ファミコンの本物のコントローラをUSB化して、パソコンのファミコンエミュレータで遊べる基板を作りました。
この基板はEarPodsパッシブアッテネータ基板を注文した時に一緒に注文していました。その時の記事はこちらです。
JLCPCBから基板が届く
注文してから10日ほどでJLCPCBから基板とステンシルが届きました。
丸い部分がコントローラのボタンが押された時に接触する部分です。この部分がはんだメッキであった場合、何度かプレイしていると接触抵抗が上がりボタンが反応しにくくなってしまいます。そのため、金メッキの基板にします。
金メッキ基板は一般的に高価ですが、JLCPCBは他の基板製造会社よりも安価に製造してくれます。
メタルマスクも綺麗にできています。特に凹型になっている部分がありますが、JLCPCBでこのように形状を改善してくれています。
はんだペーストの印刷
ダンボールの上に基板を置きます。
メタルマスクをのせて、予め開けておいた穴に画鋲をさします。これによって、基板とメタルマスクの位置がぴったりと合います。
この穴の作り方はこちらをご覧ください。
メタルマスクの奥側にはんだペーストを載せます。はんだを印刷する時に使うスキージには、今回はフレキシブルパテを使おうと思います。
このフレキシブルパテは、加工精度がよくとても綺麗にはんだが印刷できます。
フレキシブルパテで、はんだペーストを手前に引き寄せながら印刷していきます。
メタルマスクにはんだペーストが全く残っていません。
とても綺麗にはんだペーストが印刷できました。
こちらの動画ではんだペーストの印刷工程が見れます。
部品の実装
部品の実装には、バキュームピック HAKKO394-01を使っています。
掃除機のように部品を吸いつけて、目的の場所に実装することができます。
チップ部品が入っているテープから、部品を直接吸い付けることと、基板の向きをテープに入っている部品の向きに合わせておくことで、すばやく実装することができます。
上の動画は100nFのバイパスコンデンサを実装しています。数が多いですが、どんどん実装できることがわかると思います。
ノズルにはこれを使っています。

純正よりも内径が少し太く長さも短いため、吸着力が高く位置決めもしやすくいです。
電動バキュームピックHAKKO394のおかげで、あっという間に部品が実装できました。
リフロー
熱風が庫内を循環して温度が均一になる、コンベクションオーブン テスコム TSF601でリフローします。
このコンベクションオーブンは加熱の途中でも、つまみを変更することで温度を変更することができます。はんだペーストの温度プロファイルに沿って温度を変化させていきます。
オーブンの中には熱電対温度計を入れておいて、温度計を見ながら温度調節つまみを調整していきます。
リフローが終わり扇風機で冷却します。
とても綺麗に部品が実装できました。
マイクのはんだ付け
ファミコンの2コンにはマイクが付いています。この基板にもマイクの機能を持たせるために、特殊なマイクをはんだ付けします。
ファームウェアの書き込み
マイコンにファームウェアを書き込みます。書き込み機には、純正ではなく中華製のAVR ISP mkIIを使います。純正の書き込み機の電源ピンは、ターゲットボードのロジック電圧のモニターに使われるために電気が出力されませんが、中華製はUSBの5Vが直結されていて電気が出力されています。ターゲットへの電源供給と書き込みが同時に行えるため、あえて中華製を使用しています。
中華製AVR ISP mkIIは使われているUSBチップもクローンなため、windowsでは正式なドライバが接続を拒否して認識されません。windowsで使うためには、👇の方法で認識させる必要があります。
書き込み機のコネクタにはテストピンさしておいて、ターゲットボードと安定して接触するようにしています。
P75-E2をR75-3Wにさして、IDCコネクタに差し込みます。P75-E2の中にはバネが入っていて、コネクタが傾いてもターゲットにしっかりと接触します。とても便利です。
USBコネクタのはんだ付け
2コンのUSB化基板(青色)と同時に、1コンのUSB化基板(赤)もUSBケーブルをはんだ付けします。
1本1本はんだ付けする地道な作業です。リフローだと一気に実装できますが、ケーブルのはんだ付けは手間がかかりますね。
動作確認
パソコンに接続して正常に動作するか確認します。
音を出すとマイクが音を拾って、LEDが赤く点灯します。
全ての動作が確認できました。ファミコンコントローラをUSB化するキットの完成です。
ファミコンコントローラのUSB化方法
改造方法はとっても簡単です。ファミコンのコントローラの背面のネジをドライバーで外します。
コントローラの中に入っている基板を取り出し、代わりにUSB化基板を入れます。
裏の蓋をしてネジを締めれば改造完了です。
ボリウムを上げて声を出すと、音に反応してLEDが光ります。
ファミコンエミュレータやレトロフリークでマイクの設定をすることで、マイクが必要なゲームでも遊ぶことができるようになります。
1コンと2コンの2つがあれば、2人対戦のゲームも楽しめます。
USB化キットはこちらで購入することができます。
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