
キーレスエントリー向けのFMリモコン用受信ICで、FMラジオを作ってみました。
BH4126FV

BH4126FVは300MHzの帯域まで対応したFM信号の受信ICです。

特徴としては、受信や検波に必要なすべての回路が内蔵されていて、同調用の発振回路と、IF信号用のBPF、FM検波用の90度位相器を外付けすれば、FM信号を受信することができてしまいます。
BH4126FVをFMラジオにする場合の問題点
感度が高すぎる

BH4126FVはキーレスエントリーのようなデータ通信を目的に作られた受信ICなので、1kHzあたりに発生する電圧が21.2mVと周波数の変化に対する感度が高い設計になっています。FMラジオは200kHzの帯域があるので、内蔵の検波回路を使うと信号が飽和してしまいます。
実際回路を組んで試してみましたが、見事に音が割れて聴くに耐えない音になってしましました。
改善した回路図

そこで、内蔵のFM検波(直交検波)回路を使わずに検波回路を外付けすることにしました。
IF信号は内蔵のIFアンプで増幅された後、非反転と反転出力が11,12ピンに出力されます。この出力を高速コンパレータでニ値化し、FM検波します。このFM検波が面白い回路なのです。少し遅延させた信号と、遅延させない信号をEX-ORします。すると、IF信号の2倍の周波数(21.4MHz)のPWM信号に変換されるのです。このPWM信号をLPFに通すことでアナログ信号に変換できます。
90度位相をずらしたり、ミキサーを通したりアナログ処理が一切不要で、デジタルだけで検波できちゃうってすごいですね。
当初は74HC14のNOTゲート6段で遅延させたのですが、74HCロジックが高速過ぎて遅延量が少なかったために、それぞれのゲートに10pFのコンデンサを追加して遅延量を増やしています。
FM放送は高域のS/N改善のため、音声の高い周波数ほど振幅が大きくなるプリエンファシスという処理を行ってから送信されています。そのため受信時にはその逆のデエンファシスを行います。
回路の最後のオペアンプは、デエンファシスと信号増幅の2つの処理をしています。
これで、音声信号に変換できました。
組み立て
回路

ユニバーサル基板に回路を組んでみました。なんとかこのサイズに収まりました。
聞いてみる

バリコンをつけて受信機になりました。
バリコンを調節すると...
FMラジオが聴こえました!!!!!
音質は、高域まで綺麗に伸びたフラットな感じのFMらしい音です。放送の音量が大きくてもノイズが入らないクリアな音声です。思ったよりも音質が良くて驚きです。
いい音質のFMラジオができました。
しかし問題があります。バリコンを全域で調整してみましたが、東京FMしか受信できません。NHK FMが受信できてもいいのかなと思うのですが、理由は分かりませんが東京FMしか受信できませんでした。
ケースに入れる

MDFでケースを設計しレーザーカッターで切り出して、ケースにしました。
BH4126FVには受信感度を出力する機能があるので、メーターを付けてみました。うまく選局できるとメーターが振れるので面白いです。
アンテナにはホイップアンテナにBNCコネクタがついている、これを使っています。

無線スキャナーアンテナ部品、伸縮式bnc cbトランシーバー、無線アンテナ、7セクション拡張可能、20-1300mhz、75cm、2x
BNCコネクタ式なので、後でアンテナを設置したときにはホイップアンテナを外し、アンテナを接続することができます。

アンテナは水平にした方が感度が良いようです。
キーレスエントリー受信ICでFMラジオができました

キーレスエントリー向けのFMリモコン用受信ICでしたが、検波回路を外付けすることでFMラジオになりました。
結構音がいいので驚きです。
東京FM以外も受信できるといいのですが、そこが残念です。
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