昇圧型のDCDCコンバータICを使って昇降圧できるDCDCコンバータの設計ができたので基板化して発注しました。
昇降圧DCDCコンバータ
昇降圧コンバータは、出力電圧に対して入力電圧が低い場合には昇圧し、高い場合には降圧動作をするDCDCコンバータ回路です。
効率を求めなければ、一般的な昇圧型のDCDCコンバータICでも昇降圧動作ができます。昇降圧DCDCコンバータを設計した時の記事はこちらになります。
暗くなったらDCDCコンバータが動作
これまでCdSを使って暗くなったらDCDCコンバータが動作するようにしていたのですがDIP部品しかなく手ハンダする必要がありました。他の部品と一緒に実装できるように、表面実装部品の半導体式の光センサに変更しました。
この時の光センサについて詳しくはこちらをご覧ください。
基板の設計
これまでの実験で回路が正常に動作することがわかったので、KiCadで基板を設計します。DCDCコンバータの基板設計で重要なポイントは、大電流の流れるループを極力小さくすることです。
この回路の場合、DCDCコンバータICのSWがONの時に2つのコイル(L1,L2)にエネルギーがたまります。SWがOFFした瞬間、それらのエネルギーが一瞬にしてダイオード(D)とその下のコンデンサ(C3)を通って入力のコンデンサのグランドへと向かいます。今回の回路の昇降圧回路の場合、2つのコイルのエネルギーが同時に解放されるため、昇圧型よりも大電流が瞬間的に流れます。
この瞬間的な大電流がスムーズに流れるために、L1→C2→D→C3→C1のGNDの経路を最短になるように配線します。また電流のループがあると、そこからノイズが放射されるため、ループが小さいほど放射されるノイズが小さくなります。
一般的に回路図では、上の左ように描かれます。これは各部品の接続関係をわかりやすく示すためです。しかし、この回路図と同じように基板に部品を配置してしまうと、大電流がフィードバック抵抗の外側を通るために、ループが大きくなってしまいます。
基板を設計する場合には、右の回路図のようにダイオードの後すぐにコンデンサを配置して、ループが小さくなるようにします。
そして、フィードバック抵抗は出力ピンの近くに接続します。今回の回路では電流が小さいので、どこからフィードバック抵抗を接続しても問題はないでしょうが、大電流出力の場合、配線抵抗によって配線の途中で電圧が低下してしまいます。出力ピンに近いところから電圧を取得しフィードバックすることで、より正しい電圧を出力できるようになります。
というわけで、基板の設計が完了しました。
基板1つはとても小さいので、10個を面付けしました。
各基板の角を丸めるため、上のように各子基板の角に丸くカットラインを入れてあります。この穴を基板屋さんのオペレータが見落としにくいように、「HOLE」とシルクを入れるようにしています。
また、基板とメタルマスクの位置合わせを簡単にできるように、基板の四隅に1mmの穴が空いています。このデータの作り方はこちらをご覧ください。
できたガーバーファイルをzipで圧縮して、アップロード用のファイルを作ります。
JLCPCBに基板を発注
今回はJLCPCBに基板を発注します。
データのアップロード
「Add gerber file」をクリックして、zipで圧縮したガーバーファイルをアップロードします。
基板の状態を確認することができます。
パラメータの設定
パラメータを設定していきます。
今回の基板は縦5個、横2個面付けされた基板なので、Delivery Formatをpanel by Customerに変更し、 Panel Formatのところを5と2に書き換えます。
また、基板の色を青に、メッキは金フラッシュにしてみました。すると、「生産量が少なく製造時間とコストがアップします。アップしない緑の基板にしますか?」というメッセージが表示されました。コストアップが受け入れられない場合には「OK」をクリックします。私は青い基板が良かったので、No,thanksをクリックしました。
メタルマスクも一緒に注文します。私は画鋲で基板とメタルマスクを位置決めするため、枠が不要なのでFrameworkをNoにします。
標準サイズのメタルマスクは380x280mmととても大きいので、小さいサイズにカットしてもらいます。Customized sizeをYesにします。
すると、メタルマスクのサイズ指定のウィンドが表示されるので、x:150mm y:150mmに設定しいます。私は基板のサイズ+50mmでいつも作っています。
あとは、メタルマスクの四隅に位置合わせの穴を確実に開けてもらえるように、FidencialsをEtched Throughに設定しています。
SAVE TO CARTでカートに入れます。
データのチェックをしてもらう
Secure Checkoutをクリックして支払い手続きに進みます。
発送先と、配達業者を選択し、3.Submit Orderのところで、PayDirectryを選択すると、すぐに支払いの画面になります。
私は、Review Before Paymentを選択しています。JLCPCBでデータをチェックした後で、パラメータ設定のミスや基板の複雑さによって料金が変更になる場合があるためです。Review Before Paymentでは、データチェックによって金額が決定してから、支払いに進むことができるので、金額に納得してから支払うことができます。
ステータスがReviewingとなり、JLCPCBによるデータチェックを待ちます。データチェックには数10分から数時間かかります。データチェックが完了すると、メールが届くので、届くのをしばらく待ちます。
支払い
無事にデータチェックをパスしたので、支払いに進みます。
クレジットカードかPayPalで支払いをし、「Pay」をクリックします。
発注完了
JLCPCBへ基板の発注が完了しました。あとは届くのを待つだけです。
届いたら、組み立てたいと思います。
続きはこちら
この回路をキットにしました。kohacraftのshopで販売しています。
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