本ブログの読者の方が、珍しいフォントのVFDを送ってくださいました。
DG12B
とてもユニークなフォントのVFDです。
VFDを発明した伊勢電子が製造した、DG12BというVFDです。数字のフォントがユニークで、手で描いたような数字になっています。
DG12Bのデータシートに各数字の表現方法が掲載されていました。
9個のセグメントで数字が表現されています。かなり自然な数字の文字になるよう、工夫されている様子がわかります。「4」の右へ飛び出したラインは「4」の表現のためだけに使われます。かなりこだわってデザインされたのでしょう。
VFDとしてはポピュラーなIV-6と並べてみます。ガラス管の太さは同じですが、DB12Bはフォントが一回り大きくなっています。背景も黒くなっていますね。
特に、桁を表すシングルクォーテーション「'」と小数点を表すドット「.」が数字のフォントよりもアンバランスに大きくなっています。VFDは電卓に使われるので、桁の読み間違いや、小数点の位置の見間違いを減らすための工夫なのかもしれません。
光らせてみよう
DG12Bのデータシートによると、フィラメント電圧は0.85V、グリッド電圧は20Vです。このデータシートにはダイナミック点灯の場合の電圧も書いてあります。デューティー比が下がるにつれてグリットの電圧が30V,40Vと上がっていきます。1/20では60Vも印加していいんですね。この数字は今となっては貴重な情報です。
7と14番ピンがフィラメント、6番ピンがグリッドで、他のピンが各セグメントになっています。まずは、数字の8とドットを表示したいと思います。
ブレッドボードにDG12BとVFD用電源モジュールを差し込みます。
VFD電源モジュールのVf(フィラメント電圧)を0.8Vくらい、Vg(グリッド電圧)を20Vに設定しておきます。
VFDのフィラメントの7,14番ピンをVFD電源モジュールの2つのフィラメント出力へ接続します。
VFDのグリッドの6番ピンをVgへ接続します。
「8.」を点灯させたいので、点灯させたいセグメントをVgに接続します。DG12Bの1,2,5,9,10,13,8番ピンをVgに接続します。
以上で配線は終了です。VFD電源モジュールに5Vを供給します。
点灯しました!!
おおおお「8.」です。
IV-6も一緒に光らせてみます。DG12Bと同じフィラメント電圧、グリッド電圧です。同じような明るさですね。
かなりこだわって作られたフォントなのだと想像しているのですが、セグメントの太さがIV-9よりも細いので、実際のところは普通の7セグメントの方が視認性が良かったりして...
次回は
6本のDG12Bを送って頂いたので、このVFDでHH:MM:SSの6桁の時計に仕上げたいと思います。そのために、まずは6本のVFDをダイナミック点灯する基板を制作しようと思います。
コメント
このセグメント形状はシャープさんの要望でできたものではないかと記憶してます。
LOT番号からすると、1970年以前の製造かな。当時こんな基板があったら良かったです。
活用ありがとうございます。製造メーカーOBです。
VFDOBさん貴重な情報ありがとうございます!
汎用品ではなくて特注品だったんですね。
シャープの電卓 COMPETシリーズの一時期でしか見られないのは、そういう理由だったんですね。
光るようになって、今気になる現象があります。
VFDを指で触ると、光っているセグメントの一部がふわ〜っと消えるんです。指を離すと、ふわ〜っと正常な点灯に戻ります。
これは人体の静電気の影響して、フィラメントから出た電子がグリッドへ向かわず散乱していると考えていいのでしょうか?
面白い現象なので、後で動画をアップロードしようと思っています。