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0.9Vから点灯する昇圧型LEDドライバを試してみました

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昇圧型のLEDドライバIC TP8305Bを試してみました。

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TP8305B

概要

TP8305Bのデータシートの一部
TP8305Bのデータシートの一部

TP8305B(データシート)は昇圧型のLEDドライバICです。電源電圧は0.8Vから5.5Vまで対応し、LEDは0.3Wから7Wまで利用できます。

このICは昇圧用のMOS-FETが外付けとなっています。その代わり、MOS-FETがスイッチする電流の上限を抵抗で設定できます。昇圧DCDCは、低電圧時には過大な電流をスイッチするものが多く、2A,3Aを無理やりスイッチングすることがありますが、このICは電流制限できるため低電圧時でも安心です。

回路

TP8305Bの回路例
TP8305Bの回路例

データシートに回路例が載っています。MOS-FETでコイルの電流をスイッチングして、昇圧した電気がダイオードを通ってLEDへと供給されます。

抵抗Rfの起電圧をFBピンに入力することで、LEDを定電流動作させることができます。FB電圧は46mVととても低く、抵抗Rfの損失を軽減できます。

また、MOS-FETのソース電流を抵抗Rsに流し、その起電圧をISに入力することで、MOS-FETのスイッチング電流の上限を設定できます。ISの閾値電圧はFB電圧と同じ46mVです。

低電圧で動作するよう改良

低電圧昇圧型LEDドライバ回路
低電圧昇圧型LEDドライバ回路

データシートに書いてある回路は、2Vから動作するものでした。これを0.9Vから動作するように改良します。

具体的には、昇圧したあとの電気をICの電源に利用します。こうすることで1回でもスイッチングすれば高い電圧が発生するので、その電気を使って安定的にICを動作させることができます。

またMOS-FETのゲート電圧も電源電圧に合わせて上がるため、ON抵抗も低減できます。

しかしこの方法には問題があります。LEDが1つであれば昇圧した電圧が3V程度で、この電圧はICの許容電圧以下なのですが、2つとなると6V以上になりICが壊れてしまいます。そこで、昇圧した電気をLDOで3.3Vに落とすことにしました。

LEDの電流は92mAになるように抵抗Rfを設定し、MOS-FETのスイッチング電流は0.92AになるようにRsを設定しました。

LEDが接続されていないと高電圧で壊れる

高電圧保護付き低電圧昇圧型LEDドライバ回路
高電圧保護付き低電圧昇圧型LEDドライバ回路

実験してわかったのですが、LEDが接続されていないのと規定の電流を流そうとするために、昇圧回路が大きな電圧を発生させてしまいます。これによりMOS-FETが壊れ、LDOも壊れます。このICに高電圧検出回路やその保護回路がないためです。

そこで、安全のためLEDと並列で逆向きにツェナーダイオードを入れました。LEDが接続されていない場合、ツェナー電圧にクリップされます。

100Hzでフリッカー

フリッカー軽減低電圧昇圧型LEDドライバ回路
フリッカー軽減低電圧昇圧型LEDドライバ回路

LEDは光っているのですが、なんだか高速に点滅しているように見えます。オシロスコープでLEDの波形を確認したところ100Hz程度の電圧変動がありました。

感覚的にフィードバックが間に合っていないのかなと思いました。そこで、LEDと並列に100uFのコンデンサを入れて位相を進めてみました。

コンデンサを入れてみると、変動する周波数が500Hzになりました。電圧の変動はありますが、目に見える影響は無くなった感じです。

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回路を作成

ユニバーサル基板に組み立て

ユニーバーサル基板に組み立てました。緑色の基板に実装されているのが、LEDドライバICのTP8305Bです。表面実装部品を使ったので、かなり小さくまとまりました。

0.9Vで点灯

正確には0.86Vから点灯し始めました。スイッチング電流の電流制限があるため明るく点灯はしませんが、かなり低い電圧から点灯できることがわかりました。

点灯

電圧を上げるとLEDが明るく点灯しました。電圧を上げても明るさは一定なので、定電流動作していることがわかります。

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0.9Vから点灯するLEDドライバ完成

TP8305Bを使って、0.9Vから点灯するLEDドライバ回路が完成しました。低電圧でも無理をしない安全な昇圧回路です。