先日試した$5以下で購入できるワイヤレスイヤホン。実力を発揮していなかっただけでした。
試した時の記事はこちらです。
TWS Pro4
Pro4は、Aliexpressで$5以下で購入できてしまう、Bluetoothワイヤレスイヤホンです。
AACコーデックに対応しているので、転送しているデータは普通のSBCエンコードよりも良い音になっています。
音質を測定してみると、2kHzから10kHzが強い感じで低音や高音は弱めで、いまいち良い音ではありませんでした。
実際の音を録音した動画がありますので、聴き慣れたヘッドホンで聴いて、安価なワイヤレスイヤホンシリーズを疑似体験してみてください。
- オリジナル
- EarPods(有線接続)
- Pro4
- Pro6
- TWS-L53 ANC
- オリジナル
の順に音楽が流れます。
1のオリジナルや、2の有線接続のEarPodsに比べ、Pro4やPro6は音の表現力が弱いことがわかると思います。
真の実力はどうなのか?
TWS Pro4を分解すると、とても小さなスピーカーが入っています。
再生される音はスピーカーの再現力によって左右されます。
そこで、スピーカーの代わりにスピーカーと近いインピーダンスの33Ωの抵抗を接続して、Bluetoothレシーバーの出力している音を直接録音して聴いてみることにしました。
実験準備
スピーカーを取り外し、33Ωの抵抗を接続します。
試しにDCレベルを再生してみました。オシロスコープで波形を詳しくみてみると、同じようなパターンが繰り返されていました。シグマデルタ型のDAコンバータとD級アンプのようですね。1MHz程度で離散化されています。シグマデルタ型なので出力の直線性は良いはずです。
推測ですが省電力低コストにするため、D級動作の差動出力になっている思います。そこで、差動信号を録音できるようにします。
ZOOM U-44で、Pro4の差動出力を、右チャンネルと左チャンネル同時に録音します。
特性を測定
周波数特性
音量を50%にしてホワイトノイズを再生し周波数特性を見てみます。
おおおお。結構フラットですよ。
縦軸を拡大してみてみましょう。20Hzから20kHzまでほぼフラットで、上のグラフで-10dBを基準にすると±3dB程度しか変動していません。600Hz程度が少し弱いかなという程度です。
スピーカーの音を録音した時は、2kHzから10kHz以外は-20dB程度低かったので、全然様子が違います。
歪み率
歪み率をみてみます。
- 100Hz:0.0185%
- 1kHz:0.027%
- 10kHz:0.057%
でした。スピーカーの音を録音した時よりも一桁小さくなっています。
Pro6
ついでに、Pro4よりも音が悪くて聴くに絶えないPro6も、直接録音してみます。
周波数特性
スピーカーの音を録音した時よりもフラットになってはいますが、変動が大きいですね。
±6dB程度変動があります。100Hzから2kHz程度がかなり弱いですね。
Pro4とPro6の比較
1kHzを基準にしてPro4とPro6の周波数特性を比較してみます。Pro6は100Hzから1kHzにわたって弱いのがわかります。
どんな音か聴き比べてみよう
それでは、Bluetoothレシーバーが出力している、本当の音を聴いてみましょう。
聴き慣れたヘッドホンをして、聴いてみてください。
- オリジナル
- TWS Pro4
- TWS Pro6
- オリジナル
の順に音楽が流れます。
Pro4はオリジナルにかなり近く、結構頑張っていると思いませんか。
Pro6は中音が弱く、迫力が無い音になってしまっていますね。
Pro4本当はすごいぞ
$5以下で買えてしまうTWS Pro4は、スピーカーの音質が悪いだけで、回路的には良い音で出力されていることがわかりました。
TWS Pro4は、実力はあるのに能力を活かしきれていない、本当はできる子だったんです。
ごめんなさいイマイチなんて言ってしまって。
そうしてPro4の実力を発揮すべく、改造が始まるのでした。
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