ネオン管みたいに全体が光るVFDを入手したので、点灯させてみました。
DM160 VFD
DM160はインジケータ用のVFDです。昔あったクリスマスツリーのイルミネーション電球のような、長細い形をしています。
データシートによると、1957年くらいに作られ始めたようです。アノード、グリッド、フィラメント2本で合計4本のリードが出ています。
別のデータシートによると、上の回路のように使用するようです。
アノードとフィラメントとの間は50V。グリッドに印加する電圧で点灯をON,OFFできます。
グリッドの電圧(横軸)とアノード電流(縦軸)のグラフです。アノード電流が大きいと明るく、アノード電流が少ないと暗く光ます。
グリッド電圧が0Vでもアノード電流が0ではないので、点灯してしまうことを意味します。消灯させるためには、グリッド電圧をフィラメント電圧よりも2V程度低くする必要があるようです。
フィラメント電圧は1Vです。
とりあえず点灯させてみる
VFDを点灯させる時に使えるVFD電源モジュールを使って、点灯させてみようと思います。
実験で使うVFD電源モジュールは「kohacraftのShop」で販売しています。

この電源モジュールはVFDのグリッド用の電圧として28Vまで出力できます。DM160のアノードには50Vが必要ですが、とりあえずこのDCDCで出力できる最大電圧を供給してみます。
フィラメントには1Vの交流波形を供給し、グリッドには100kΩの抵抗を介して5Vを供給します。
これでアノードの電圧は違いますが、アプリケーションノートと同じ回路になりました。
おおお!光りましたよ。でもかなり暗いですね。28Vでは電圧が足りないようです。
チャージポンプで2倍にしてみる
電圧を昇圧するDCDCコンバータの回路は上の図のようになります。VFD電源モジュールも同じ回路で5Vから28Vへと昇圧しています。
この昇圧回路に、コンデンサとダイオードを使ってチャージポンプ回路を追加します。チャージポンプ回路を追加することで、DCDCコンバータの出力電圧の、2倍の電圧を得ることができます。
イメージ的には、コイルをスイッチングした時に発生するサージっぽい電圧(誘導起電力)がダイオードの上にあるコンデンサCを経由して、出力電圧に加算される感じです。サージっぽい電圧はフィードバックピンを経由してDCDCコンバータICがVout電圧になるように調整しているので、結果としてVoutにVoutが加算されて2倍の電圧が得られるという仕組みです。
欠点としては、出力電流がコンデンサCを経由しているので、それほど大きな電流が得られないことです。せいぜい数mA程度です。今回使うDM160は、アノード電流が1mA以下なので、この回路でも十分でしょう。
VFD電源モジュールの回路に、上の回路図のようにチャージポンプの回路を追加しました。DCDCコンバータの出力電圧を25Vに調整すると、チャージポンプの出力は50Vになりました。正常に動作しています。
それではアノードに50Vを印加して、DM160を点灯させてみましょう。
おおお明るくなりました。やはり50V必要なようです。
めちゃくちゃ明るいというほど明るいわけではありませんが、先ほどよりは明るく光りました。IV-6という7セグメントのVFDと、同じくらいかやや暗い感じです。
いい光ですね
管の中心に縦に1本フィラメントがあり、その周囲に螺旋状にグリッド、そのさらに外側に蛍光体が塗ってあるコイル状のアノードのワイヤという構造をしています。こういう構造的なところもVFDやニキシー管の魅力なんですよね。
構造上、光っているのは外側のコイル状のワイヤのみです。
やはりVFDの色っていい色ですね。
さて次回は、このDM160をVFD時計に組み込みたいと思います。
実験に使っているVFD電源モジュールはkohacraftのShopで販売しています。

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