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電池でミニチュアLED電球が光るDCDCコンバータ回路が設計できました

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低電圧から動作するDCDCコンバータ回路で、ミニチュアLED電球が電池で光るようになりました。

ミニチュアLED電球に関してはこちらをご覧ください。

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昇圧DCDCコンバータ

先日は、ブレッドボードで回路を作って実験しました。詳しくはこちらをご覧ください。

DCDCコンバータICには、テキサスインスツルメンツのTPS61070を使っています。入力最低電圧が0.9Vと、電池1本でも5VのミニチュアLEDが光らせられそうですが、ブレッドボードでの実験では、データシートにあるような特性が得られませんでした。

ブレッドボードで作ったのが原因かもしれないと思い、ユニバーサル基板に回路を作ってみました。

充電電池1本で、白色LED3個を光らせることができました。

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負荷にとても弱い

白色LEDから、5Vで光るミニチュアLED電球に配線を切り替えてみます。このミニチュアLED電球5Vで120mA流れます。DCDCコンバータのデータシートでも入力電圧が1.5V以上あれば100mA以上出力できるはずです。しかし、電源電圧を3Vに上げてもLED電球を接続すると出力電圧が低下してしまい80mA程度しか出力できません。

データシートの回路通りなのに、データシートのグラフの特性と違います。しかも、入力電圧を下げると、出力電圧もつられて下がります。出力電圧のフィードバックによって、出力電圧が一定に保たれるはずなのですが、正常に動作していません。

コイルのスイッチング波形を見てみると、入力電圧が変化すると、スイッチングの波形も変化するので、ICが壊れているというわけではなさそうです。

そこで、テキサスインスツルメンツのPOWER DESIGNERで、回路を自動設計してみます。

POWER DESIGNERでTPS61070を指定して、入力電圧と出力電圧、電流を設定します。100mA出力するためには、入力電圧は1.5V以上必要なので、そのように設定します。

この設定で[VIEW DESIGN TPS61070]をクリックします。

すると、回路が自動生成されます。

おや?インダクタL1が10uHとなっています。データシートには4.7uHが推奨と書いてあったのですがおかしいですね。そこで、データシートに書いてあるインダクタの計算式で、インダクタンスを計算してみます。

式4より、まずILを求めます。

IL= Io*Vout / Vbat*0.8 = 0.1[A]*5[V] / 1.5[V]*0.8 = 0.41[A]

リップル電流をILの40%とすると、

L = Vbat*(Vout-Vbat) / ΔIL*f*Vout = 1.5[V]*(5[V]-1.5[V]) / 40[%]*0.41[A]*1.2[MHz]*5[V] = 5.3[uH]

リップル電流を20%とすると

L = Vbat*(Vout-Vbat) / ΔIL*f*Vout = 1.5[V]*(5[V]-1.5[V]) / 20[%]*0.41[A]*1.2[MHz]*5[V] = 10.7[uH]

なるほど。計算すると10uHくらいがいいということがわかります。

最低電圧の0.9Vで計算してみます。

IL= Io*Vout / Vbat*0.8 = 0.1[A]*5[V] / 0.9[V]*0.8 = 0.69[A]

電池の電圧が0.9Vになってしまうと、スイッチング電流の0.6Aを超えてしまうので、出力電圧が低下することがわかります。

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インダクタンス値を変更

コイルを直列に増やしてみた写真

4.7uHのコイルを直列に追加していき、22uH1個がもっとも良かった

インダクタンスを大きくすれば良いということがわかったので、4.7uH、4.7uH*2、4.7uH*3、4.7uH*4と増やして実験してみました。

増やせば増やすほど、出力が安定していきます。

結局22uHにすることにしました。データシートには2.2uHから10uHまで最適化されていると書いてありますが、4.7uH*2よりも22uHの方がより低電圧まで安定して動作しました。

出力電圧を4.5Vに設定すると、設定通り4.5Vが出力されました。

オシロスコープの黄色は出力電圧、水色はコイルのスイッチングの波形です。黄色が4.5Vで、水色が1.16MHzと正常に動作しています。

0.9Vに電源電圧を下げると、出力電圧は3Vに低下しまいますが、発振は継続しています。

出力電圧を3Vに設定すると、出力電圧も3Vになりました。3Vの場合には電源電圧が0.9Vでも3Vが出力され続けました。

正常に動作しないのは、コイルのインダクタンス値が小さかったためでした。これで、DCDCコンバータが正常に動作するようになりました。

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0.9Vでは起動しない

コイルを22uHにして実験していると、不思議な現象に遭遇しました。電源電圧を2V程度にして電源を入れてLEDが点灯した後、電源電圧を徐々に下げていくと、0.9V程度までLEDは光り続けます。しかし、電源電圧0.9Vで電源を入れるとLEDが点灯しません。電源電圧が最低でも1.2V程度ないと、DCDCコンバータが起動しないようです。

よくよくデータシートを確認してみると、DCDCコンバータが起動するためには最低1.1V〜1.2V必要で、起動した後は電圧が0.9Vまで低下しても動作するという仕様であることがわかりました。

通りで0.9VではLEDが点灯しないわけです。

点灯するために1.2V程度必要なので、電池1本では、光らせて遊んでいるとすぐに再点灯しなくなってしまいます。電池2本であれば、それぞれの電池が0.6VになってもDCDCコンバータが起動するので、電池のエネルギーを使い切るまで遊べそうです。

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設計完了

ミニチュアLED電球を電池で光らせるための、回路とパラメータが決まりました。次回は基板を設計して、発注したいと思います。