PR 記事には広告が含まれています
スポンサーリンク
Translate

VFDを簡単に組み立てられるフットプリントを使った基板の設計方法

スポンサーリンク

今回は先日作ったフットプリントを使って、実際にVFD時計の基板を設計する方法をご紹介します。

前回の、VFDを簡単に取り付けられるフットプリントの記事はこちらです。

スポンサーリンク

回路の設計

上の図はVFD時計のブロック図です。これまでは全てのブロックを1枚の基板に収め、VFDはVFD専用の基板に実装していました。するとメインの基板とVFDの基板を接続ために、VFDのリードの数だけコネクタのピン数が必要になってしまいます。これまでの基板では、20ピン以上のコネクタを使っていました。

TM1926というネオピクセルインタフェースのLEDドライバICを使うことで、たった1本のデータ線でVFDをコントロールできることがわかっています。そこで、VFDとTM1926を一緒の基板にして、メインの基板とは電源と1本のデータ線だけで接続することにします。

このため今回、上の図の右側の赤い枠の中の基板を設計します。

TM1926を効率的に使う

時計に使うVFDは、7セグメントのVFDが4本と、秒針に使うDM160が1つ本です。セグメントの総数は、28+1で29個になります。

これに対しTM1926は1つのICで12個のセグメントをコントロールできます。IC2つで24セグメント。IC3つでは36セグメントになります。ただ、3つのICを使うと7本出力が余ってしまいます。

そこで24本の出力(配線)で、24時間表示の時計の表現が実現できないか考えます。

分の2桁目(10の位)の配線を減らす

分の2桁目は、0から5までしか表示しません。上の図は各セグメントのONとOFFを表したものです。よくみると、セグメントaとセグメントdは同時にONしたりOFFしたりしています。

このためaのセグメントとdのセグメントは、1本の出力でコントロールできます。

分の2桁目は、1本配線を減らすことができます。

時の2桁目(10の位)の配線を減らす

続いて時の2桁目です。この桁は全て消灯か1と2しか表示しません。よくみると、2を表示するときには、aとd、e、gが同時に点灯しています。あとはbとcがそれぞれ個別に点灯できれば良いことがわかります。

この桁は3本の配線だけで済みます。

24本でコントロールできる

  • 分の1桁目:7本
  • 分の1桁目:6本
  • 秒針:1本
  • 時の1桁目:7本
  • 時の1桁目:3本

合計 24本。ちょうど24本になりました。

プルアップ抵抗

TM1926 LEDドライバとVFDとの接続回路は上の図のようになります。TM1926は電流の引き込みしかしないため、グリッド電圧でプルアップが必要です。以前の実験で22kΩか47kΩぐらいが良い感じでした。47kΩの方が消費電流が少なくなるので、今回は47kΩを使おうと思います。

分の2桁目は、aとdが一つにまとまります。2つのセグメントを1つの抵抗でプルアップした場合、2つのセグメントへ電流が分かれるために、セグメントの明るさが暗くなってしまいました。そこで、抵抗値を約半分の22kΩとします。

同様に時の2桁目は、aとd,e,gが一つにまとまるので、プルアップ抵抗を10kΩにしました。

以上で回路の設計は完了です。

スポンサーリンク

アートワーク

部品を配置

基板外形を描いて、部品を配置します。TM1926はVFDの背面の基板の下側に実装することにしました。抵抗はたくさんあるので、集合抵抗を使っています。

配線

配線が混み合っていますが、なんとか配線できました。

混み合っている時の配線のコツは、縦の配線と横の配線を別のレイヤーにすることです。今回は、横の配線をボトムレイヤー(緑色)に、縦の配線をトップレイヤー(赤色)にして、うまく配線することができました。

レイヤーの変更

全ての配線が終わったので、VFDのフットプリントのUser.2レイヤーに描かれているラインをEdge.Cutsレイヤーに変更します。

[編集]-[テキストと図形のプロパティの編集]をクリックして、上の図のように設定してOKをクリックします。

VFDの中にあるラインが黄色に変わりました。それでは3Dビュアーでみてみましょう。

VFDが取り付けやすいように穴が空いているのがわかります。コネクタも、これまでは20本以上のピンがありましたが、10本に減りました。

こちらが背面です。VFDの裏側にICと集合抵抗が納まっています。

面付け

基板屋さんは10cm x 10cmまでは安価に製造してくれます。そこで、2枚面付けしました。

基板の奥でV-Cutによって基板を分離できるようにしました。

スポンサーリンク

PCBWayに基板を発注

組み立てやすいフットプリントは、PCBWayでの製造実績があります。そこで今回もPCBWayにこの基板を発注してみます。

オレンジ色の「今すぐお見積もり」をクリックします。

基板のパラメータ設定

今回の基板は面付け基板なので、「基板の種類」を「面付け」にします。X-out...は、面付けされた子基板のどちらかに不良があっても良いかの設定です。不良があってもいい場合には「はい」を選びます。すると安価に製造してもらえます。今回は「いいえ」を選びました。

あとはデフォルトから変更した部分は、レジストを「黒」に、表面処理を「無鉛はんだレベラー」に変更しました。

重要なのは「Customized Services and Advanced Option」にて、「端面スルーホール」のオプションにチェックを入れることです。

メタルマスクの設定

基板背面の部品を実装するために、メタルマスクも一緒に作ってもらいます。今回は基板の背面を作ってもらうので、「メタルマスクサイド」を「背面のみ」にします。

基板とメタルマスクの位置合わせのために、小さな穴を開けるようデータを作ってあるので、穴が開くように「既存の基準点」を「レーザーが通る」にします。

メタルマスクは標準サイズがとても大きいので、基板のサイズより20mm大きいサイズにカットしてもらいます。そのために「その他特殊加工」に「120mm x 120mmにカットしてください」と記入します。これまで、日本語だけでも問題なくカットしてくれましたが、念の為英語でも書いておきました。

以上でパラメータの設定は完了です。右側の緑の「カートに追加」をクリックします。

ガーバーファイルのアップロード

カートに追加すると、ガーバーファイルをアップロードするウィンドが表示されます。緑色の「ガーバーファイルを追加」をクリックして、ガーバーファイルのzipファイルをアップロードします。

アップロードできたら、左下の「今すぐ注文する」をクリックします。

データのレビューを受ける

PCBWayによってデータのチェック(レビュー)が始まります。PCBWayはこのチェックが数分で終わることがほとんどです。他社に比べてとても早いです。

レビューが完了するとメールが届きます。

支払い

無事にレビューをパスしたので、支払いへ進みます。右下の「チェックアウトに進む」をクリック。

発送先を確認し、支払い方法の設定、運送業者の選択をして右側のオレンジ色の「注文する」をクリックします。

支払い用の画面が表示されるので、そこでクレジットカードかPayPalで支払いを済ませれば発注完了です。

ステータスが製作中になりました。

PCBWayにVFDが組み立てやすい基板の発注が完了しました。どんな基板が届くでしょうか?届くのが楽しみです。