JLCPCBからPAM8304を使ったパワーアンプ基板が届いたので、組み立ててワイヤレスイヤホンをワイヤレススピーカーにしてみたいと思います。
基板が届く
JLCPCBに注文して10日ほどで、基板とメタルマスクが届きました。
基板の名称を細い文字で描いてみたのですが、綺麗にシルク印刷されていました。
メタルマスクも綺麗です。大きなセラミックコンデンサのパッドは、中央のはんだ量を減らすため[ ]の形に修正されています。いいサービスです。
はんだペーストの印刷
ダンボールの上に基板を置いて...
メタルマスクを基板の上に置き、四隅に開けておいた穴に画鋲を刺して、位置合わせと固定を行います。しかし、穴が小さくて画鋲が刺さりません。
PAM8304のICのピッチが狭いので、はんだブリッジしにくくなるようはんだ量を減らすため、メタルマスクの全ての開口を0.05mm小さく設定してしまいました。これが原因で、穴の直径も0.1mm小さくなってしまったようです。0.1mm小さいだけで画鋲の針が通らないんですね。
画鋲は刺さるだけ刺してなんとか固定できました。今回は、はんだペーストを印刷する時に使うスキージに、フレキシブルパテを使いたいと思います。
これまでは90mm幅のを使っていました。今回は基板のサイズ100mmまで部品が載っているので、90mmよりも幅の広い120mmのフレキシブルパテを新たに購入しました。
このパテの先端の加工精度がとてもいいんです。完全な直角に切断されていて、歪みもなく、パテ幅全体に均一に力がかかり、綺麗にはんだペーストが印刷できます。
メタルマスクの奥側にはんだペーストを載せます。
私は138度で溶ける低融点の鉛フリーはんだペーストを使っています。温度が低いので、オーブンで簡単にリフローができます。
フレキシブルパテで、はんだペーストを手前に引き寄せながら印刷していきます。
印刷できました。
画鋲を使って位置合わせをしているので、0.68mmピッチのPAM8304のパッドにも、完璧な位置にはんだが載っています。
部品の実装
部品を実装します。私はピンセットではなく、電動バキュームピック 吸着ピンセット HAKKO394を使っています。電動バキュームピックは、掃除機のように部品を吸いつけて、目的の場所で離すことができる工具です。
電動バキュームピックに、このノズルをつけています。
純正よりも、短く吸着力や位置合わせが良いです。
部品はテープから直接吸着します。
吸着する部品の向きと、実装する基板の向きとを合わせておくことで、スムーズに実装できます。
特に極性のある部品の実装では、効果を発揮します。極性のある部品は、常に同じ向きにテープの中に収納されています。
上の部品はダイオードです。手前側が必ずアノードになっています。
基板も手前側をアノードになる向きにしておくことで、吸着した部品の向きのまま、基板に実装することができます。部品1つ1つの向きを確認したり、向きを合わせたりする必要がなくなるので、実装スピードが格段に上がります。
部品と部品の間隔が狭くても、電動バキュームピックならば実装することができます。ピンセットではできません。
ノズルを変えれば、大きな部品も吸着することができます。
電動バキュームピック HAKKO394のおかげでスムーズに部品が実装できました。
リフロー
テスコムのコンベクションオーブンでリフローします。
このコンベクションオーブンは、加熱の途中でも温度の設定を変更することができます。
庫内にK型熱電対温度計を入れておいて、温度計を見ながら温度を変更していきます。
135度を超えたあたりから、灰色のはんだペーストが銀色に変わっていきます。
冷却してリフロー完了です。
動作チェック
電源をつないで、動作を確認してみます。D級アンプの出力がON,OFFを繰り返していて正常に動作しているようです。
PAM8304を使ったBluetoothワイヤレスイヤホンをワイヤレススピーカーに変換する基板が完成しました。
TWSをつないでみる
Bluetoothワイヤレスイヤホン TWS Pro4を分解します。
スピーカーを外します。
とりあえず、バッテリーはそのままにして、イヤホンの出力を基板に接続し、Bluetoothイヤホンの音がスピーカーから聞こえるかチェックします。
IPhoneにイヤホン(デバイス名TWS)をBluetooth接続して、音楽を再生してみます。
おおおお。スピーカーから音楽が聞こえます。パワーアンプが動作しています。
しかし、問題が見つかりました。これは、いつもとても注意していることなのですが、間違えてしまいました。ボリウムの回転方向が逆でした。一般的に、左に回す(時計の針と反対方向)と音量が下がり、右に回す(時計の針の方向)と音量が上がります。それが、逆になっていました。あーーーーーー。仕方ないですね。
それでは、バッテリーもイヤホンから外して、基板の電源からイヤホンに電源を供給してみます。
おおおおお。音が出ました。が、問題が見つかりました。
電源を入れてもBluetooth接続できない
PAM8304基板の電源を入れた時、パワーアンプは起動するのですが、Bluetoothイヤホンが起動しません。このため、IPhoneからデバイスを見つけることができません。
どうやら、Bluetoothイヤホンがケースから出された時に、イヤホンが起動するようになっているようです。
Bluetoothイヤホンがケースに入っている時は、イヤホンの下についている2つの電極を使って充電されています。イヤホンをケースから出すと、給電が停止し、そのタイミングでイヤホンが起動するようです。
試しに、イヤホンの片方の+の端子に電源をつないで、離してみます。
IPhoneに、新しいデバイスとしてTWSが認識されました。
少し手間ですが、スイッチを押してイヤホンを起動できるようにしてみました。
しかし、さらに問題が見つかりました。
接続先を忘れる
Bluetoothイヤホンが起動するようになったのですが、毎回新しいデバイスとしてIPhoneに認識されてしまいます。
電源が切れることで、イヤホンがIPhoneとの接続を忘れてしまうようです。
そこで、イヤホンの電源に0.1Fのスーパーキャパシターを入れて、電源を切っても少しは電気が供給され、接続情報が保持できるか試してみます。
いいと思ったのですが、イヤホンに電源が供給されているということは、IPhoneとの接続も解除されません。
解決策を考え直す
簡単には解決できない、問題がいくつもあることがわかりました。
一度冷静になって、これらの問題の解決策を考えることにします。
つづきはこちら
実験で使っているBluetoothワイヤレスイヤホン TWS Pro4は$5以下で購入できちゃいます。
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