どうもkohaniiです。
以前LCSCで買ったFP6276を使ったDCDC基板を作りました。
回路図や動作などは以前の記事を見てください。
PCBWayに注文した基板が届いたので組み立ててテストしてみます。
基板
基板が届きました。
いつものようにプチプチの袋に入ってきました。
裏面ではシルクの表記が見えます。
袋から取り出した基板はこんな感じです。
銅部分の表面処理ははんだラベラーなので全て銀色です。
裏面はこんな感じです。
シルクも綺麗に印刷されています。
ほとんどの部品が表面実装なので、はんだペーストを塗るためのステンシルも頼みました。
木の板を開けると、薄いステンレス板の所定の位置に穴が空いたステンシルが入っています。
ステンシルの位置合わせ穴がない
ここで問題が発生しました。
普段なら穴が開くはずの、基板の端にあるステンシルを位置合わせするための穴が空いていません。
これは基板おもて面の角の部分です。
青いレジストの中の、黄色のレジスト抜きの中の、白い部分が穴のはずですが、ただの銅+はんだメッキになっています。
そして裏面ですが、こちらは銅すらなく小さいレジスト抜きになっています。
位置合わせ穴とは
ここで分かりやすくするため位置合わせ穴の説明をします。
位置合わせ穴とは、基板の四方の端にある下画像のこれです。
この位置合わせ穴は基板とステンシルに対して同じ位置に0.75mmの穴を開け、実装時にハンダペーストを印刷するときに画鋲で位置合わせするためにあります。
以前の記事でも紹介しましたが、この方法は過去に記事にしています。
この穴のフットプリントはこのようになっています。
まず一番大きい紫の円の部分はF.Maskレイヤーで、「おもて面のこの直径2.54mmにはレジストを塗らないでください」という意味です。
これはうまくいっています。
次に大きい赤色の円の部分はF.CuとF.Pasteレイヤーで、「おもて面のこの直径0.95mmに銅を残し、ここにステンシルの穴を開けてください」という意味です。
これもうまくいっています。
最後に一番小さい水色の円はNPTH(ノンスルーホール)で「ここに直径0.75mmの穴をドリルで開けてください」という意味です。
これがありませんでした。
つまりは
「基板屋さんがドリルデータを無視して穴を開けてくれなかった」というのが結論です。
そして裏面では小さいレジスト抜きした円がありますが、これはNPTHがF.MaskとB.Maskを一緒に設定しているため穴が開くはずだったところがレジスト抜きになっています。
この基板データは「0.95mmの銅を残したのに、その上から0.75mmの穴を開ける」というよくわからないことをしていて、位置合わせ穴だと知らなければ訳が分からないのでこれは仕方ありません。
実装
ステンシルには特に問題はなく実装していきます。
ひとまず8基板分面付けした1基板を実装します。
簡単に位置合わせはできませんが、テープで止めればどうってことはありません。
今まで通り基板を汚れても良い基板で挟み固定して、ステンシルの一辺をテープで固定します。
ステンシルを被せればこのようにピッタリと合います。
ステンシルの上の方にはんだペーストを盛ります。
薄いステンレス板でできたフレキシブルパテで上から下に伸ばしながらハンダペーストを基板に印刷します。
少し盛りすぎましたがハンダペーストの印刷が終わりました。
電動バキュームピックで部品を一個一個基板に置いていきます。
チップコンデンサとチップ抵抗の小さい部品を置き終わったところで、FP6276の登場です。
LCSCで購入し20個届きました。
一個取り出すとこんな見た目です。
SOP-8パッケージで足を含めても6mm×4.9mmしかありません。
そしてそのほかの部品も全て実装が終わりました。
3.3µHのチップパワーインダクタの高さが1.6mmと思ったよりも薄くて驚きました。
ハンダペーストを溶かしハンダ付けするためオーブンでリフローします。
焼き終わりましたので取り出してファンで冷やします。
完成
冷やし終わって基板が完成しました。
8基板の間はVカットで折れるようにしているので、手で曲げると簡単に分けられます。
テスト目的のためにまず2つの基板を分けておきました。
電圧の調整用の半固定抵抗を半田付けします。
これだけは表面実装ではくスルーホール部品なので手作業になります。
半固定抵抗とテスト用のピンヘッダーを半田付けしました。
裏面はこんな感じになっています。
テスト
全てのピンヘッダーの位置は2.54mmピッチに合わせているため、ブレッドボードに刺して実験できます。
無負荷 5V出力
まずは無負荷状態で3Vを入力してみます。
使っている電源の電流計は20mA以下の精度が悪く信用できませんが、0mAの表示になっています。
出力電圧を調整し、5Vが出ることが確認できました。
6.8Ω負荷 5V出力
出力に6.8Ωを繋げて5Vを出力してみます。
入力電圧が3Vだと動作せず、3.3V以上で動作しました。
入力の電力は5.33Wです。
出力は4.93Vで、668mA流れています。
出力の電力は3.293Wです。
DCDCコンバーターの効率を計算してみると、 3.293W / 5.33Wで約0.6178、つまり効率は61.78%です。
負荷が重すぎたのか、かなり効率は悪くなっています。
入力電力から出力電力を引いて余った約2WはDCDCコンバーターでほとんどが熱になるので、長時間動作させていると熱でコンデンサの寿命が減りそうです。
220Ω負荷 5V出力
さらに負荷を軽くして220Ωです。
負荷が軽ければ入力電圧は2.5Vで十分動作しました。
入力の電力は0.13Wです。
出力電圧は5Vで、電流は22mAです。
出力の電力は0.11Wです。
効率を計算してみると、 0.11W / 0.13Wで約0.8461、つまり効率は84.61%です。
この程度の負荷ならそこそこ効率が良いようです。
この実験はブレッドボードとワニ口クリップで試した結果で、ケーブルをはんだ付けしたりして確実に計測した結果ではもっと特性が良い可能性がありますので、いつかはさらに正確な計測をしたいと思います。
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