PCBWayに発注していたVFD電源モジュール基板が届いたので、早速組み立てました。
基板が届く
注文して約1週間で基板が届きました。
今回の基板には、別の基板にこの基板を直接実装できるように、端面スルーホールをつけました。基板の側面にある金色の部分が端面スルーホールです。とても綺麗にできていますね。
組み立て
それでは早速組み立てていきたいと思います。
はんだを印刷
ダンボールに、届いた基板を置きます。
基板の上に一緒に作ってもらったメタルマスクを載せて、開いた穴にマップピンを刺します。これで基板とメタルマスクの位置がピッタリと合います。
この方法のデータの作り方はこちらにありますので参考になさってください。
メタルマスクの奥にクリームはんだを載せます。
ヘラの部分がいい感じにしなる、フレキシブルパテを使って、クリームはんだを手前に引き寄せながら印刷していきます。
いつもはメタルマスクにクリームはんだが残らず、綺麗に印刷できるのですが、今回は周期状にクリームはんだが残ってしまいました。基板と基板の間にスペースがあるからかもしれません。
基板に印刷されたクリームはんだは、問題なく綺麗に印刷されています。
2枚目の基板は、基板の向きを90度回転させて、クリームはんだを印刷してみます。
メタルマスクにはんだペーストが残らず、綺麗に印刷できました。クリームはんだの印刷方向の途中に、基板の隙間がないようにした方がいいようです。
綺麗にクリームはんだが印刷できました。
部品の実装
続いて部品を基板に載せていきます。私はピンセットではなく、HAKKO394 吸着ピンセットを使っています。
吸着ピンセットはスイッチを押すと、掃除機のようにノズルの先から空気が吸い込まれます。スイッチを押しながら、テープに入った部品にノズルの先端を当てると、部品が吸着されます。
目的の場所に部品を置いて、スイッチを離すと部品が実装できます。
テープに入った部品の向きと、実装する基板の向きを合わせておくことで、「テープから部品を吸着」「目的の場所まで移動して離す」の2つを繰り返すだけで、どんどん実装が進みます。
ダイオード、トランジスタ、ICなど極性のある部品は、さらに威力を発揮します。テープの中では、必ず同じ向きに部品が収納されています。
部品の向きと、実装する基板の向きが合わせておくことで、部品の向きを確認したり、実装する向きに部品を回転する手間が無くなります。ピンセットを使うより劇的に実装時間が短縮されます。
ノズルを交換すると、ICや電解コンデンサなど大きな部品も吸着することができます。
部品の上部を吸着するために、こんなに部品が密集していても実装することができます。ピンセットは、ピンセットの先を広げるためのスペースが必要なので、実装密度を上げることができません。
部品の実装が終わりました。
ノズルにはこれを使っています。
純正品よりも短いので位置合わせしやすいです。
リフロー
熱風が庫内を循環するコンベクションでリフローします。使っているテスコムのオーブンは、加熱の途中でも設定温度を変更することができます。
庫内にK型熱電対温度計を入れておいて、温度をモニターしながら加熱します。
低融点の鉛フリーはんだを使っているので、138度程度でクリームはんだが溶けます。
100度でしばらくプリヒートしてから、設定温度を140度にします。
庫内が135度くらいになると、灰色のクリームはんだが銀色に変わっていきます。その後、このクリームはんだのピーク温度である165度まで温度を上げます。
165度に達したらスイッチを切って、扇風機で冷却します。
リフローが完了しました。目視では不良はなさそうです。
テスト治具を作る
動作チェックをするをスムーズに行うために、動作チェック用のジグを作ります。
ポゴピン
端子に接触させるため、P75-E2というテストピンを使います。
このテストピンは、R75-3Wというソケットを差し込んで使います。
カバーを作る
テストピンが飛び出ている治具にしたいので、基板の端子位置に合わせて穴の開いた板を作ります。
レーザーカッターで、MDFの板から先ほどの板を切り出します。
SmartDIYsCreatorにイラストレータで作ったSVGファイルを読み込みます。
私の使っているレーザーカッターEtcherLaserProにはカメラが付いていて、端材でもサイズが合えば利用することができます。カメラの画像に、加工データを配置します。
指定した場所が加工されていきます。カメラがついているおかげで、部材と加工位置の位置合わせがスーパー簡単にできてしまいます。
1分ほどで板が切り出せました。
治具の組み立て
下からテストピンが飛び出した、テスト治具が完成しました。
動作チェック
作ったテスト治具に電源、テスター、オシロスコープをつなぎます。左のテスターがフィラメント電圧を、右のテスターがグリッド電圧を、オシロスコープはフィラメントの交流波形を表示します。
テスト治具の飛び出したテストピンに、作った基板のピンヘッダが刺さる穴を押し付けます。テストピンにはバネが入っていて、基板が多少傾いても安定して接触してくれます。
テストピンが基板の端子と接触して電源が供給され、電源ランプのLEDが青緑色に光りました。電源ランプのLEDは、VFDに近い色にしてみました。
フィラメント電圧が2.3V、グリッド電圧が14.8Vと、DCDCコンバータが正常に動作しています。オシロスコープに交流の矩形波形が表示されているので、フィラメント用の交流生成回路も正常に動作していることが確認できます。
実装した全てのモジュールが正常に動作していました。
捨て基板からモジュール基板を分離して、VFD用の電源モジュールの完成です。
VFDを光らせてみよう
IV-6というメジャーなVFDを光らせてみたいと思います。
IV-6はグリッド電圧25V、フィラメント電圧1Vで光ます。電源モジュールの電圧を、これらの値に設定します。
光りました!!!
全てのセグメント(アノード)にグリッド電圧を印加したので、全てのセグメントが光っています。
モジュールの負荷テストをしたところ、グリッド電圧28Vの時で30mA程度まで流すことができました。IV-6の全てのセグメントが点灯している状態で0.4mAだったので、30mAも使えれば十分です。
フィラメントの交流駆動も正常に動作しています。
VFD電源モジュールが完成しました
5Vさえあれば、VFDを点灯させることができる電源モジュールが完成しました。これで、VFDを使った作品を手軽に作ることができます。
VFDの青緑色が見れて嬉しいです。
コメント
what size is your module, it can be used as a turnkey solution for different VFD clock versions.
Hi Oleksandr,
The module size is 25.4mm in length and 17.8mm in width.
It is easy to use and can be embedded in a variety of circuits.
製作依頼などは受け付けていますでしょうか?
DG12Bを6管お譲りするので時計を作って製作記事を書いていただきたいです。
Skybeansさん ご連絡ありがとうございます。
時計を作ろうかなと思っていたところです。
VFDを譲っていたけるのであれば、そのVFDで時計を作りたいと思います。
お送り先などメールでご連絡差し上げます。