光センサ付きの昇降圧DCDC基板がJLCPCBから届いたので、部品を実装して効率を測定してみました。
JLCPCBから届いた基板
注文して1週間ほどで、基板とメタルマスクが届きました。
今回の基板は、角に丸みがついた形状になっています。設計通りにカットされていますね。
シルクも綺麗に印刷されています。
JLCPCBでメタルマスクを作るメリットはこれです。矢印のパッドには0805のコンデンサが実装されます。パッドが四角ではなく凹の形になっています。この少しだけはんだが印刷されない部分があることで、リフローの時に部品が正しい位置に移動しやすくなります。
KiCadのデータ上は、このような加工は指定していないのですが、JLCPCBでこのように加工してくれています。とても気の利いたサービスだと思います。
はんだペーストの印刷
ダンボールの上に基板を置きます。
その上にメタルマスクを置いて、予め開けておいた穴に画鋲を挿して、基板とメタルマスクを固定します。これにより、基板とメタルマスクの位置がぴったりと合います。このデータの作り方はこちらをご覧ください。
はんだペーストの印刷に使うパテナイフを選びます。これまでいろいろな種類を買って試してきましたが、今回は印刷する幅が10cmあるので、「極東産機のフレキシブルパテ」にします。
メタルマスクの奥側にはんだペーストを載せます。はんだペーストには、オーブンでも簡単にリフローできる、低融点の鉛フリーはんだペーストを使っています。
フレキシブルパテで、はんだペーストを印刷します。このフレキシブルパテは、先端の加工精度がとてもよく、メタルマスク上にはんだペーストがほとんど残りません。
位置ずれもなく、とても綺麗にはんだペーストが印刷できました。
部品の実装
部品の実装には、ピンセットを使わず、電動バキュームピック HAKKO 394-01を使っています。
HAKKO 394-01は、掃除機のように部品を吸いつけて、目的の場所で離すことができます。
極性のある部品の場合、表面実装部品のテープの中には、常に同じ向きに部品が入っています。
この部品の向きと、基板上の部品の実装する向きとを、同じ向きにしておくことで、部品を吸着したままの向きで部品を実装することができます。
JLCPCBに作ってもらった基板には、10枚の基板が面付けされています。同じ部品を10個実装するのですが、HAKKO 394-01と、部品をテープから直接吸着することで、とても速く実装することができます。
ノズルには、純正品よりも吸着力が高く実装しやすいこれを使っています。
0603のような小さな部品から、ノズルを交換することでコイルのような重い部品や、
サイズの大きなコンデンサなども、このHAKKO 394-01で実装することができます。
部品の実装が完了しました。
リフロー
温風で庫内の温度を均一に加熱できる、コンベクションオーブンでリフローします。テスコムのコンベクションオーブンTSF601は、加熱の途中でも設定温度を変更することができます。そのため、はんだペーストの温度プロファイルに沿って、庫内の温度を調整することができます。
オーブンの中には、熱電対温度計のセンサを入れておき、温度計を見ながら庫内の温度を調整していきます。
リフローが終わったら、扇風機で冷却します。
リフローが完了しました。綺麗にリフローされています。
動作チェック
テストプローブを使った測定治具を作りました。テストプローブ経由で電源の供給と出力電圧をモニターすることができます。
P75-E2とR75-3Wの2つのピンを組み合わせて、テストプローブにしています。ピンにバネが内蔵されているので、多少傾いても確実にパッドにテストプローブが接触します。
全てのDCDCコンバータが、正常に動作することを確認できました。
ピンヘッダの取り付け
このDCDCコンバータは、ブレッドボードに刺して使うことを想定しています。そのため、基板にピンヘッダを取り付けます。1つ1つの基板にピンヘッダを取り付けていくのは手間なので、まとめてはんだ付けできるようにします。
JLCPCBに作ってもらった部品の載っていない基板に、ピンソケットをはんだ付けします。そのピンソケットにピンヘッダを差し込んでおきます。
この上に、ピンヘッダをはんだ付けする基板を載せます。この状態で、全てのピンヘッダをはんだ付けします。
ピンヘッダが曲がってはんだ付けされることなく、真っ直ぐにはんだ付けできました。
これで部品のはんだ付けは完了です。
全ての基板をVカットのラインでカットして、明るさセンサ付き昇降圧DCDCコンバータモジュールの完成です。
特性を測ってみる
完成した昇降圧DCDCコンバータの特性を測ってみます。この昇降圧DCDCコンバータは、2.5V〜12Vの電圧を、2.5V〜4.5Vに変換することができます。
負荷の電流を100mAと200mAとした場合の、入力電圧に対する入力電流を測定します。測定した結果から、効率を算出します。
測定と計算をした結果、効率は70%〜80%でした。設計時のLTSpiceによるシミュレーションとほぼ同じです。太陽電池を電源とした場合、入力電圧は2〜5Vなので、その範囲での効率は70%程度となりました。
昇圧DCDCコンバータを変形したSEPIC回路ということもあり、それほど良い効率ではありませんが、機能としては正常に昇圧も降圧もできることがわかりました。
昇降圧DCDCコンバータ完成!
明るさセンサ付きの昇降圧DCDCコンバータが完成しました。この昇降圧DCDCコンバータモジュールを使って、太陽電池の実験キットを作りたいと思います。
つづきはこちらです。
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