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電子ペーパー電源用ICのTPS65185の動作確認をしています

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電子ペーパー用の電源ICであるTPS65185の基板ができているので、今回は動作テストをしています。TPS65185ボードができるまでは、こちら↓↓をご覧ください。

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便利な電子ペーパー用電源IC

TPS65185は、電子ペーパー専用の電源ICです。

バッテリーやUSB電源などの3V〜6Vの単一電源から、電子ペーパーに必要な22V、15V、-15V、-20V、VCOM電圧(-1Vから2V程度の電子ペーパー個体によって異なる電圧)を生成してくれます。

電子ペーパーは、これらの複数の電源をONやOFFする順番が決まっています。この専用ICは自動で順番にON,OFFしてくれます。

さらに、電源をOFFするときには、電源に接続されたコンデンサーにエネルギーが溜まっているため、OFFしてもすぐには電気が無くなりません。電気が残っていると画像が変色する原因になってしまいます。この専用ICにはコンデンサに溜まった電気を放電する回路が入っていて、確実にOFFにしてくれます。

さらにさらに、VCOMの電源は普通の電源とは違い、電源を切った後はハイインピーダンスにする必要があります。電源のように低インピーダンスのままだと、画像が灰色に変色してしまいます。この専用ICはハイインピーダンスになる回路が内蔵されていて、変色を防いでくれます。

と、5種類の電圧源と、その自動投入機能があって、VCOMの電圧が調整できハイインピーダンスにもなる。と普通に作ったら結構複雑な回路が、1つのICに凝縮されています。

この電源ICは、電源のONOFFや、各設定は、電源IC内のレジスタをI2Cで設定することで実現します。このためマイコンから2本結線するだけで簡単に制御ができます。

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動作チェック

I2Cとして動作しているか

まずは、この電源ICがI2Cのスレブとして正しく認識できるかテストします。マイコンにはESP32を使います。プログラムはI2Cスキャナーを使います。このプログラムは、マイコンに接続されているI2Cデバイスのアドレスを表示してくれます。

実行結果はこちら。

0x68というアドレスのデバイスが、つながっていることがわかりました。TPS65185のアドレスはいくつかというと、データシートには

0x68と書いてあります。この電源ICが応答していて、マイコンから認識されていることがわかりました。

レジスタが正しく読み出せるか

デバイスが認識されているので、今度はTPS65185に内蔵されているレジスタを読みだしてみます。正常に読み出せれば、リセット時のレジスタ値が読み出せるはずです。

TPS65185には、0x00hから0x10まで17個のレジスタが入っているので、順場にに読みだしてみます。

全部00とかFFだと読み出せていない可能性が高いのですが、意味ある数字みたいです。これをデータシートのリセット時の値と比べてみると、ほぼ同じでした。一部値が違うのですが、データシートのリビジョンとICのリビジョンが違うので、初期値も違うのかもしれません。

レジスタも正常に読み出せました。

温度を測定してみる

TPS65185には、温度の測定回路が入っています。温度を測定するには、TMST1レジスタの、READ_THERMビットをセットします。すると、温度センサがつながったADCのA/Dが開始されます。A/D変換が終了すると、TMST1レジスタのCONV_ENDビットがセットされ、TMST_VALUEレジスタに温度が格納されます。TMST_VALUEの値を2の補数として読めば、それが温度になっています。早速プログラムを書いてみます。

お、24度。値としていい感じじゃないでしょうか。サーミスタを指で触って温めてみます。

どんどん温度が上がっていきます。正常に動作していそうですね。レジスタ操作ができて、A/Dも動作しました。これはこのICが正常に動いているのではないでしょうか。

電源を出力してみる

ついにきました。DCDCを動作させ、電圧が正しく出力されるか確認です。

回路的に、WAKEUPピンをHiにした状態で、PWRUPピンをHiにするとDCDCコンバータの動作が開始し電圧が生成されます。やってみましょう。

こちらが、各電源ピンの変化です。電源ON時には、VNEG→VEE→VPOS→VDDの順番に6msずつずれてONしています。OFFするときには、ONとは逆に、VDD→VPOS→VNEG→VEEの順番にOFFしています。VDD→VPOSが6ms、VPOS→VNEGが24ms、VNEG→VEEが48msとなっていました。これらの遅延量はデータシートのデフォルト値と同じでした。DCDCコンバータが正常に動作し、かつ電源投入制御も正しく動作していますね。

VCOM, 3.3V出力

VCOMと、電子ペーパーの電源用の3.3Vは、電源ONOFFの制御とは別に、レジスタのビット操作で個別にON,OFFを行います。

プログラムを作って、プログラムにより電源をON制御と、これら2つのONをしてみます。結果がこちら。

電源のONによりVNEGがONします。その後、100ms後VCOMがON、その100ms後に3.3vをONしてみました。結果もそんな感じになっています。

VCOMも3.3Vもレジスタの設定で個別にON,OFFできることがわかりました。

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テストはうまくいきました

レジスタの設定で全ての電源のON、OFFができることができ、正常に電子ペーパーの電源回路として動作することがわかりました。QFNパッケージだったので実装がうまくいくか不安だったのですが、正常に動作してくれました。

電子パーパーの電源回路完成です。

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