デバッグのためこれまでマイコンを書き込み機経由で接続していましたが、基板に組み込んで単独で動作するようになりました。
マイコンをSOT32に置き換え
これまでは、PWMのON時間の設定や、ON時間をLEDに表示するためにたくさんのIOが必要だったために、SOP16パッケージのPFS123を使っていました。
基板に組み込むにあたり、これらの機能は不要なので、6ピンのSOT32パッケージのPFS123を使いたいと思います。
しかし、マイコンにプログラムを書き込もうとしたところ、書き込みに失敗してしまいます。
書き込み機のログを見てみたところ、なんとPFS123だと思っていたマイコンはPFS122だったのです。
ICのマーキングは2421A01となっていて、PFS122だったことに今まで気づきませんでした。
上の写真のルーペは、デジタルルーペのレンズを改造して、離れた場所からピントが合うようにしたものです。改造方法は以下のページをご覧ください。
PFS123を購入した業者に問い合わせましたが、春節なのでと言われて会話が途切れました。春節明けにもう一度問い合わせようと思います。
仕方がないので、SOP16にプログラムを書き込んで、タップドインダクタの基板に組み込みました。
ついでに過電流保護の350mAのリセッタブルヒューズも追加しました。
出力特性の測定
スタンドアロンで動作するタップドインダクタの回路の特性を測定してみます。
左上が出力電流に対する出力電圧、右上が出力電流に対する消費電流、左下が効率になります。
マイコンを組み込む前との違いが2点あります。
- 効率が上がった
- 出力電流が弱くなった
です。
効率が上がった
これまでの回路は効率が50%台だったのですが、60%台と10%も向上しました。MOS-FETのゲートまでの配線が短くなったからなのか原因はわかりませんが、性能が向上しています。
出力電流が弱くなった
上のグラフは、出力電流と出力電圧のグラフで、前回のグラフ(青)と今回のグラフ(緑)になっています。前回と今回での違いは回路のリセッタブルヒューズが入っているかいないかです。
過電流保護がない場合には、出力電流が5mA程度まで175Vを維持しているのですが、350mAのリセッタブルヒューズが入っている場合には4mAまでしか175Vを維持できません。
過電流保護がない回路はちょっと怖いので、他の部品に変更して同様のグラフを描いてみます。
500mAのリセッタブルヒューズ(灰色)と、過電流保護ICのMT9700(オレンジ)を試してみました。
保護無しの状態よりも出力電流は弱くなってしまいますが、500mAにすることで5mAまではなんとか使えそうです。
このため、500mAのリセッタブルヒューズを採用することにします。
熱暴走チェック
過去の実験で、PWMの周期が40ステップなのに対し13ステップONする波形の場合、時間と共に消費電流がどんどん増加してしまう、コイルの熱暴走が発生しました。
今回のプログラムは安全のためONの時間は11ステップにとどめています。このため通常では熱暴走は起きないと思います。
しかし、動作環境の温度が高温になった場合に、もしかすると熱暴走してしまうかもしれません。そこで、オーブンに入れて加熱しながら熱暴走しないかどうか確認しました。負荷は347kΩの抵抗を10本接続し約5mAとしました。
オーブンには、リフローに使っている熱風が庫内を循環するコンベクションオーブンを使います。このオーブンは低温調理もできるため、低い温度からテストできます。
それぞれの温度で3分間温度を維持し、熱暴走によって電流が増加しないかかどうか電流の変化をチェックしました。その結果90℃まで熱暴走なく動作しました。100℃になるとリセッタブルヒューズが動作したためか電流と電圧が低下しました。
このことから、通常の温度では熱暴走はしないことがわかりました。
音が気になる
実験していて、若干ですが音が気になりました。スーやシャーといったスプレーを吹きかけているような音がします。PWMがランダムに間欠動作しているため、そのような音が発生してしまうのだと思います。
この音は、静かな部屋で耳を澄まさないと聞こえないくらい小さく、おそらくケースに入れれば気にならない程度だと思います。しかし、この電源を組み込んがニキシー管時計を枕元に置いて寝た時に、もしも音が気になってしまったらとても残念です。
そこで、どこから音が出ているのか調べてみました。
色々調べてみると、どうやら入力と出力にあるセラミックコンデンサが鳴っています。特に音が大きいのが出力コンデンサ、次にとても弱い音ですが入力のコンデンサでした。
出力コンデンサに電解コンデンサを並列に接続したところ、音が劇的に小さくまりました。このため、主に出力のセラミックコンデンサが鳴っていたということがわかります。
これでほとんど音は気にならなくなったのですが、基板から5cmくらいに耳を近づけると、かすかにサーという音が聞こえます。この音は、入力のセラミックコンデンサに電解コンデンサを並列接続したところ、ほぼ無くなりました。
寿命のことを考えると、電解コンデンサではなくセラミックコンデンサにしたいとことなのですが、音が気になったので仕方なく電解コンデンサに変更しようと思います。電解コンデンサでも105℃1万時間といった長寿命の物があります。電解コンデンサの寿命は動作温度が10℃下がると寿命が2倍に増えます。例えば105℃で1万時間のコンデンサの寿命は、95℃の動作環境だった場合には2倍の2万時間に伸びます。85℃では4万時間、75℃では8万時間、65℃では16万時間といった具合にどんどん伸びます。1万時間は約1年なので、電解コンデンサでもかなりの長く使えることになります。
回路が完成しました!
タップドインダクタの昇圧回路が完成しました。春節が明けたらマイコンのSOTパッケージを問い合わせて入手するのと、基板を設計して基板屋さんに発注したいと思います。

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