半導体式の明るさセンサ(環境光センサ)の使い方をご紹介します。
環境光センサ
上の写真の右側が光センサとして一般的なCdS、左側が半導体式の光センサ(環境光センサ)です。
CdSは毒性のあるカドミウムが使われており、その毒性と環境への影響からヨーロッパではCdSの使用が2006年に禁止されました。それに伴い代わりのセンサとして、半導体を使った明るさセンサが登場しました。
仕組み
仕組みはフォトトランジスタと同じです。トランジスタのベースに小型の太陽電池がつながっています。太陽電池が発電するとトランジスタのベースに電流が流れ、増幅されたコレクタ電流が流れます。コレクタ電流は数10uAから数100uA程度です。
感度特性
フォトトランジスタは、実は赤外線に強く感度を持っています。上のグラフの赤色のラインです。
これに対し、人の目は可視光にのみ感度を持っています。上のグラフの青色のラインです。そこで、センサの樹脂に色素が混ぜられていて、人の目の特性と同じくなるように設計されています。後述するXYC-PT67D-I0環境光センサの感度特性が、上のグラフの緑色のラインです。
このため、環境光センサは透明ではなく、青黒かったり灰色だったり色がついています。
使い方
回路図
環境光センサは、コレクタ側に電源、エミッタ側に抵抗を接続します。環境が明るいほどVoutに大きな電圧が発生します。
抵抗Rの決め方
測りたい明るさの範囲によって、回路に接続する抵抗Rの値を決定します。上のグラフは新日本無線の環境光センサNJL7502のデータシートにあるグラフです。
例えば10bitのA/Dで測定する場合、最小の電圧は3mVです。しかしGND近辺まで測定できない場合があるので仮に最低測定電圧を10mVとします。すると、上のグラフの赤いラインから上の領域が測定範囲となります。
例えば、抵抗値を10kΩとすると、2Luxから1000Luxの範囲の測定ができます。抵抗値を500Ωにすると、40Luxから10000Luxの範囲の測定ができます。屋内であれば1000Luxまで測定できれば十分かもしれませんが、屋外であれば10000Luxは必要です。
このように、抵抗値が大きいほど暗い環境を測定するの向いていて、抵抗値が小さいほど明るい環境の測定に向いていることがわかります。
XYC-PT67D-I0の例
特性の測定
手持ちの環境光センサXYC-PT67D-I0の特性を測定してみます。
照度の測定にはOpple Light Master 3を使います。
Opple Light Masterは色温度や演色性を測定できる便利な機器です。この機器を使って、いろいろな空間の光の色や演色性を調べたときの記事はこちらです。
現在最新のLight Master 4は色温度が高く演色性が悪いLEDを特定すると、演色性が良いという結果が出てしまうらしく、Light Master 3の方が良かったと海外の掲示板で紛糾しています。この掲示板にOPPLE Light Masterの中の人が降臨し詳細に測定できるwindowsアプリを作って公開したり、次のLight Master5の話も出てきて性能向上に期待が高まりますが、衝撃的な結末が待っています。
抵抗値を1kΩと10kΩにしたときの出力電圧をプロットしました。1kΩでは30Luxから1000Luxまでの範囲の測定ができ、10kΩでは10Lux以下から200Lux程度の範囲の測定ができることがわかります。
時計に組み込む
明るさセンサの電圧値をマイコンのADコンバータで取得して、LED時計の明るさを調節するようプログラムしました。環境光センサに接続する抵抗値は、暗い環境を測定できるように10kΩにしました。
明るさ1380Luxの時、出力電圧は1.5Vです。LEDは100%の明るさで点灯しています。
明るさ12Luxの時、出力電圧は87mVです。LEDは10%程度で点灯しています。
環境光センサを使って、部屋が暗くなるとLEDも暗くなり、夜間でも眩しくない時計となりました。
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