
SMDフィーダーは、チップ部品を実装するときにテープを固定しておく工具です。これまでthingiverseにあったものを3Dプリンタで印刷し使っていたのですが、使いやすく自分で設計しようと思います。
thingiverseのSMDフィーダー

このSMDフィーダーを見つけたのが6年前。これとHAKKO394を使うことで、ピンセットを使って実装していたときより実装が劇的に楽になりました。
実装が劇的に楽になったことがわかる、当時の記事はこちらです。

SMDフィーダーはこのように使います。SMDフィーダーにテープを通し、テープの上部についているフィルムをフィーダーの上部の穴に通します。フィルムを引っ張ると、テープが押し出されます。
thingiverseにあるモデルは、5つフィーダーがつながっていますが、実際使ってみると部品1種類ずつ交換しながら使い、外側の2つのフィーダーはフィーダーとしてではなく、テープで机に固定するための場所に使っていました。このため、フィーダーは1つあればよく、フィーダの左右にフィーダーを固定するタブがあるのが望ましいです。
また、1206のような横長の部品が入ったテープは、フィーダーの口の横幅が狭く入りませんでした。テープの仕様にあった形状にする必要があります。
そこで、これらを改善したSMDフィーダーを自作することにしました。
テープの仕様
SMDの梱包されたテープの仕様は「自動実装部品の包装−第3部:表面実装部品の連続テープによる包装」という資料に書いてありました。

まずは紙テープの仕様をみてみます。

テープの厚みはTに書かれているように1.1mm以下となっています。このためフィーダーのテープが通る口の高さは1.1mm以上、1.5mmくらいにするのが良さそうです。
またテープを支持する部分はGに0.75mm以上とあるので、0.75mmです。反対側はE1が1.75mmとあるので2mmくらいあっても良さそうです。

続いて、樹脂製のテープの寸法を見てみます。
ここでも先ほどと同じようにGの値をチェックします。

Gの値は0.75mmで同じでした。

以上のことから、SMDフィーダーの開口部の寸法は上記のようにすることにしました。
1回目
3D CADでモデリング

3D CADはあまり使ったことがなく、よくわからなかったのですが、ようやく設計方法がわかった気がします。
最初、XYかXZかYZ平面のどれかの平面をスケッチに指定して2次元の図形を描きます。描いた図形を押し出して立体にします。
立体のどこかの平面をスケッチに指定して図形を描き押し出し立体にします。この立体を前回の立体に加えるか差し引くかを指定します。
立体を作っては足すか引くかして、徐々に目的の立体形状へと近づけていきます。
3Dプリンターで印刷

およそ20分くらいで印刷できました。

テープが通りました。いい感じです。

以前のSMDフィーダーでは通らなかった1206のコンデンサですが、今回の設計ではちゃんと通るようになりました。これで8mmのテープは全て対応できます。
ただちょっと手間がかかるなと思ったことがあります。
テープの上部に貼ってあるフィルムを、前面の上部にあいた穴を通して後ろへ回すのですが、テープがくるまっていると穴に通しずらいことがわかりました。
そこで、穴を通さなくてもいい機構にしようと思います。
改良

フィルムを穴に通さなくてもいいように、穴の横にスリットを設けました。このスリットからフィルムをスライドして、穴に通すことができます。

20分ほどで印刷完了。さてどうでしょうか。

くるくる丸まったフィルムでも、スロットからフィルムを通すことで簡単に穴に通すことができました。
幅広タイプも作る

8mmの抵抗やコンデンサのSMDフィーダーができたので、USBコネクタやICが入った幅広タイプのテープのSMDフィーダーも作ります。
USBコネクタやICのテープの幅は16mmでした。
先ほど作ったモデルの穴の幅を9mmから17mmに変更します。部品の厚みも厚みのある部品に対応させたいので、2mmから6mmに深くしました。
3D CADなので、パラメータを変更するだけで立体形状が自動で変更します。すごいですね。

およそ20分で印刷完了。

USBコネクタを通してみます。いい感じです。

SOP16のICも完璧です。
SMDフィーダーが完成しました

これまで使いにくかった部分を改良して、オリジナルのSMDフィーダーが完成しました。次回の実装からはこのSMDフィーダーを使いたいと思います。



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