Blade Kit with Anti-slip Plastic Handle DIY Tool
部品の実装
部品の実装には、掃除機のように部品を吸い付けられる吸着ピンセット 電動バキュームピック HAKKO394を使います。
吸着ピンセットを使うと、チップ部品をテープから直接吸着して、
目的の場所に実装することができます。ピンセットのように部品を挟まないため、部品同士が密に並んでいても、部品を実装することができます。
テープから直接吸着するとさらに良いことがあります。テープから部品を出してしまうと、上の写真のように部品がひっくりかえってしまい、1つ1つ表面を上にする作業が必要です。さらにICやトランジスタなどには向きもあるので、向きを揃える必要もあります。
ICやトランジスタなど向きのある部品は、必ず同じ向きを向いてテープの中に入っています。テープから直接部品を吸着することで、必ず表面が上を向き、1番ピンも必ず同じ向きになっています。
部品の向きと実装する基板の向きを、同じ向きにしておくことで、吸着した向きのまま、基板に実装することができます。この一連の方法によって、部品の向きの確認や変更が不要になり、ピンセットに比べて格段に実装が捗ります。
吸着ピンセットのおかげで、実装がとてもスムーズに完了しました。
リフロー
熱風で庫内を均一に加熱できる、コンベクションオーブンでリフローします。
オーブンの中にK型熱電対温度計のセンサーも入れておいて、温度計の温度をみながら、はんだペーストの温度プロファイルに沿って、温度を調節していきます。
リフローが終わったら扇風機で冷却します。
リフローが完了しました。
はんだペーストがきれいに印刷できたので、リフローの結果もとてもきれいにできています。
DIP部品のはんだ付け
コネクタやボリウムなどのDIP部品を、はんだ付けします。今回、鉛フリーはんだ用のフラックスを使ってみました。普通のフラックスに比べ、はんだがスムーズに流れていきます。一長一短があるので、このフラックスについては後日、普通のフラックスと比較する記事を書きたいと思います。
全ての部品の実装が完了しました。
動作テスト
ファミコンの映像信号と音声信号を模擬するテスト回路を使って、信号が正常に出力されるか1つ1つ確認していきます。
映像信号と音声信号はCPLDで生成しています。
全て正常に動作することを確認しました。
キットにするためのシールド線やはんだメッキ線と一緒に、基板を袋詰めしてキットの完成です。
いい感じステレオを聴いてみよう
このファミコンビデオ出力改造キットは、ファミコンのCPUから出力される複数の音源を、左右のチャンネルにいい感じに割り振って、いい感じステレオでゲームを楽しむことができます。
また、映像信号も極力ノイズが入らないように対策することで、縦縞や斜めの縞模様が少ない映像が楽しめます。
いい感じステレオや映像がどのような感じか、サンプルを作ってみましたのでご覧ください。
ファミコンは本来モノラルの音声ですが、いい感じなステレオな感じがしませんか?映像も縞模様がほとんどなくきれいですね。
ゴルフ、エキサイトバイク、マリオブラザーズなど、シンプルな音楽や効果音だけの場合、いい感じステレオにならないゲームもあるので、その場合はファミコン背面のボリウムを調整することで、ステレオからモノラルまでシームレスに調整することができます。下の写真の[TV GAME]の穴から見える青いボリウムです。
ファミコンを、いい感じステレオ&ビデオ出力に改造するキットが完成しました!!
キットはこちらで購入することができます。
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