PCBWayに注文していた基板を組み立てて、CH552の書き込み機が完成しました!
前回の注文時の記事はこちらです。
届くの早いよ
大きな箱で届きました
PCBWayに基板を発注したのが9月5日で、基板が届いたのが12日。届くまであっという間でした。基板が10cm x 20cmと大きいため、大きい箱で届きました。
USB Type-Cの細いパッドや、スペーサの穴などとても綺麗に仕上がっています。
メタルマスクも綺麗にできています。ただ、基板とメタルマスクを位置合わせするために、メタルマスクの四隅に開けている穴(写真右下)のサイズが設計の0.75mmではなく、1.2mmでした。データが間違っているのか、後で確認してみます。この穴が大きいと、クリームはんだが位置ずれしてしまいます。
基板の修正
今回の基板で一部間違っている部分があり、基板の改修を行います。CH552のプログラム書き込み時には、USBのD+信号をプルアップします。このプルアップの電圧は3.3Vが良いようですが、先に読んでいた海外の情報では5Vとなっており、5Vでプルアップする回路にしてしまいました。
そこで、5Vを分圧して3.3Vになるよう、10kΩのプルアップの抵抗に20kΩのプルダウンの抵抗を追加します。
20kΩの抵抗を基板に追加するため、GND側のパッドを用意します。レジストをカッターで削ってもいいのですが見た目が悪いため、レーザーカッターで四角いパッド形状にレジストを除去することにしました。
レーザーカッター「Etcher Laser Pro」はカメラが搭載されているため、画像を見ながら部材のどこを加工するのか位置合わせできます。それでもミリ単位ではずれてしまうため、何度も位置を調整しました。
レジストが綺麗に除去されて、ベタGNDに抵抗用のパッドが出現しました。
基板の組み立て
はんだペーストを印刷
ターゲットの基板の両サイドに、同じ厚みの基板を配置して、クリームはんだの印刷中にメタルマスクがたわむのを防ぎます。
メタルマスクを載せて四方の穴にマップピンを差し込み、基板とメタルマスクの位置合わせをします。メタルマスクの穴がマップピンの0.7mmよりも大きい1.2mmなためメタルマスクにガタが発生してしまいまいた。
メタルマスクの奥にクリームはんだを載せます。クリームはんだには、低温で溶けて普通のオーブンでもリフローしやすい、低融点鉛フリークリームはんだを使っています。リフローするまで気づかなかったのですが、間違えて普通の温度の鉛フリークリームはんだを使ってしまいました。
印刷に使うヘラには、適度にしなるフレキシブルパテを使います。
クリームはんだが印刷できました。
メタルマスクの穴が大きいために印刷位置がずれしてしまい、何度もやり直して少しはマシな印刷ができました。
レーザーカッターで開けたパッドにも、クリームはんだを塗布します。
ノズルにはこれを使っています。テーパー状になっているので、パイプ状の物よりもクリームはんだをより弱い力で押し出すことができます。

部品の実装
電動バキュームピックアップツールの「HAKKO 394」で部品を実装していきます。
「HAKKO 394」で実装する最大のメリットは、テープから直接部品を吸着できることです。極性のある部品は、テープの中に同じ向きに収納されています。
「HAKKO 394」で吸着すると、必ず同じ向きに吸着することができます。
吸着される部品の向きと、実装する基板の向きを同じ向きにしておくことで、吸着した向きのまま実装することができます。これがとても効率的です。
テープから部品を取り出してしまうと、背面を向いてしまう部品もあります。また、向きもバラバラです。ダイオードは特に背面を向く確率が高く、裏返すのも大変です。
テープから直接吸着することで、部品を裏返したり向きを揃えたりする手間がなくなり、実装スピードが劇的に上がります。
全ての部品が「HAKKO 394」で実装できました。
リフロー
熱風が庫内を循環し、温度ムラが少ないコンベクションオーブンでリフローします。使っているテスコムのコンベクションオーブンは、加熱の途中でも温度を変更することができます。
庫内にK型熱電対温度計を入れておいて、クリームはんだの温度プロファイルに沿って加熱していきます。
温度を上げて、クリームはんだが溶ける温度の138度になってからも、全く溶ける様子がありません。それはそうです。低融点クリームはんだのつもりで、融点が217度の普通の鉛フリークリームはんだを塗ってしまいましたから。
温度を220度に上げると、クリームはんだが溶けました。改造して追加した温度Boostボタンを使って、240度程度まで上昇させてリフロー完了です。
扇風機で冷却します。
リフローが完了しました。
焦げたはんだを修正
追加で実装した抵抗のクリームはんだが低融点であるにもかかわらず、通常の温度でリフローしてしまったために、低融点のはんだが焼けてしまいました。
この部分を、手はんだで修正していきます。
基板完成
4つ面付けされた基板を、1つ1つに分離します。
こちらが、パソコン側のUSBコネクタです。
こちらが、CH552を接続する側のUSBコネクタです。USB AとUSB Type-Cが使えます。
アクリルカバーの切り出し
CH552書き込み機の基板の上に、アクリルのカバーを取り付けます。そのカバーをレーザーカッターで切り出します。
レーザーカッター「Etcher Laser Pro」に搭載されたカメラのおかげで、写真にある廃材のような素材でも、残ったスペースを狙って加工することができます。
カバーが切り出せました。
基板に取り付けられたスペーサーにネジで固定していきます。
CH552書き込み機が組み上がりました。
動作テスト
パソコンに接続すると、LEDが光って電源が入ったことがわかります。
赤いボタンを押して離すと、紫色のLEDが光りD+プルアップされているのがわかります。
CH552を接続して赤いボタンを押して離すと、「製造元固有の装置」というデバイスが接続され、CH552のブートローダが起動していることがわかります。これは、プログラムを書き込むことができる状態です。
続いて黄色のボタンを押してみます。USBが切断されて、出力側のLEDが消えました。ボタンを離すとLEDが点灯しUSBが接続されたことがわかります。
CH552を接続して黄色のボタンを押すと、デバイスが切断されてデバイスリストから消えました。
ボタンを離すと、すでに書き込まれているCH55xduinoが動作し、デバイスリストに「CH55xduino」が表示されました。
設計した通りの動作をしていますね。
全ての基板の動作確認をし、問題があれば手はんだで修正していきます。最終的に全て正常に動作しました。
キット化
アクリルカバーをたくさん切り出し
キットにするため、レーザーカッターでアクリルのカバーをたくさん切り出します。
あっという間に切り出せました。
袋詰め
基板とカバー、ネジなど必要な部品を袋に入れて、CH552書き込みツールキットも完成しました。CH552を開発する際には、とても役立つツールですよ。
このキットは「kohacraftのshop」でご購入頂けます。

初期ロットのみ、USB Type-Cケーブル2種類が付属します。使ってみてください。
CH552書き込み機が完成しました!
書き込みの度にUSBを抜き差ししなくても良い、CH552用の便利な書き込み機が完成しました。
CH552とこの書き込み機を使って、ある物を作りたいと思います。
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