先日リフロー用に、コンベクションオーブンTSF601を購入しました。
このオーブンを使って、実際に基板をリフローしてみました。これがとても快適だったので、ご紹介します。
基板にはんだペーストを印刷
基板のセットアップ
今回リフローするのは、赤い基板が特徴のkazzoクローンです。基板が動かないように、同じ厚みの基板で3方を取り囲み、テープで固定します。
はんだペーストの版となるステンシルを上に載せ、慎重に位置決めをし、テープで固定します。
はんだペーストの準備
今回から利用するはんだペーストは、CHIPQUIKのTS391LT50です。このはんだペーストは、Sn42/Bi57.6/Ag0.4の成分でできた、融点が138℃の低温鉛フリーはんだです。このはんだペーストの特徴は、なんと常温で保存ができるところです。一般的なはんだペーストは、劣化を防ぐために冷蔵保存する必要があり、使うたびに常温に戻さないといけません。このはんだペーストは、常温保温できるため、使いたい時にすぐに使うことができます。
使う前に撹拌します。普通のはんだペーストは若干ネバネバするのですが、このはんだペーストは柔らかくサラサラした感じです。
スキージで印刷
奥側にはんだペーストを載せます。
スキージ(マルツのポイントカード)で、はんだペーストをステンシルの穴に押し付けながら、手前に引き寄せます。
このはんだペーストは、ステンシルからの抜けがとてもいいです。穴の周囲に付着したりしないため、何枚か印刷する度に行っていた、ステンシルをアルコールで掃除するという工程が省けました。あっという間に10枚印刷できてしまいました。これは作業性が高まりますね。
実装
部品を実装していきます。今回のはんだペーストは、柔らかく粘り気が少ないために、部品を載せた後、その部品がちょっとずれてしまうと、部品のリードではんだペーストが拭き取られてしまい、はんだ不足っぽいパッドになってしまいました。部品を置いた後に、なるべく動かさないようにしないといけません。
部品の実装には、電動バキュームピックHAKKO394を使っているので、実装が捗ります。HAKKO394については、こちらの記事に詳しく紹介してあります。これを使うとピンセットには戻れませんよ。
バキュームピックHAKKO394と、3Dプリンタで印刷したSMDフィーダーを使うと、表面実装部品をとても簡単に素早く実装することがでますよ。
10枚があっという間に実装完了。いい工具を揃えると、作業効率がアップするもんですね。
オーブンでリフロー
さて、ついにリフローの時がやってきました。
これまでのホットプレートは、小さかったために、1枚ずつしたリフローできませんでした。しかし、このコンベクションオーブンTSF601は、トーストが4枚を同時に焼ける広さがあるので、kazzoクローンの基板も4枚同時にリフローできちゃいます。
温度に関してですが、先日空焚きで温度プロファイルの実験をしたときは、90度の設定だとオーブン内の温度が120度らい、140度だと160度くらいと、設定よりも実際の温度は高めになっていました。
しかし今回、空焚きではなく基板が入った状態では、設定と同じような温度になっていました。そのため120度180秒→160度60秒+αといった感じで加熱しました。
今度、捨て基板を使って基板が入った状態で、先日のようにいい感じの温度プロファイルになる設定を調べてみたいと思います。
検査
デジタル顕微鏡で、はんだの状態を確認してみます。ブリッジは無く、きれいに実装されていました。また、はんだボールもとても少ない感じです。なかなかいいはんだペーストです。
超便利なデジタル顕微鏡の詳細については、こちらです。
顕微鏡でチェックした後は、PCに接続して、ファミコンカセットが正しく読み込めるかチェックしました。全て正常に動作することを確認し、これで基板完成です。
大変素晴らしい
コンベクションオーブン、とても素晴らしいです。この機種は温度設定が細かくできるので、思った温度に設定することができます。しかも、大容量なので、たくさんの基板を一度にリフローすることができます。
もう、小さくて温度調整が難しいホットプレートには戻れません。コンベクションオーブンTSF601は大変素晴らしいです。
今回リフローした、kazzoクローンはこちらで購入できます。
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