先日JLCPCBに注文した基板が届いたので、早速組み立てました。
JLCPCBから届いた基板
発注して約7日で受け取ることができました。
基板とメタルマスクです。メタルマスクは注文時に15cm x 15cmにカットしてもらえるように設定していたので、その通りにカットされています。
金メッキのとても綺麗な基板です。文字高0.7mmのなのですが、綺麗にシルク印刷されています。
クリームはんだを印刷
それでは早速組み立てていきましょう。まずはクリームはんだを印刷します。ダンボールの上に基板を置きます。
その上にメタルマスクを載せます。基板とメタルマスクには穴が開くように設計データを作ってあるので、そこにマップピンを刺します。
これまでは画鋲を使っていたのですが、頭が大きくてクリームはんだを印刷する時に邪魔になるので、頭のサイズが4mmのマップピンを今回から使います。画鋲の時は1mmの穴でしたが、このマップピンは針が細いので0.75mmで作りました。
メタルマスクの奥側にクリームはんだを載せます。クリームはんだには家庭用のオーブンで簡単に溶ける、低融点の鉛フリーはんだを使っています。
このクリームはんだを、ヘラの部分が適度に曲がる「東極 フレキシブルパテ」を使って印刷します。
このパテナイフは先端の加工精度がとても高く、均一な力で印刷できます。
マップピンで位置合わせをしているので、完璧な位置にクリームはんだが印刷できました。また加工精度の高いフレキシブルパテのおかげで、綺麗にクリームはんだが印刷されています。
部品の実装
電動バキュームピックアップツール HAKKO 394を使って表面実装部品を実装していきます。
HAKKO394についたボタンを押すと、掃除機のように先端から空気を吸い込みます。その力でテープに入った部品を吸着します。
実装する部分に置いて、スイッチを離します。吸着力がなくなって部品が基板に残ります。ピンセットは左右から挟むため、部品と部品の間隔を狭くすることができませんが、これは上から吸着するので、部品の実装密度が高くても大丈夫。
チップダイオードは、テープから出してしまうと上の写真のように裏返ってしまいます。また極性もとてもわかりにくいです。
テープの中では極性のある部品は、必ず同じ向きに入っています。そのため、テープから直接吸着することで、表裏を変えたり、向きを変えたりする必要がなくなります。
吸着する向きと、実装する基板の向きを合わせておくことで、吸着した向きのまま実装することができます。このため、ピンセットよりも何倍も楽に、そして速く実装することができます。
全ての部品が吸着ピンセット HAKKO 394で実装できました。
ノズルは純正よりも短くて位置決めしやすいこれを使っています。
リフロー
熱風が庫内を循環するテスコムのコンベクションオーブンでリフローします。
中に熱電対温度計を入れておいて庫内の温度をモニターします。100度でしばらくプリヒートした後に、130度程度にしてはんだを溶かします。
グレーのクリームはんだが、溶けて銀色に変化していきます。最後に165度まで上昇させて、スイッチを切って冷却します。
テスコムのコンベクションオーブンは、加熱の最中でも設定温度を変更できるので、このように温度プロファイルに沿って、庫内の温度を調整することができます。
リフローが完了しました。
全て綺麗にリフローできていました。
動作チェックと調整
車のライトを負荷にして、動作チェックとON,OFF閾値の調整をします。11.5V程度でONします。
10.6V程度で負荷が切り離されました。
ON時の消費電流は30uA。
負荷が切り離された時の消費電流は10uAでした。
コネクタのはんだ付け
全て正常に動作したので、DIP部品のコネクタをはんだ付けします。
それぞれの基板を、捨て基板から1つ1つ分離していきます。
回路が完成しました。
シールドケースの加工
今回の回路はインピーダンスが高い部分があるので、シールドケースに入れます。
以前、塗装したステンレスをレーザー加工したらどうなるか実験をしました。このときのように、シールドケースを塗装して、レーザー加工機でロゴを刻印したいと思います。
シールドケースの塗装
シールドケースの周りを段ボールで囲って、シールドケースを固定します。
脱脂するためにIPAを使って表面を拭きます。
外に持ち出して、タミヤスプレーのスモークグレーで塗装します。
風が強い日だったので、土埃が飛んできたのか、黒い点々が発生してしまいました。
マニュキア落としで塗装を落としてやり直します。
今度は、風の影響を受けにくいよう、箱の中で塗装してみたいと思います。
しかし、やはり黒い点ができてしまいます。
良品と不良品を分けます。
不良品をマニュキア落として綺麗にして、新しいシールドケースを追加して再度スプレーします。
良品、不良品を寄り分けます。スモーク塗装ってとっても難しいことがわかりました。とても小さな埃が表面に付くだけでも、そこが黒い点になってしまいます。歩留まりが悪いので、次のロットからは塗装は止めることにします。
レーザー刻印
イラストレータでロゴの加工データを作ります。
smartDIYsCreatorに読み込んで、シールドケースと刻印の位置を合わせます。Etcher Laser Proはカメラが搭載されているので、そのカメラの画像を使って素材のどこに加工を施すか設定することができます。
カインズとかにある業務用レーザーカッターにも無い便利な機能です。
Etcher Laser Proで刻印していきます。
素敵なシールドケースが完成しました。
シールドケースの取り付け
金属の爪にシールドケースをはめ込んでいきます。
とても綺麗にできました!
今回作った、鉛バッテリーの過放電防止回路の使い方です。
シールドケースの中にはボリウムが入っていて、それを回すことでONする電圧と、負荷を切り離す電圧を調節できます。初期設定は11.45V〜11.5VでONし、10.55V〜10.6Vで負荷から切り離されます。
シールドケースの中の左下のJP1をはんだでショートさせることで、ONしている時にコネクタ横のLEDが点灯するようになります。LEDの消費電流11uA分が増加します。
もしバッテリーの電圧がONする電圧よりも低い時にONさせたい場合には、コネクタ横の「FORCE BOOT」スイッチを押します。バッテリー電圧がOFFする電圧よりも高ければ、スイッチを離してもONし続けます。
バッテリーと本機、負荷との接続方法は以下の通りです。
これで、鉛バッテリーが過放電してしまうことを防げるようになりました。
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