前回は回路の準備を行いました。今回はセンサを配電盤に取り付けて家全体の消費電流を測定できるようにしたいと思います。
配電盤に来ている電気
配電盤のカバーを開けると、左にブレーカー、中央に漏電遮断機、右側に各配線への小さなブレーカーがあります。
左側のブレーカーを見ると、赤、白、黒の3本の電線が見えます。まれに2本の場合もありますが、一般的に外の電柱からは、赤、白、黒の3本が配電盤まで配線されています。
この3本は、上の図のようにイメージするとわかりやすいと思います。実際には存在しませんが、100Vの交流を発生する電池があるとします。この電池が2つ直列につながっています。電池と電池の間から出ている線が白い電線です。上の電池から出ている線が赤い電線、下の電池から出ている線が黒い電線です。
白い電線を基準にした場合、赤い電線は100V、黒い電線は-100Vとなります。交流なので赤い電線の電気の波形と、黒い電線の電気の波形は上下反転します。
3本のうち、白と赤の電線の電気を使うとAC100Vです。また、白と黒の電線の電気を使うとAC100V。黒と赤の電線を使うとAC200Vです。この3本の仕組みによって、100Vと200Vの電気を家の中で使えるようになります。よく考えられた仕組みですね。
今回、家の消費電流を計りたいので、赤い線と黒い線の2つの線の電流を測定する必要があります。BL0940ボードは、1つの線の電流しか測定できないので、2本測定できるように改良する必要があります。
2つ同時に測定するための改良
2本の電線を同時に測定するので、CT1とCT2の2つのカレントトランスを直列に接続します。また、赤と黒の電線の位相が反転しているので、2つのカレントトランスは極性が反対になるように接続します。こうすることで、赤と黒の電線を流れる電流の波形が加算されます。
2つのカレントトランスがつながっているので、1つのカレントトランスで発生する電圧を半分にするため、R5の抵抗も半分にします。1.74Ωの半分の値の抵抗はないので、1.74Ω2つを並列に接続します。この抵抗をCT1とCT2それぞれに接続します。
こうすることで、6000:1のカレントトランスが1つ接続されているのと等価になります。
測定回路を上記のように改良して、電力系統とソーラー系統それぞれで2つのカレントトランスが接続できるようになりました。
ただ実験していて分かったのですが、この方式で電流を測定すると、2つの電線で電流のバランスが異なると、BL0940の測定した電流値が実際と異なる場合がありました。
BL0940は電流(Arms)の他に、電圧と有効電力(データシートではActivePowerと呼ばれている)を測定することができます。電力を電圧で割ると電流が求まります。そこで、測定された有効電力を測定された電圧で割って電流を求めると、この電流値が実測値と同じくなりました。
赤い電線と黒い電線が、完全に逆位相というわけではないのかもしれません。
ケースを作る
配電盤はお風呂の脱衣所に設置してあります。基板が剥き出しでは危ないのでケースを作ります。MakeCaseのサイトで、ケースの加工データを生成してもらいます。
SVGファイルでダンロードして、イラストレータで基板をねじ止めできるように穴を開けます。
レーザーカッターの専用ソフトSmartDIYsCreatorにSVGファイルを読み込み、カットパラメータを設定。
Etcher Laser ProでMDFを加工します。
ケースができました。
湿気で劣化しないように表面を塗装します。
回路がケースに収まりました。
これにアクリル板が前面に付きます。
設置
まずは、ソーラー系統の赤と黒の電線にカレントトランスを設置します。
現在の発電量は0.75kW。約7.5Aです。
測定装置の表示は7.6A。合っていますね。
続いて電力系統の赤と黒の電線にカレントトランスを設置します。
片方にカレントトランスを接続します。こちらの電線の電流は3.2A。
測定器の表示は3.1A。合っていますね。
もう片方の電線にもカレントトランスを接続します。
これで、電力系統とソーラー系統の電流が測定できるようになりました。
次回は、測定した値を別の部屋でも見れるようにしたいと思います。
この記事で使っている測定回路は、このキットを改造して使っています。
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