USB Type-Cコネクタのピン同士がショートしていないか、チェックする回路を作ろうと思います。
USB Type-Cコネクタのピンピッチ
USB Type-Cコネクタのピンピッチは0.5mmで、ピンとピンの間の隙間は0.2mmしかありません。このため、USB Type-Cコネクタを実装すると、ピンとピンの間にはんだブリッジが発生してしまうことがあります。
そこで、USB Type-Cコネクタのピン同士がショートしていないか、チェックする回路を作ろうと思います。
原理
原理は、テスターでピンとピン同士がショートしていないか、チェックする方法と同じです。1つのピンに電圧をかけて、隣のピンにその電気が漏洩していないか確認します。
複数のピンがあるので、アナログスイッチを使って接続するピンを自動的に切り替えてチェックしていきます。
USB Type-Cコネクタのピンは上の図の通り12ピンありますが、重複しているピンもあるので、重複しているピンをまとめると、チェックするピンは8ピンになります。
このため、8チャンネルのアナログスイッチ(アナログマルチプレクサ)を使うことができます。
印加電圧
チェックする際、相手のコネクタには何かしらの回路が接続されています。たいてい、入力ピンの場合には上の図の左の回路が、出力ピンには上の図の右の回路が接続されています。
よく見ると、どちらもダイオードがあります。ダイオードは0.6Vを超えると電気が流れる性質があります。そのため、入出力ピンに印加される電圧が0.6Vを超えると、入出力ピンから電源ピンへ電流が流れてしまいます。
そこで、回路が動作しないよう、印加電圧は0.6Vより低く0.3Vとします。
電圧チェック
アナログスイッチには74LV4051を使います。データシートによると、アナログスイッチのON抵抗は最大150Ωとあります。スイッチのON抵抗を150Ωとして、アナログスイッチを含む電圧チェックの回路は以下のようになります。
アナログスイッチを2段経由し、1kΩの負荷が接続されている場合、0.3Vの電圧が印加されると0.23Vに減ってしまいます。
このため、コンパレータの閾値電圧(Vth)は、その半分の0.1Vとします。
回路図
チェック回路
原理のところで設計したパラメータを元に、回路を設計しました。電源は3Vのコイン電池とし、オペアンプで0.3Vのチェック用の電源を生成しています。もう一つのオペアンプをコンパレータとして使い、電圧の検出を行います。
テストの時、GNDに0.3V、VBUSで電圧チェックとすると、検査対象の回路の極性と反対になってしまいます。そのため、VBUSが0.3V、GNDで電圧チェックとなるように、検査対象の回路と極性を揃えました。
ショートしているピンを可視化
チェックの結果、どこのピン同士がショートしているのか、LEDで示す仕組みとします。マイコンのIO数に制限があるので、使用するIO数を減らすためLEDをマトリックス接続します。これにより7本のIOで12個のLEDを点灯させることができます。
マイコン
マイコンには、3Vでも動作してピン数の多いCH552Tを使います。CH552はVDDピンとV33ピンを接続することで3Vでも動作させることができます。
マイコンにファームウェアを書き込むために、書き込み専用のUSBコネクタと3.3Vのレギュレータ回路を用意しました。
アートワーク
KiCadで基板を設計します。サイズは80mm x 50mmに収まりました。
中国の基板屋さんは10cm x 10cmまでであれば安価に製造してくれます。そこで、2枚面付けしました。左右に1cmの捨て基板がついていて、Vカットで切り離せるようになっています。
3Dビューアで見るとこんな感じです。
PCBgogoに基板を発注
パラメータの設定
PCBgogoに基板を発注します。
「外形寸法」は、今回の基板はサイズが10cm x 10cmなので「100」x「100」と入力します。
面付けしたデータなので「面付け方法」を「面付け」に設定します。
基板の色を黒にしたいので「レジスト」を「黒」にします。
また、「表面処理」は金メッキとしました。その他はデフォルトのままです。
メタルマスクも一緒に作ってもらいます。枠はとても重くて大きく、不要なため「メタルマスクの種類」を「枠なし」に設定します。
メタルマスクは基板のサイズ+20mm程度が、クリームはんだの印刷にちょうどいいので、120mm x 120mmにカットしてもらいます。これを「ご要望」の欄に書いておきます。PCBgogoは、このご要望の欄も日本語でOKです。
以上でパラメータの設定が完了です。画面右側の「カートに入れる」をクリック。
ガーバーデータのアップロード
ガーバーファイルをアップロードするウィンドが表示されます。右側の「ガーバーファイルを入稿」をクリック。
KiCadで出力したガーバーファイルをアップロードして「確認」をクリックします。
データが製造できるデータなのかPCBgogoでチェックが始まります。
支払い
レビューが完了するとPCBgogoからメールが届きます。右側の「レジに進む」をクリック。
発送業者を選択し、右側の「支払い」をクリックします。今回は、ビックサイトで開催された展示会でもらった$100クーポンを使用します。これにより基板代が無料となりました。
「支払い」をクリックすると、PayPalのウィンドが表示されるので、残りの代金を支払い、発注完了です。
基板が届いたら組み立てたいと思います。
2024.8.12 追加 づづきはこちらです。
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