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電池2,3本で動くESP32-C3ボードが単三2本でどれだけ動作するか

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昇降圧DCDCを搭載し電池2,3本で動作するESP32-C3ボードが、電池2本で実際にどこまで動作するのか実験してみました。

この記事で紹介しているマイコンボードは「電池2,3本で動作するESP32-C3ボード」です。

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実験1回目

ブレッドボードに、ESP32-C3ボードと、電池ボックスを刺します。

電池には無印良品で購入した単三のアルカリ電池を使いました。

最初の実験は、電源の配線を上の写真のようにしました。マイナス側の配線が、ブレッドボードをぐるっと一周して、ESP32-C3ボードのGND端子に接続されます。

ジャンパー線には、太さ0.6mmのはんだメッキ線を使っています。0.4mmでは電圧降下が大きすぎて正常に動作しませんでした。なので太さは重要です。

動作させるプログラムは、「ESP32がWiFi試行時ブラウンアウトリセットを何回かしたら一旦Deepsleepするプログラム」にあるプログラムを使います。

WiFi.beginでWiFiのアクセスポイントに接続して、接続できたらDeepsleepするという動作を繰り返します。WiFi.beginに3秒、DeepSleepに5秒で、8秒周期にアクセスポイントへの接続を繰り返します。

時間 電池電圧
0:00 3.18v
2:00 2.9v
3:30 2.87v
4:30 2.84v
5:00 2.82v
6:00 2.80v
6:20 2.78v
6:50 プログラム修正 一時停止
7:00 2.80v
8:00 2.79v
18:30 2.69v
19:00 2.68v
21:15 2.66v
21:25 2.62v リブート繰り返したので実験終了

およそ21時間動作し、電池の電圧2.62Vで終了してしまいました。DCDCの能力的には、もっと低い電圧まで動作しそうなので、ちょっと回路を変更してみます。

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実験2回目

電池ボックスからESP32-C3ボードへの配線を、ぐるっと一周ではなく最短で接続するように変更しました。

電池は、1回目の実験で使用したものを引き続き利用します。

また、1回目の実験でルーターが不調になり、再起動させたら故障してしまったので、ルーターを新しいものに変更しました。この実験でおかしくなったのか、古くて偶然このタイミングで故障したのかはわかりません。

新しいルーターに交換するとWiFi.beginに7秒かかるようになりました。このためWiFi.begin7秒、Deepsleep5秒の12秒周期で接続を繰り返します。

時間 電池電圧
0:00 2.76v
1:00 2.59v
2:00 2.55v
3:00 2.50v
4:00 2.45v
5:00 2.41v
6:00 2.39v
7:00 2.33v
8:00 2.27v リブート繰り返したので実験終了

ブレッドボードの配線を短くすることで、動作が終了する電圧が2.65Vから2.30Vまで下がりました。

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実験3回目

安定化電源をESP32-C3ボードの端子の近くに接続した場合、2V近くまで動作させることができました。そこで、電池ボックスから直接配線してみることにしました。配線の太さはAWG22で、長さは10cmとしました。

ESP32-C3ボードの電源ピンのとなりに、電池ボックスからの配線を刺します。

電池は、2回目で使った電池を引き続き使用します。

時間 電池電圧
0:00 2.43v
0:10 2.33v
0:30 2.28v
1:00 2.23v
2:00 2.12v
2:15 2.10v
2:30 2.06v リブート繰り返したので実験終了

電池ボックスからの直接配線することで、2.10Vまで動作させることができました。電池の終止電圧は0.9V程度と言われているので、まあまあ電池の終わりくらいまで電力を利用できたのではないでしょうか。

今回の実験で、配線による抵抗をいかに軽減させるかによって、最低動作電圧が変わってくることがわかりました。そして、ブレッドボードの配線って、結構抵抗値が高いというのもわかりました。

ESP32-C3ボードを低電圧まで動作させるには、太く短く配線するというのが重要でした。

あと、電池ボックスも重要そうです。タミヤの電池ボックスは良くありませんでした。

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何回接続したのか

動作時間から何回アクセスポイントに接続をしたのかを計算してみます。

  • 1回目 GNDが遠回りした配線 9400回
  • 2回目 GNDを短くした配線 2400回
  • 3回目 電池ボックスから直接配線 670回

このため、電池ボックスとESP32-C3ボードの電源ピンを直接配線した回路だった場合、3回の実験の合計の12000回アクセスポイントに接続できたことになります。1万回といえば、1時間に1回ネットに接続するとすると1年間電池が持つ計算になります。電池2本でも結構、長持ちすることがわかりました。

またプログラムでのポイントは、起動時にブラウンアウトリセットを検出したらDeepsleepを1秒して再度WiFi.beginをすることです。するとWiFi.beginに成功しやすいです。

ESP32-C3でしか試していなのでESP32-C3特有なのかもしれませんが、WiFi.beginにより低電圧でリセットすると、リセットしたのにのかかわらずWiFiの回路が暴走したままで大きな電流が流れている状態で再起動します。
起動時にWiFi.disconnect(true)を実行しても、この大電流は止まりません。
この状態で再度WiFi.beginをしても、また低電圧でリセットしてしまいます。
このWiFi回路の暴走を停止させるために、起動時にブラウンアウトリセットを検出したら1秒間Deepsleepし、WiFi回路への電源供給を強制的に止めます。すると、Deepsleepから復帰後はWiFi.beginに必要な電流が少ないためなのか、低電圧でリセットせずに正常にWiFi.beginが終了する場合が多いです。今回の実験はこの方法のプログラムで実験しています。
詳しくは「ESP32がWiFi試行時ブラウンアウトリセットを何回かしたら一旦Deepsleepするプログラム」のソースをご覧ください。

もちろん3本の方が、電圧が高く長持ちして安心して使えるので、そちらの方がおすすめです。また、今回はマイコン以外に負荷がありません。負荷がある場合は、最低動作電圧や接続回数が変化しますので、実際の環境で試してご確認ください。

この記事で紹介している実験に使っているボードは「電池2,3本で動作するESP32-C3ボード」です。