今回はESP32-C3のマイコンボードを設計したいと思います。ESP32-C3は昔流行ったESP8266の高機能版と言ったところでしょうか。
ブロック図
今回制作する回路のブロック図は上記のようになっています。それぞれのブロックを回路にしていきます。
回路図
USB
espressifのESP32-C3-Devkitの回路図の中のUSB周辺の部分(上記)を参考にします。ESP32-C3-Devkitの回路によると、USBの電源と信号線にサージ電圧から保護するTVS(D2,D3,D4)が入っています。開発中に活線状態で抜き差しすることを考慮して、同様にTVSを入れようと思います。
また、5VピンからUSBコネクタ側へ電気が逆流しないようダイオード(D1)が入っています。
設計したUSBコネクタ周りの回路が上記となります。
コネクタはUSB-TypeCにします。このためCC1,CC2ピンに5.1kΩのプルダウン抵抗を取り付けます。
VBUSとD-,D+ピンには5VのTVSを入れました。
VBUS用はNexperia PESD5V0S1BAを使いました。
USBは通信速度が速いので、TVSの中でも寄生容量が小さい物を選びます。高速通信にも対応して2素子入っているNexperia PESD5V0U2BTを選択しました。
(50piece)100% New PESD5V0U2BT 1UW sot23-3 Chipset
過電流防止&逆流防止回路にはMT9700というIC(U3)を使いました。
MT9700はSETピンに取り付ける抵抗の値によって、最大電流を設定することができます。また逆流防止回路も入っており、ダイオードのようなドロップ電圧もほとんどありません。
電源
ESP32-C3は3.3Vで動作します。USBの電源電圧は5Vなので3.3VのレギュレータICを使って3.3Vに変換します。
espressifの回路図では上記のようになっています。レギュレータICの入出力には10uF25Vのセラミックコンデンサが使われています。セラミックコンデンサは、電圧が印加されると容量が減ってしまいまうDCバイアス特性という性質があります。これにより、おそらく2uFから4uF程度になってしまうと思います。
ちょっと心許ないので、秋月電子八潮店で購入したアウトレットの220uFのセラミックコンデンサを使います。
村田製作所のセラミックコンデンサはWebでDCバイアス特性を調べることができます。GRM31CR60J227MEは、3.3V時の電圧が印加された状態では容量が40%になってしまうことがわかります。220uFの40%は88uFです。多分これくらいあればいいのではないでしょうか。
レギュレータICには1A出力できてなるべく低ドロップなものとして、TLV75733にします。
(10piece)100% New TLV75733PDBVR TLV75733PDBV TLV75733 1FKF sot23-5 Chipset
設計した電源回路は上記のようになります。
電源LEDには、シアン色のLEDを使います。
このLEDは極弱い電流でも点灯していることがわかります。このため電流制限抵抗(R4)を10kΩにしても十分な視認性があります。色も特徴的で気に入っています。
書き込み回路
ESP32-C3には直接USBと接続できるピンがあります。このUSBは、ESP32-S3のように汎用のデバイスとして動作したりホストになったりすることはできませんが、書き込みやデバッグに使うことができます。
このため、USBコネクタのD-,D+ピンをESP32-C3のIO18,19に直結します。
ESP32-C3にプログラムを書き込む際には、ダウンロードモードで起動する必要があります。そのためのピンの設定が上の表です。
IO2とIO8をプルアップ、IO9をLowの状態でリセット(ENピンをLow)することでダウンロードモードで起動します。
上記が書き込み回路です。ENピンはespressifの回路を参考に1uFのセラミックコンデンサ(C3)を入れました。
ESP32-C3
ESP32-C3の全てのピンを、同じ並び順にピンヘッダに接続します。
回路図完成
ESP32-C3のマイコンボードの回路設計が完了しました。
アートワーク
ブレッドボードで実験がしやすいよう、ピンヘッダはDIP ICと同じ幅に配置しました。
3Dビューアで見るとこんな感じです。
さて次回は、PCBWayでもUVプリンタによるフルカラーシルク印刷が注文可能になっているので、そのためのデータを作りたいと思います。
2024.4.21 続きはこちら
ここで設計したマイコンボードはこちらで販売しています。
コメント