TTP223タッチセンサモジュールを使って、非接触でライトの明るさが2段階で明るくなったり暗くなったりするライトを作るための実験をしました。
TTP223モジュール
このタッチセンサのモジュールは、とても安価に購入することができます。
このモジュールのVCCとGNDに電源をつなぐだけで、I/Oのピンにタッチしたかどうかの信号が出力されます。
このモジュールには「A」と「B」の2か所にジャンパーできるところがあります。「A」「B」はなんでしょうか。TTP233のデータシートを見てみましょう。
TTP223の出力には2つのモードがあります。回路の配線を調べてみると、「A」のパッドは4番ピンのAHLBにつながっており、「B」のパッドは6番のTOGにつながっていました。
AHLBはタッチに反応した時の出力をHiにするかLowにするかの設定です。デフォルトでは反応している間Hiになります。
TOGは出力をトグルするかの設定です。デフォルトではタッチしている時だけHiになります。ここのジャンパーをショートすることで、タッチするたびに出力がHiとLowが切り替わるようになります。
今回はタッチするたびにHi,Lowを繰り返すようにしたいので、「TOG」のピンをHiにします。
タッチセンサのモジュールの「B」が「TOG」なので、ここをショートします。
非接触でも反応するか実験
タッチの部分に5mmの厚さに切ったグルーガンの芯を貼り付けてみます。このグルーガンの芯を触って反応するか実験します。
こちらが回路図です。電源は5Vです。タッチセンサモジュールの出力にトランジスタをつけて、LEDを複数点灯できるようにしてあります。
トランジスタのベース抵抗は47kΩと大きくしてあります。
これによりベース電流Ibは、
Ib = ( センサ出力電圧 - トランジスタベースエミッタ電圧 ) / ベース抵抗
= ( 約5 - 0.6 ) / 47000 = 0.09mA
トランジスタの増幅率が一般的な100倍とすると、トランジスタのコレクタ電流Icは、
Ic = Ib * トランジスタの増幅率 = 0.09mA * 100 = 9mA
この回路では、コレクタ電流は9mA程度しか流れません。このため、LEDに抵抗を入れずに電源に直接つないでいます。
ブレッドボードに回路を作って、実験してみます。
グルーガンの芯によって基板から5mm浮いた場所でも、指に反応してLEDが点灯したり消灯したりしています。電源電圧を3.3Vにすると、反応しなくなってしまいました。電源電圧で反応できる距離が変わるようです。
明暗が切り替わるようにする
基本回路
先ほどの回路では、LEDがONかOFFしました。次は、明るいと暗いの2つの明るさが切り替わるようにします。
タッチセンサの出力とベース抵抗の間に2つの抵抗を追加します。こうすることで、タッチセンサの出力がLowの場合には、トランジスタのベースへ流れる電流の一部がタッチセンサの出力へと流れるため、ベース電流が低下しLEDが暗く光ます。
タッチセンサの出力がHiの場合には、タッチセンサの出力電流と5Vにつながっている抵抗からやってくる電流が加算されます。このためLEDが明るく光ます。
ふわっと明暗が切り替わるようにする
先ほどの回路で、タッチするたびに明暗が切り替わるようになりました。次は、徐々に明るくなったり、徐々に暗くなったりするようにしたいと思います。
そこで、トランジスタのベースへ流れる電流がゆっくり変化するように改良します。具体的には、抵抗が3つつながっている部分にコンデンサを追加します。ここにコンデンサを追加することで、ベースへ流れる電流の変化が緩やかになります。コンデンサの値を大きくすればするほど、明るさはゆっくり変化します。
コンデンサはセラミックコンデンサの22uFとしました。数字は22uFですが、実際は10uF程度です。
というのも、大容量のチップコンデンサの場合には「DCバイアス特性」という特性があり、電圧が加わると電圧が高くなるに従い容量が減少してしまうのです。
実験で使っている22uFのセラミックコンデンサは、村田製作所のGRM21BR61E226ME44です。村田製作所のこの部品の詳細ページで、DCバイアス特性を確認することができます。
このページの下の方に行くと「DCバイアス特性」のグラフがあります。
マウスのポインタを曲線に当てると、詳しい情報が表示されます。5Vで容量が-53.6%になることがわかります。22uF * -53.6% = -11.792uF なので、12uFも減ってしまいます。今回使う22uFは5V印加すると10uFになることがわかります。
それでは、ブレッドボードで実際に動作させてみましょう。LEDがふわっと明るさが変わっていますね。抵抗値やコンデンサの値を変えると、明暗の差や変化の時間を変えることができます。
実験成功!
TTP223のタッチセンサを5Vで動作させることで、パッドから5mm離れた場所でも指に反応できることがわかりました。
抵抗とコンデンサを追加して、ふわっと明暗が切り替わる回路ができて、実験は成功しました。
水色のLEDはこれを使っています。
TTP233モジュールはこれを使っています。
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